一昨日の昼過ぎ,町の裏通りを通行中に どこかの知らない犬に襲われて足の脛を噛まれた。Merde! (クソッタレ!)
それは自転車で駅に向かう途中の出来事であった。ある地区の小公園に沿った裏道をゆっくり通り抜けようとした。公園内の様子をチラリと見れば,隅のほうで小型犬が二匹じゃれあっていた。犬種はミニチュアダックスフンドとロン毛のチワワ,いずれも昨今人気のペット犬である。傍らには御年70才前後と思われるジーサン&バーサンが各一名。どうやらいつもの日課でもあるのか,犬のお散歩の際に公園に立ち寄って飼い主がリードを外して園内で犬たちを自由に遊ばせている,といった感じの光景だった。そんななかを自転車で走り過ぎながら公園の木間越しにチワワの方と目があったのが,ワタクシにとっての「不幸の始まり」でありました。
そのチワワが,何を思ったか急にキャンキャンと鋭く吠えたてながら公園を飛び出し,私の方に向かってダッシュで駆け寄ってきたのである。当方としては先にチョッカイを出したわけでもなく,あるいは犬たちを睨み付けて威嚇したとかいうわけでも決してございません。要するに先方の何らかの思い込みにより一方的に「敵」と見為されてしまったようなのだ。アリャリャ。これまたウルサイ奴に絡まれそうだゾ。そのまま速やかに遠ざかろうとしたが,路地から広い通りに出る際に一時停止した。するとそのチワワ奴は,私の自転車の前に素早く回り込んで一層激しくキャンキャンキャンキャン吠え続けたのだ。アレレ,このまま走ったらチワワを轢いちゃうかも知れず,そうなればまた厄介なことになるだろうし,さてどうしたものかなぁ,と,自転車を停めたまま,しばし状況打開策を探っていた。
やがて飼い主のジーサンの方が慌ててバカ犬もとい愛犬チワワを追いかけて私どものすぐ近くまでやってきた。その加勢に気をよくしたのか,チワワ奴は,いきなり当方の左足に飛びかかって脛にガブリと噛みついたのである。アイタタ! おい,それはないだろ。ズボンの上から噛まれたのだが,それでも結構痛かった。
その愛犬もといバカ犬の行動の一部始終を傍らで見守りながら,当のジーサンときたら,ただただオロオロするばかり。ひたすら当方に向かって スミマセン,スミマセン を繰り返すのみなのである。火が付いたようにさらに興奮した様子で動き回り吠えたてるチワワを急ぎ取り押さえてリードで繋ごうともしない。こちらとしては敵の第二次攻撃に備えて本気で身構えざるを得なかった。場合によっては蹴りのひとつも入れてやろうか知らん。
いっぽう,遅れて現場に駆けつけたバーサンの方は,もう一匹のミニチュアダックスフンドを従えながら,被害者たる私には見向きもせず,加害者たるチワワ奴に向かってなだめるように諭すように話しかけるばかりなのであった。 大丈夫よ。ほら,もう恐くないからね。大丈夫よ! ヲイヲイ,そりゃまるで足を噛まれた私の方が一方的に悪者であるかのような言い様ではないか。 Stronzo~! (クソッタレ~!)
あいにく当方,少々先を急ぐ用事があったので,こんなところで事を荒立ててクダラヌ時間を延々と費やすわけにもゆかず,それでも一応,なおもオロオロし続けるジーサン&バーサンに対して,その場で二言,三言キツク意見しておいた。
。。。飼い犬を家の外に出すときは,放し飼いにせず,ちゃんとリードで繋いでくださいね! ここは天下の公道でしょう。アナタらにとってはカワイイ愛犬かもしれないけれど,道を歩いていて急に足を噛まれた者にとっちゃ,単なるバカ犬でしかないんですよ。もし噛まれたのが小さな子供さんだったりしたら一体どうするんですか。相手によっては,あなたたち訴えられますよ。 とにかく,ほら,今すぐ,早く,その子を繋ぎなさ~い!
