今回は、「染付 蓋付灰落し」3点の紹介です。
<染付 山水文 蓋付灰落しA>
正面
正面の裏側面
蓋を外したところ
本体を伏せ、蓋を裏返したところ
生 産 地 : 肥前・有田
製作年代: 江戸時代中期~後期
サ イ ズ : 高さ(蓋共);10.1cm 蓋口径;6.4cm 本体口径;5.7cm 本体底径;4.1cm
<染付 山水文 蓋付灰落しB>
正面
正面の裏側面
蓋を外したところ
本体を伏せ、蓋を裏返したところ
生 産 地 : 肥前・有田
製作年代: 江戸時代中期~後期
サ イ ズ : 高さ(蓋共);8.6cm 蓋口径;5.7cm 本体口径;5.3cm 本体底径;4.0cm
おまけ:蓋付灰落しAと蓋付灰落しBのツーショット
正面
正面の裏側面
<染付 むぎわら文 蓋付灰落しC>
正面
蓋を外したところ
本体を伏せ、蓋を裏返したところ
生 産 地 : 肥前・有田
製作年代: 江戸時代中期~後期
サ イ ズ : 高さ(蓋共);9.7cm 蓋口径;6.5cm 本体口径;5.7cm 本体底径;4.3cm
なお、これ等の蓋付灰落しA、B、Cにつきましては、かつての拙ホームページの「古伊万里への誘い」の中で既に紹介済みです。
そこで、その紹介文を次に再度引用し、これ等蓋付灰落しの紹介とさせていただきます。
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<古伊万里への誘い>
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*古伊万里ギャラリー134 古伊万里様式染付山水文蓋付灰落しA (平成21年6月1日登載)
これは、湯呑み茶碗ではなく灰落しである。内側に釉薬が塗られていないのでそれとわかる。
特に、この灰落しと次の№135の灰落しは大・小の対のように見えるので、外観上は夫婦茶碗そのものである。
しかし、両者は決して大・小の対ではない。両者の山水文は、それぞれちょっと異なっているし、また、もともと対として一緒に売られていたものを買ってきたのではなく、まずこの大の方を購入し、その後1ヶ月ほど経ってから、全く別な場所で次の№135の小の方を購入したのだから当然である。
このように、全く別なものを、似ているという理由から、大・小の一対のようにしようとして買い集めて楽しむというのも骨董の楽しみ方の一つかもしれない。
ところで、たばこの歴史について、「たばこと塩の博物館」というホームページでちょっと調べてみた。それによると、
「江戸時代に形成されたたばこ文化の特徴のひとつに、細刻み(ほそきざみ)をきせるで吸うことがあげられます。なぜ、葉たばこを細く刻むようになったかは、諸説ありますが、毛髪のように細く刻むという例は、外国にはみられません。」
とのこと。また、日本の刻みたばこの製造の歴史については、
「日本の刻みたばこの製造は、手刻みから発達し、商品としての需要が増加するにつれて、能率のよい機械が何種類か考案されました。
手刻みは、伝来当初から行われ、一部の地方では、明治37年(1904)に専売制が施行されるまで続きました。葉たばこの葉脈を取り、数種類の葉を組み合わせて重ね、四ツ折りとした巻き葉を押え板で押えながら、たばこ包丁で刻むという方法でした。はじめは荒く刻んでいましたが、後には「こすり」といって、髪の毛ほどの細さに刻むようになりました。」
と記されている。それに伴い、喫煙具は、
「喫煙に必要な火入れ、灰落し、たばこ入れ、きせるなどをひとつにまとめたたばこ盆は、刻みたばこの喫煙に便利なようにと改良され、機能的に優れたものとなっていきました。」
とある。
以上のことから、「灰落し」も、江戸時代もかなり早い頃から登場してきているはずと思われるが、古伊万里関係の本や図録には、宝暦頃からしか登場してこないようである。この「灰落し」も、だいたいその頃に作られたのであろう。
江戸時代中期~後期 高さ(蓋共):10.1cm 口径:5.7cm
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*古伊万里ギャラリー135 古伊万里様式染付山水文蓋付灰落しB (平成21年6月1日登載)
( 説明は№134参照 )
江戸時代中期~後期 高さ(蓋共):8.6cm 口径:5.3cm
