代理人ではできない、本人にしか決定できないものがある!!
成年被後見人においては、判断能力が常に欠けている状態であるので、成年後見人が代理人となって、代わりに意思表示を行い契約等をむすぶことになり、また、被後見人が行った契約等は、取り消すことができることになります。
この成年後見人(以下、略して単に「後見人」といいます。)でさえ、代理等ができないものをあげると次のようなものがある。これらは、本人自身によって絶対的になされなければならないものであり、代理人が行っても、その効果は本人に帰属しません。なお、後見人に独自のものは、除いてありますので、一般的な「代理人」であっても同様の結論になり、代理人に共通の考え方となるものと思われます。
1、身分行為
本人の婚姻、離婚、養子縁組、養子離縁、認知などの行為は、たとえ代理人であっても、代わって意思表示を行うことはできません。
また、遺言書を作成することも代理人としてはできません。
これらは、身分行為と呼ばれており、本人自身の意思のみによって行われるべきであり、代理にはなじまないとされています。
2、本人の身体に対する強制を伴うもの
本人に入院や施設入所をさせることや病院にかかることを強制的に行うことはできません。本人の身体に対する強制を伴うからです。
(ただし、家族の同意を得て入院させる医療保護入院については、成年後見人は、精神保健福祉法で、保護者としての同意がなくてもできますが、これは特別に別途の法律=精神保健福祉法で認められているからです。)
3.医療行為の同意
本人に代わって医療契約を結ぶことはできますが、具体的な医療行為を受けさせることは、身体の苦痛や危険を伴うことになるため、代理人が本人に代わって同意を行うことはできません。
これは、新しく成年後見制度ができる頃(平成12年)に、同意権を与えてはという議論がなされましたが、「医療の倫理に関する医療専門家等の十分な議論を経たうえで、将来の時間をかけた検討に基づいて、慎重に立法の要否・適否を判断すべき事柄である」という理由から、将来の課題として見送られてしまいました。*1 難しく言うと、医療行為の同意権は、身体の不可侵という人格権に基づくものであって、一身専属的な権利であるという考えからです。従来は、家族がいて後見人がなることが多かったので、慣例的に家族としての同意ができるため、そう問題はなかったのですが、第三者的後見人が増えてくると、同意権が全くないと考えられるため、突き詰めると、インフルエンザの予防注射さえも必要な医療行為がなされないことになってしまいます。
4.身体拘束の同意
これも同じようことですが、自傷他害行為(じしょうたがい、読んで字のごとくで、自分を傷つけ他人に害を与えることをいいます。)を防ぐために、本人の体をベットに縛り付けるとかは、本人の行動を制限する身体拘束と呼ばれ、原則として禁止されています。それでもどうしてもという場合に、一定の要件のもとに認められてはいますが、この場合に、施設側が家族に同意を求めることがあります。家族である後見人であれば別ですが、これも3.と同様に第三者的な後見人であれば、同意を行う権限は全くありません。
5.終末期医療や延命治療の中止
回復の見込みのない場合には、終末期医療をどうするか、最後まで治療を続けるか、これも一般には医師は家族に同意を求めることになりますが、そういった人がいない場合には、後見人に同意を求めてくることがありますが、これらは、出来る限りの「医療行為を行わないこと」にもなり、本人にしか決められないことなのです。
6.本人の居所を指定すること
後見人は、自宅での生活が客観的に困難だと判断した場合に、施設への入所を検討することになりますが、本人が自宅での生活を維持したいということで、施設の入所を頑なに拒み続けた場合は、どうすることもできません。同意なしに、本人に新しい住まいに入所させることは、身体の対する強制を伴う行為として、やはり本人の同意が不可欠だからです。後見人は、施設の入所契約をすることはできても、そこまでの強制権限はないのです。
*1 市民後見人養成講座1 民事法研究会発行 公益社団法人 成年後見センターリーガルサポート編から引用 ほかにも参考として