ジーサンは相も変わらず スミマセンスミマセン を鸚鵡のように繰り返すのみ。ただ一言,予防注射はちゃんとしてあるから大丈夫です,と言い訳めいたセリフを付け加えた。そういう問題か,っての! 一方のバーサンときたら,ムッとした顔つきで押し黙ったままである。あー,ダメダ,こりゃ。事態に見切りをつけ,嫌な気分を抱えたままでその場をそそくさと立ち去ることにした。背後にバカ犬のキャンキャン声をなおも聞きながら。
駅に着いてから噛まれた脛を改めて点検してみると,クッキリした噛み跡が3箇所あって血が流れ出ており,全体にうっすら青黒く腫れていた。チビ犬でも,その気になると結構手強いものだ。ユメユメ侮るべからず。取りあえずは洗面所に入って傷口を水道水で洗い流し,タオルで拭いてバンドエイドを貼っておいた。
その夜,帰宅してからも,足の痛みはまだ少し残っており,加えて,そのときのイヤ~な気分も多少は残っていた。いや別に,件のジジババを探し出して改めてどうこうしようなどという気はさらさらない。今日のジーサンは明日のオマエか?Aujourd’hui vieillard, demain toi? というわけであるからして。ましてや,バカ犬たるチワワ君を責める気などまったくない。彼は彼でジジババたちの忠実な使徒,もしくは昨今の世知辛い世間に舞い降りた堕天使?のごとき存在でしかないのだから。いずれにしても,つらつらおもんばかるに今回の出来事はおそらく我国における近年の老人事情ならびにペット事情を反映した,ごくごくアタリマエのエピソードに過ぎないのだろう。そんなことを話題に取り上げるのは私とて少々気恥ずかしい。けれど,かような現実をシッカリと認識し,そしてそのことを関係者諸氏にキチンと指摘しておくこともまた,第二,第三の堕天使を生まないために,それなりに意味があることと思う。
世が世であれば,平日の昼日向に御隠居のジーサンバーサンたちのすることといったら孫のお守り役くらいなもので,例えば公園の陽だまりで孫を遊ばせながらノンビリ世間話でもしてゆったりとした時間を過ごしていたのであろう。けれど,そんな日常風景がごくアタリマエであった社会は,もう遥かな昔のことになってしまった。いつのまにか,孫がペットにすり替わってしまった。それも今日日はほとんどがチャラチャラした小型犬,いわゆる座敷犬である(座敷ワラシ,というわけか!) 時代が移りゆくとともに家族制度も徐々に変貌をとげ,そして家族組織のなかからツマハジキにされた孤独なジジババは,やがてペットと共に日々を暮らし,ペットを溺愛し,ペットに強く依存するようになっていった。だってそれしかないんだもの。先進社会におけるお定まりの構図である。シアワセというものはその裏につねに不幸を孕んでいるのであって,ま,やたらと長生きするのも考えものですね。でもここはひとつ,ケナゲにもハカナゲにも,あるいはアツカマシクもズウズウシクも何とかかんとか生き長らえているジジババたちに,愛するペットとの付き合い方というものを改めて今一度考え直していただきたい,と,ジジババ予備軍たる私としてはエールを送るような気持ちを込めつつ切に願わざるを得ないのである。例えばですね,生物学的には同じ哺乳類(Mammalia)ではあっても,ジジババ及びその孫は霊長目(Primate)ヒト科(Hominidae)に属し,いっぽう,ペットは食肉目(Carnivora)イヌ科(Canidae)に属するのであって,両者は目Orderレベルで違う,非常に異なったイキモノなのであるということを,もし理解が許すのでありますれば,ここで今一度シッカリ認識していただきたいと願っている次第なのであります。それはどういうことかと申せば,孫がメダカ(ダツ目)ならペットはブラックバス(スズキ目),というレベルなのですよ(おお,ヒドイ喩えだ!)