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*古伊万里ギャラリー136 古伊万里様式染付むぎわら文蓋付灰落しC(平成21年6月1日登載)
( 説明は№134参照 )
江戸時代中期~後期 高さ(蓋共):9.7cm 口径:5.7cm
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*古伊万里バカ日誌69 古伊万里との対話(灰落し) (平成21年5月筆)
登場人物
主 人 (田舎の平凡なサラリーマン)
灰落しA (古伊万里様式染付山水文蓋付灰落し)
灰落しB ( 〃 )
灰落しC (古伊万里様式染付むぎわら文蓋付灰落し)
灰落しA | 灰落しB (灰落しAより一回り小ぶり) |
灰落しC (灰落しAとほぼ同じ大きさ) |
・・・・・プロローグ・・・・・
主人は、今日は何と対話をしようかと押入れ内をガサゴソとやっていたが、「 あれっ! こんなものもあったんだ! 」というような物を見つけ出した。
そこで、さっそく引っ張り出してきて対話をはじめた。
主人: 押入れの中をひっかきまわしていたら、「 あれっ! 我が家にはこんな物もあったのか! 」と思ったよ。お前達は湯呑み茶碗でもないから日常の使用には役立たないし、鑑賞するようなシロモノでもないしで、買ってきてすぐに押入れに入れてしまってそれっきりになってしまったからだね。
灰落しA・B・C: 私達は湯呑み茶碗ではないんですか。それでは何の用途用に作られたんでしょうか。
主人: 「灰落し」だよ。
灰落しA・B・C: えっ? 「灰落し」ですか! 「灰落し」って何ですか。
主人: 「灰落し」というのはね、よく時代劇に出てくるだろう、キセルでタバコを吸う場面が、そこに登場してくるんだ。
刻みタバコを吸う場面に、タバコ盆が出てくるよね。よく見ると、そのタバコ盆の中には火入れと筒状の物が入ってることがわかるよね。キセルに刻みタバコを詰め込んで、火入れで火を付け、吸い終わったら、吸い口から吹いて吸い殻をその筒状の物の中に落し入れたり、あるいは、キセルの雁首をその筒状の物の口の所でトントンとたたいて吸い殻を落し入れているだろう。その筒状の吸い殻入れを「灰落し」というんだよ。
灰落しA・B・C: はい、わかりました。
でも、どうして私達は湯呑み茶碗ではなく「灰落し」だとわかるんですか。外観は、どうみても湯呑み茶碗にしか見えないですけど、、、、、。
主人: それはね、お前達の内側を見ればわかるんだよ。内側に釉薬が塗られていないんだ。 普通、飲み物を入れる器には、液体が染み出さないようにするために、器の内側にも釉薬が塗られているわけだが、お前達にはそれがないんだ。ということは、お前達は飲み物を入れるためのものとして作られたわけではないということがわかるからさ。
灰落しA・B・C: そうですか。わかりました。
それにしても、どうして蓋まで付いているんでしょうね。蓋まで付いていますと、外観からは、ますます湯呑み茶碗にしか見えないんですよね。
灰落しA・B: 私達なんか大・小の対のように見えますから、いかにも夫婦茶碗といったところですものね。
主人: 現代の各家庭では、ガスや電気などを燃料にしているからその理由がわかりずらいんだけど、昔は薪や炭を燃料にしていたわけで、そこを考えるとなぜ蓋を付けたかがわかるんだよ。
私が子供の頃はまだ燃料の主力は薪や炭だった。ガスや電気などは燃料としては一般的ではなかった。
当時は、軟陶の蓋付きの「火消壷」というものがあって、薪や炭の残り火をその「火消壷」というものの中に入れ、蓋をしたんだ。蓋をすることによって煙が漏れ出すのを防ぐとともに、酸素を遮断して火を完全に消したわけだ。また、薪や炭の残り火を途中で消すことによって、燃料としてまだ使える部分も残るわけで、そのまだ使える部分は再度燃料として利用していた。一度に全部使い切って灰にしてしまわないで途中で止めることによって残り部分も利用したんだね。ずいぶんと節約もしたわけだ。
「灰落し」もそうだね。「灰落し」の中に吸い殻を落し入れ、蓋をすることによって煙が漏れ出すのを止めるとともに吸い殻の火を完全に消したわけだ。もっとも、吸い殻の燃え残りの部分を集め、それをまたキセルに詰めて吸ったかどうかまではわからないけどね、、、。
灰落しA・B・C: ご主人は、どうして、私達のような、実用にもならない、鑑賞用にもならないようなものを買われたんですか?
