ジジ・ババのコンテスタシオン

2002年07月01日 | 日々のアブク
 もう10年以上も前から現在に至るまでずっと,日常的に「万歩計」を身に付けている。初めは日々の自己健康管理の一助として,というような殊勝な心掛けから始まったように記憶しているが,その後しばらくすると徐々に初期の目的意識は失なわれ,それでもせっかく持っているのだからと半ば惰性で装着する状態が続き,惰性はやがて習慣となって,現在に至るまで絶えることなく万歩計を携えて毎日を過ごしている。日々の歩行記録も大部分は残っていると思う(そっちの方は一応マメな方だ)。一日の最高歩数は確か4万3千数百歩だったかな。

 そしてこの10余年の間,ちょうど履き古した靴を交換するようにして,しばしば新しい機種に買い換えた。通算すればかれこれ10個近くの万歩計を使用してきただろうか。最初の頃は,単に歩数が累積的に記録されるだけの,ごくシンプルな万歩計で満足していた。10年も前といえば,よく仕事先などで,ズボンのベルトに装着した当方のそれを目ざとく見付けた相手から「ポケベルですか?」などと問われたこともあった。ポケベルが一種のステイタスだった時代,万歩計など年寄りのリハビリ機器くらいにしか思われていなかった時代の話である。しかし,そんな世間の冷たい眼にも断じてメゲズにマイペースを貫き,のみならず,そのうちに少々色気を出したりしてキカイに幾ばくかの付加価値を求めるようになり,「距離換算」ができるもの「カロリー計算」ができるもの「時計付き」のもの,さらには《東海道五十三次》だとか《奥の細道》だとか《伊能忠敬》だとかをテーマにした旅シリーズ物の万歩計などを次から次へと購入しては試用・着用した次第である。

 最近2年近くはずっと《ポケット・ピカチュウ・カラー》を愛用していた。夏場などにそれを腰ベルトにつけていると,他人から「年甲斐もなく!」と見咎められることなきにしもあらずであったが,いやいや,これがなかなか高機能な万歩計で,累積歩数や1週間前までの日々の歩数記録をメモリーできるし,ゲームも入っているし,さらには時折ピカチュウーが「ガンバッテー!」と励ましてくれたりもして,自分としては結構気に入っていた。実際のところ,機能的にこれを超える機種が,少なくとも私自身は未見であった。

 ところが最近,このポケピカ君が徐々に調子悪くなってきた。液晶画面の何ヶ所かに「ゴミ」が発生しはじめたのだ(あぁ,これも我が家の《家電崩壊》の一端だろうか)。

 そこで代替機種をインターネット等でいろいろと検討した結果,オムロン製の《Walking style HJ-700IT》という万歩計を新たに購入することに決めた。いや,万歩計などと言ってはイケナイようで,今日びは「ヘルス・カウンタ」と称するらしい。しかしこれがまた,非常に画期的・革命的に高機能な機種で,かつすこぶる楽しい要素がふんだんに盛り込まれている。それは主としてパソコン及びインターネットを介することによってもたらされる付加価値である。すなわち,歩行記録をUSB接続でパソコンに転送し,パソコンの専用ソフトウェアで自らのデータの成分分析ならびに経時的管理ができる。それも,日々の記録だけではなく日内の時間帯別歩数までもが記録され,さらに「しっかり歩行」と「だらだら歩行」という区別さえ出来るのだ。ちなみに,前者は毎分60歩以上で10分間以上の継続的歩行,後者は通常の歩いたり止まったりの断続的歩行のことである。

 かてて加えて,インターネット上には当該ヘルス・カウンタのユーザー専用ホームページが開設されており,ごく簡単な操作で自らのデータをホームページに送信すると,ネット上においても様々なデータ管理・分析及び情報のフィードバックが可能となる。例えば,全ユーザー中の自分のポジション(歩行ランキング)を知ることができる。専門家への質問もできる。バーチャル・ツアー(温泉の旅,とか)なんてものもできる。ウォーカー仲間の掲示板もある(んなもんイランけど)。などなど。6月末現在,ホームページに登録されているユーザー数は計974人であった(まだ発売されて2ヶ月位らしいから,こんなものか)。最高齢者は77才,最年少は22才だったろうか。概ね40代~60代が主体であるように見受けられる。なかで,私の累積歩数ランクは全国で529位,男だけなら819人中459位でした(もっとも,当方は6月15日からスタートしたというハンディがありますが)。1日の平均歩数は8267歩と記録されている。もっと頑張らねばネ! ちなみに,全国ランキングのベスト50位以内に入るには,少なくとも毎日1万5千歩以上は歩かないと無理なようだ。何せトップの方(東京都の男性,55才会社員)など,1日平均3万8千歩も歩いている。1ヶ月間,毎日毎日4万歩近く歩き続けるとは,一体どういう人間じゃ? 『ある兵士の賭け』(by石原プロ)モドキでありましょうか? あるいは,ノート・パソコン携えたお遍路さん?

 いやぁ,それにしても最新の電子技術,通信技術を介しての「開かれたシアワセ世界」の構築,科学は時として実に楽しく魅力的なオモチャを提供する。これぞ中高年の秘かな愉しみといわずして何といおう。何だか,昨今の若年世代におけるケータイ電話を介する「閉じられたシアワセ世界」に対するジジ・ババのコンテスタシオンみたいだなぁ。
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「ママ」 から 「オカアサン... | トップ | 最近では「漢字大好きっ子」... »
最新の画像もっと見る

日々のアブク」カテゴリの最新記事