今回は、「染付 蔦草文 徳利」の紹介です。
正面(仮定)
正面から右に約90度回転させた面
正面から左に約90度回転させた面
正面の反対面
底面
生 産 地 : 肥前・有田 不明
製作年代: 江戸時代中期 不明
サ イ ズ : 口径;3.3cm 胴径;9.5cm 底径;5.4cm 高さ;15.0cm
なお、この「染付 蔦草文 徳利」につきましては、かつての拙ホームページの「古伊万里への誘い」の中で既に紹介しているところですので、次に、その紹介文を再度掲載することをもちまして、この「染付 蔦草文 徳利」の紹介に代えさせていただきます。
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<古伊万里への誘い>
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*古伊万里ギャラリー199 伊万里染付蔦草文徳利 (平成26年12月1日登載)
容量は2合ちょっとである。茶席用のお預け徳利というものであろう。
付け立て風な蔦草文を胴一面に描いている。
実に手慣れた描き方で、動きがあり、絵になる。
初夏の繁茂した頃の蔦草を描いたのだろうか。或いは晩秋の真っ赤に色付いた蔦草を描いたのだろうか。晩秋の今、これを眺めると後者に見える。
徳利としての用途を離れ、観賞陶磁としてみても、十分に鑑賞に耐えられる。
でも、それ以上に、花器として使用した場合、花を引き立て、花器としての存在価値を発揮するようである。
製作年代については、以前は、文句なしに初期伊万里と位置付けられていたと思うが、研究の進んだ最近では、その位置にとどまることが難しいようである。
江戸中期にも、このような初期伊万里様式の物が製作されていたことがわかってきたからである。
私個人の心情としては初期伊万里としたいところではあるが、無難なところで、一応、江戸中期としておく。
江戸時代中期 口径:3.3cm 胴径:9.5cm 高台径:5.4cm 高さ:15.0cm
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*古伊万里ギャラリー128 古伊万里との対話(蔦草文の徳利)(平成26年12月1日登載)(平成26年11月筆)
登場人物
主 人 (田舎の平凡なサラリーマン)
蔦徳利 (伊万里染付蔦草文徳利)
・・・・・プロローグ・・・・・
主人は、前回、徳利と対話をしたのだが、今回もまた徳利と対話をしたくなったようである。
そこで、今度は、前回よりもちょっと大きめな徳利を押入れから引っ張り出してきては対話をはじめた。
主人: 前回の古伊万里は1合ちょっとの容量の徳利だったが、お前には2合ちょっと入るようだね。
蔦徳利: ご主人は、私を使って毎日晩酌をしているんですか?
主人: いやいや使っていないよ。
と言うのも、私は、最近、日本酒をあまり飲まなくなったんだ。どうも、日本酒はアルコール度数が低いために飲みすぎるせいか、翌日まで酔いが残るんだよね。それで、最近では焼酎を飲むことが多くなったんだ。焼酎だと、少々飲み過ぎても、酔いが翌日まで持ち越さず、翌朝スッキリするもんだからね。本当は、日本酒が一番好きなので、お前を使って、毎晩、日本酒で晩酌をしたいところだけれど・・・・・。
蔦徳利: 私を使って毎晩晩酌をしたのでは、体に悪いんではないですか。
主人: そうなんだ。健康診断等のたびに、「飲み過ぎです。量を控えてください。休肝日も設けてください。」等とお医者さまからアドバイスをいただくんだけれど、なかなか守れなくてね~。
まっ、「酒は百薬の長」とも言われるから、前回対話をした1合ちょっとしか入らない萩唐草文の徳利で、休肝日も設けて晩酌をしているぶんには健康体を約束されるようなものだが、呑兵衛にはなかなか難しい注文だよ・・・・・。
蔦徳利: 酒量を減らすとか、休肝日を設けるというようなことは出来ないんですか・・・・・。
主人: まだアル中にはなっていないようなので、やって出来ないことはないけれども、現在のところ、体に特に支障があるわけでもないので、やろうという意欲が湧かないんだ(~_~;) 酒の誘惑の方が強いんだ・・・・・。
ところで、お前には2合ちょっと入るので、晩酌用の徳利ではないんだろうな~。晩酌用にしては大き過ぎるものな~。だって、お前で毎晩晩酌していたのでは体を壊すことになるもの。たぶん、茶席で使用するお預け徳利というやつなんだろう。
もっとも、そう考えるのは私の独断と偏見にすぎないけどね。
蔦徳利: そう言われれば、私には、ちょっと、味わい深いところがありますよね(*^_^*)
主人: そうだろう、そうだろう(「豚もおだてりゃ木に登る」と独白)。
少々、ワビ・サビのようなものを感じさせるね。もっとも、ただ寂しいだけではなく、ちょっぴり華やかさも宿している感じもするかな~。
蔦徳利: ところで、ご主人は、前回対話をした萩唐草文の徳利と私とではどちらが好きですか?
主人: そうだね~。私は、「形」としては「玉壺春形」が好きなので、お前には悪いが、前回の萩唐草文のほうが好きかな~。それに、「形」が良いだけではなく、造形は丁寧だし、文様も緻密で、上手だものね。
それに対して、お前は、前回の萩唐草文徳利のように大きく口がラッパ状に開いていないし、文様も付け立て風で粗雑であり、下手な作りだものね。
鑑賞陶磁器としてみた場合は、残念ながら、お前よりは萩唐草文徳利の方が上だろうね。
ただ、徳利として使用するのではなく、花生けとして使用する場合は、お前の方が上だな~。妻など、すっかり気に入って、さっそくお前に花を生けたようだよ。妻は、萩唐草文の徳利よりもお前の方が好きなようだね。
まっ、好きか嫌いかなんていうことは、物の良し悪しではなく、使用目的に合っているかどうか等の要素によって大きく左右されるんだろうね。
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追 記 (令和3年10月10日)
この「染付 蔦草文 徳利」をインスタグラムでも紹介したところ、ある方から、これは偽物であろうとのコメントが寄せられました。
従いまして、この「染付 蔦草文 徳利」の生産地を「不明」と、製作年代も「不明」と訂正いたします。
筆の起点と終点、力の入れ方など、実にリズミカルな線です。気持ちがすっきりします(^.^)
それにしても、下方のダイナミックな蔓の描線は本当に堂々としていますね。
蔦の描線は、実にダイナミックですよね!
球面にこれを描くのですから、よほど描き慣れていないと描けませんよね(^_^)
奥様が
花立てとして使われる気持ちがよく分かります。野の花が似合いそうです。
昨夜の地震は被害はありませんでしたか?
これ、なかなか花生けに合うようです(^_^)
妻は、ほとんど野の花を生けているものですから、この徳利の出番も多いようです(^-^*)
昨夜の地震は、この辺は震度4でしたので、それほど酷くありませんでしたから、お陰さまで被害はありませんでした。
でも、久しぶりでの大きな地震でしたのでビックリしました(~_~;)
びっくりして、飛び起き、靴下をはいて身構えましたが、それ以上続かずに済んでしまいましたので助かりました(^_^)
絵のセンスがあか抜けしていますね。
私は、これは、徳利として作られたのかな~と思ったのですが、、、。
もっとも、これをどのような目的に使うかは、人それぞれでしょうけれど、、、。
tkgmzt2902さんなら、どのような目的に使いますか、、?
ん、使わないで「そっと手に包み込んで」おくだけなんですね(^-^*)
なかなか、絵が手慣れていますよね。この描線を球体に描くんですものね(^_^)