この皿は、4年程前に購入しました。
皿の面いっぱいに楚々とした芥子の花が描かれ、これを見ていると、皿を見ていることを忘れ、一服の絵を見ているように感じます。
それに惹かれて購入に至ったものです。
表面
製作年代:江戸時代中期 口径:21.7cm 高台径:14.7cm
裏面は、ごく平凡な作りです。
裏面
裏面の拡大写真
ただ、裏面の拡大写真を見て分かるとおり、目跡は比較的に小さく、大きさも一定で、きちんと計算された位置にあり、銘の「大明成化年製」もしっかりとしたきちんとした楷書で書かれており、しかも「太明」ではなく「大明」となっているところなどから見て、なかなか上手な作のようです。
ここまでですと、この皿は、江戸中期の、まぁまぁ上手の染付皿ということになりますが、よく見ますと、この皿には欠陥があります。
皿面に、幾つかの、御本手とか御本とか言われるものが見られるんです。
表面の御本手(=御本)の拡大写真(一部)
所々に見られるピンク色のシミが、その御本手とか御本と言われるものです。
これが高麗茶碗等でしたら、御本手が出たとか、御本が出たとか言われて珍重されるんでしょうけれど、こと、古伊万里の場合はそうはいかないようですね。
そもそも、この皿、指で弾いてみますと、キーン、キーンという高い金属音を発しません。やや鈍いボコボコという音を伴ったような音を発します。つまり、甘手なわけですね。焼が甘いわけです。
古伊万里の世界では、甘手は疵物として扱われています。結局、この皿も疵物という範疇に入るわけです。
私は天邪鬼なものですから、「甘手は疵物じゃない!」などとの浅はかな信念を抱いて臨んでいますが(笑)、どうも、この皿の件に関しては、本当に浅はかなことのようです(^^;
高麗茶碗等の場合ならともかく、古伊万里の場合は、やはり、御本手とか御本は少々目障りですね。裏面高台の付け根周辺にぐるりと巡ったピンク色など、汚れの様に見え、食器としては不衛生ささえ感じさせます。
私は、「甘手は疵物じゃない!」などとの浅はかな信念を抱いて臨んでいるわけですが(笑)、指で弾いた際の音の鈍さだけなら「甘手は疵物じゃない!」と言えるかもしれませんが、この皿のように、シミまで出るような甘手は疵物ということにならざるをえませんね。
かくて、我が家には、疵物、駄目物が累積していくわけです(-_-;)