成年被後見人においては、判断能力が常に欠けている状態であるので、成年後見人が代理人となって、代わりに意思表示を行い契約等をむすぶことになり、また、被後見人が行った契約等は、取り消すことができることになります。
この成年後見人(以下、略して単に「後見人」といいます。)でさえ、代理等ができないものをあげると次のようなものがある。これらは、本人自身によって絶対的になされなければならないものであり、代理人が行っても、その効果は本人に帰属しません。なお、後見人に独自のものは、除いてありますので、一般的な「代理人」であっても同様の結論になり、代理人に共通の考え方となるものと思われます。
1、身分行為
本人の婚姻、離婚、養子縁組、養子離縁、認知などの行為は、たとえ代理人であっても、代わって意思表示を行うことはできません。
また、遺言書を作成することも代理人としてはできません。
これらは、身分行為と呼ばれており、本人自身の意思のみによって行われるべきであり、代理にはなじまないとされています。
2、本人の身体に対する強制を伴うもの
本人に入院や施設入所をさせることや病院にかかることを強制的に行うことはできません。本人の身体に対する強制を伴うからです。
(ただし、家族の同意を得て入院させる医療保護入院については、成年後見人は、精神保健福祉法で、保護者としての同意がなくてもできますが、これは特別に別途の法律=精神保健福祉法で認められているからです。)
3.医療行為の同意
本人に代わって医療契約を結ぶことはできますが、具体的な医療行為を受けさせることは、身体の苦痛や危険を伴うことになるため、代理人が本人に代わって同意を行うことはできません。
これは、新しく成年後見制度ができる頃(平成12年)に、同意権を与えてはという議論がなされましたが、「医療の倫理に関する医療専門家等の十分な議論を経たうえで、将来の時間をかけた検討に基づいて、慎重に立法の要否・適否を判断すべき事柄である」という理由から、将来の課題として見送られてしまいました。*1 難しく言うと、医療行為の同意権は、身体の不可侵という人格権に基づくものであって、一身専属的な権利であるという考えからです。従来は、家族がいて後見人がなることが多かったので、慣例的に家族としての同意ができるため、そう問題はなかったのですが、第三者的後見人が増えてくると、同意権が全くないと考えられるため、突き詰めると、インフルエンザの予防注射さえも必要な医療行為がなされないことになってしまいます。
4.身体拘束の同意
これも同じようことですが、自傷他害行為(じしょうたがい、読んで字のごとくで、自分を傷つけ他人に害を与えることをいいます。)を防ぐために、本人の体をベットに縛り付けるとかは、本人の行動を制限する身体拘束と呼ばれ、原則として禁止されています。それでもどうしてもという場合に、一定の要件のもとに認められてはいますが、この場合に、施設側が家族に同意を求めることがあります。家族である後見人であれば別ですが、これも3.と同様に第三者的な後見人であれば、同意を行う権限は全くありません。
5.終末期医療や延命治療の中止
回復の見込みのない場合には、終末期医療をどうするか、最後まで治療を続けるか、これも一般には医師は家族に同意を求めることになりますが、そういった人がいない場合には、後見人に同意を求めてくることがありますが、これらは、出来る限りの「医療行為を行わないこと」にもなり、本人にしか決められないことなのです。
6.本人の居所を指定すること
後見人は、自宅での生活が客観的に困難だと判断した場合に、施設への入所を検討することになりますが、本人が自宅での生活を維持したいということで、施設の入所を頑なに拒み続けた場合は、どうすることもできません。同意なしに、本人に新しい住まいに入所させることは、身体の対する強制を伴う行為として、やはり本人の同意が不可欠だからです。後見人は、施設の入所契約をすることはできても、そこまでの強制権限はないのです。
*1 市民後見人養成講座1 民事法研究会発行 公益社団法人 成年後見センターリーガルサポート編から引用 ほかにも参考として
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