愚見はこれまで。 シツコイようですが,それでもやっぱり生きねばならず。 FAUT VIVRE!
それは自転車で駅に向かう途中の出来事であった。ある地区の小公園に沿った裏道をゆっくり通り抜けようとした。公園内の様子をチラリと見れば,隅のほうで小型犬が二匹じゃれあっていた。犬種はミニチュアダックスフンドとロン毛のチワワ,いずれも昨今人気のペット犬である。傍らには御年70才前後と思われるジーサン&バーサンが各一名。どうやらいつもの日課でもあるのか,犬のお散歩の際に公園に立ち寄って飼い主がリードを外して園内で犬たちを自由に遊ばせている,といった感じの光景だった。そんななかを自転車で走り過ぎながら公園の木間越しにチワワの方と目があったのが,ワタクシにとっての「不幸の始まり」でありました。
そのチワワが,何を思ったか急にキャンキャンと鋭く吠えたてながら公園を飛び出し,私の方に向かってダッシュで駆け寄ってきたのである。当方としては先にチョッカイを出したわけでもなく,あるいは犬たちを睨み付けて威嚇したとかいうわけでも決してございません。要するに先方の何らかの思い込みにより一方的に「敵」と見為されてしまったようなのだ。アリャリャ。これまたウルサイ奴に絡まれそうだゾ。そのまま速やかに遠ざかろうとしたが,路地から広い通りに出る際に一時停止した。するとそのチワワ奴は,私の自転車の前に素早く回り込んで一層激しくキャンキャンキャンキャン吠え続けたのだ。アレレ,このまま走ったらチワワを轢いちゃうかも知れず,そうなればまた厄介なことになるだろうし,さてどうしたものかなぁ,と,自転車を停めたまま,しばし状況打開策を探っていた。
やがて飼い主のジーサンの方が慌ててバカ犬もとい愛犬チワワを追いかけて私どものすぐ近くまでやってきた。その加勢に気をよくしたのか,チワワ奴は,いきなり当方の左足に飛びかかって脛にガブリと噛みついたのである。アイタタ! おい,それはないだろ。ズボンの上から噛まれたのだが,それでも結構痛かった。
その愛犬もといバカ犬の行動の一部始終を傍らで見守りながら,当のジーサンときたら,ただただオロオロするばかり。ひたすら当方に向かって スミマセン,スミマセン を繰り返すのみなのである。火が付いたようにさらに興奮した様子で動き回り吠えたてるチワワを急ぎ取り押さえてリードで繋ごうともしない。こちらとしては敵の第二次攻撃に備えて本気で身構えざるを得なかった。場合によっては蹴りのひとつも入れてやろうか知らん。
いっぽう,遅れて現場に駆けつけたバーサンの方は,もう一匹のミニチュアダックスフンドを従えながら,被害者たる私には見向きもせず,加害者たるチワワ奴に向かってなだめるように諭すように話しかけるばかりなのであった。 大丈夫よ。ほら,もう恐くないからね。大丈夫よ! ヲイヲイ,そりゃまるで足を噛まれた私の方が一方的に悪者であるかのような言い様ではないか。 Stronzo~! (クソッタレ~!)
あいにく当方,少々先を急ぐ用事があったので,こんなところで事を荒立ててクダラヌ時間を延々と費やすわけにもゆかず,それでも一応,なおもオロオロし続けるジーサン&バーサンに対して,その場で二言,三言キツク意見しておいた。
。。。飼い犬を家の外に出すときは,放し飼いにせず,ちゃんとリードで繋いでくださいね! ここは天下の公道でしょう。アナタらにとってはカワイイ愛犬かもしれないけれど,道を歩いていて急に足を噛まれた者にとっちゃ,単なるバカ犬でしかないんですよ。もし噛まれたのが小さな子供さんだったりしたら一体どうするんですか。相手によっては,あなたたち訴えられますよ。 とにかく,ほら,今すぐ,早く,その子を繋ぎなさ~い!