主人: どうしてと言われると返答に窮するんだけど、強いて言えば、ちゃんと蓋まで付いていたからかな。「灰落し」は、これまで説明してきたとおり、実用品だから、消耗が激しく、蓋まで残っているのは少ないんだよ。「灰落しA」の蓋の部分にちょっとしたソゲがある程度で、お前達は、実用品にしてはかなり保存状態が良いものね。
ところで、私は、お前達をまとめていっぺんに購入したわけではないんだ。「押入れ帳」を見ると、「灰落しA」と「灰落しC」を平成5年の9月に買っているが、「灰落しB」は1ヶ月後の平成5年の10月に買っている。「灰落しA」と「灰落しC」を買った時点で、もう「灰落し」は買うまいと思ったんだが、たまたま1ヶ月後に「灰落しA」を一回り小さくした「灰落しB」に遭遇してしまい、ちょうど「灰落しA」とで対になり、夫婦茶碗みたいな感じになるな~と思い、「灰落しB」も購入することにしたわけだ。
そんなわけで、私は「灰落し」の収集に執念を燃やしているわけではないんだが(笑)、今、「灰落しC」を一回り小さくしたような「灰落し」が出現してきたとしたら、それも買うかもしれないね。
灰落しA・B・C: コレクターの心理ってわからないですね。
主人: そうだね、コレクターの心理は不可解だね。実用にも鑑賞用にもならない物を集めてみたり、更には、新たに加えるとペアになるとかなんとかいって、その実用にも鑑賞にもならない物をますます増やしていくんだからね。
それから気になって、状態の良いのがあると、時々、買うようになったわけです。
最初に、湯呑み茶碗だとの説明があったなら、湯呑み茶碗ならば、ごくありふれたものですしつまらないですから、その後は振り向きもしなかったでしょうし、目にしても目に入らなかったと思います(^_^)
骨董は、物との出会いもありますが、骨董屋という人との出会いもありますね(^-^*)
見ているけれど、見えていない。
漫然と物をみていてもダメですね(^^;
私は、けっこう見かけています。見かけるだけでなく、結構な数を買っているんです(~_~;)
昨年も、10月に1個、11月に1個、それぞれ骨董市で、しかも共に蛸唐草の灰落しを買っています。
灰落しには高級品無いようですね。でも、昨年の11月に買った灰落しは、骨董市のオヤジは、「東大寺の大僧正が使っていた湯呑みですよ」と言って売ってました。話だけは高級なようです、、、(笑)。
私は、どういうわけか、灰落しを買ってしまうようです。今、ざっと思い出してみても、7点は持っていますね。もっとあるかもしれません(~_~;)
ただ、多分、全部、染付のように思います。
今度、色絵のものを見かけたら買うことにします(^_^)
高級品はなかったのでしょうか。
いずれにしても、レア物ですね。
色絵の灰落としも見つけたいですね。