ジーサンは相も変わらず スミマセンスミマセン を鸚鵡のように繰り返すのみ。ただ一言,予防注射はちゃんとしてあるから大丈夫です,と言い訳めいたセリフを付け加えた。そういう問題か,っての! 一方のバーサンときたら,ムッとした顔つきで押し黙ったままである。あー,ダメダ,こりゃ。事態に見切りをつけ,嫌な気分を抱えたままでその場をそそくさと立ち去ることにした。背後にバカ犬のキャンキャン声をなおも聞きながら。
駅に着いてから噛まれた脛を改めて点検してみると,クッキリした噛み跡が3箇所あって血が流れ出ており,全体にうっすら青黒く腫れていた。チビ犬でも,その気になると結構手強いものだ。ユメユメ侮るべからず。取りあえずは洗面所に入って傷口を水道水で洗い流し,タオルで拭いてバンドエイドを貼っておいた。
その夜,帰宅してからも,足の痛みはまだ少し残っており,加えて,そのときのイヤ~な気分も多少は残っていた。いや別に,件のジジババを探し出して改めてどうこうしようなどという気はさらさらない。今日のジーサンは明日のオマエか?Aujourd’hui vieillard, demain toi? というわけであるからして。ましてや,バカ犬たるチワワ君を責める気などまったくない。彼は彼でジジババたちの忠実な使徒,もしくは昨今の世知辛い世間に舞い降りた堕天使?のごとき存在でしかないのだから。いずれにしても,つらつらおもんばかるに今回の出来事はおそらく我国における近年の老人事情ならびにペット事情を反映した,ごくごくアタリマエのエピソードに過ぎないのだろう。そんなことを話題に取り上げるのは私とて少々気恥ずかしい。けれど,かような現実をシッカリと認識し,そしてそのことを関係者諸氏にキチンと指摘しておくこともまた,第二,第三の堕天使を生まないために,それなりに意味があることと思う。
世が世であれば,平日の昼日向に御隠居のジーサンバーサンたちのすることといったら孫のお守り役くらいなもので,例えば公園の陽だまりで孫を遊ばせながらノンビリ世間話でもしてゆったりとした時間を過ごしていたのであろう。けれど,そんな日常風景がごくアタリマエであった社会は,もう遥かな昔のことになってしまった。いつのまにか,孫がペットにすり替わってしまった。それも今日日はほとんどがチャラチャラした小型犬,いわゆる座敷犬である(座敷ワラシ,というわけか!) 時代が移りゆくとともに家族制度も徐々に変貌をとげ,そして家族組織のなかからツマハジキにされた孤独なジジババは,やがてペットと共に日々を暮らし,ペットを溺愛し,ペットに強く依存するようになっていった。だってそれしかないんだもの。先進社会におけるお定まりの構図である。シアワセというものはその裏につねに不幸を孕んでいるのであって,ま,やたらと長生きするのも考えものですね。でもここはひとつ,ケナゲにもハカナゲにも,あるいはアツカマシクもズウズウシクも何とかかんとか生き長らえているジジババたちに,愛するペットとの付き合い方というものを改めて今一度考え直していただきたい,と,ジジババ予備軍たる私としてはエールを送るような気持ちを込めつつ切に願わざるを得ないのである。例えばですね,生物学的には同じ哺乳類(Mammalia)ではあっても,ジジババ及びその孫は霊長目(Primate)ヒト科(Hominidae)に属し,いっぽう,ペットは食肉目(Carnivora)イヌ科(Canidae)に属するのであって,両者は目Orderレベルで違う,非常に異なったイキモノなのであるということを,もし理解が許すのでありますれば,ここで今一度シッカリ認識していただきたいと願っている次第なのであります。それはどういうことかと申せば,孫がメダカ(ダツ目)ならペットはブラックバス(スズキ目),というレベルなのですよ(おお,ヒドイ喩えだ!)
愚見はこれまで。 シツコイようですが,それでもやっぱり生きねばならず。 FAUT VIVRE!