縁側でちょっと一杯 in 別府

東京から別府に移住してきました。
のんびり温泉に浸かり、美味しい魚で一杯。
夢に見た生活を楽しんでいます。

マーティン・ルーサー・キング Jr.の夢

2007-01-21 12:06:06 | 最近思うこと
 この前の月曜日、15日はマーティン・ルーサー・キング Jr. の誕生日だった。彼はキング牧師として知られる、アメリカの公民権運動の指導者である。又、ノーベル平和賞の受賞者でもある。アメリカでは彼の誕生日に因み、1月の第3月曜日を祝日にしている(たまたま今年は誕生日と重なっていた)。

 以前、20世紀の偉大な瞬間といったタイトルのカセット・テープを持っていた。アポロ11号のアームストロング船長が人類で初めて月に降り立ったときの一言とか、オーソン・ウェルズが『宇宙戦争』のラジオ放送でまさに宇宙人の襲来を告げるシーンとか(注:あまりにリアルだったため、本当に宇宙人が攻めて来たのかと思う人が出て一時パニックになったそうだ)、第二次大戦中、エリザベス王女(当時)がラジオで国民を励ましたものとか、そんな内容である。英語の勉強にと思い買ったものだ。
 このテープの中に、マーティン・ルーサー・キング Jr. の “ I have a dream “ の演説も入っていた。ケネディの大統領就任演説と並び賞される、20世紀を代表する演説である。

 まずは簡単にこの演説が行われた経緯を。ご存知のようにリンカーンの奴隷解放によりアメリカの奴隷制は廃止されたが、現実には人種差別は百年近く経ってもなくならなかった。特に南部の州では、学校、バス、映画館、レストラン等、様々な生活の場面において、白人と黒人の利用を分けることが合法とまでされていた。選挙権すら黒人には実質的に制限されていた。
 1950年代以降、こうした差別に反対する運動、公民権運動が盛り上がりを見せ、1963年、20万人以上もの人が参加したワシントン大行進が行われた。そこで演説されたのが、“ I have a dream “ である。

 演説で最も有名なのは、確かテープに入っていたのもこの部分だけだったが、I have a dream that ~ で繰り返される、人種差別がなくなり、黒人と白人が手に手を取って生きる姿、夢を語った一節だ。興奮することなく、どちらかと言うと淡々と話していた記憶がある。
 例えば、「私には夢がある、ジョージアでかつての奴隷の子供たちとかつての奴隷所有者の子供たちが、仲間として一緒のテーブルに座れるようになること。私には夢がある、不正と抑圧に苦しむ、砂漠のようなミシシッピーが、自由と正義のオアシスに変わること。私には夢がある、私の4人の子供たちが、その肌の色ではなく、その性格によって判断される国に住むこと。」といった内容だ。

 今のアメリカが彼の夢見た世界になっているのかどうかはわからない。が、黒人のライス国務長官の活躍や、民主党のオバマ上院議員が次期大統領候補として取りざたされる等、黒人の地位は確実に上がっていると思う。しかし、一方でヒスパニック系住民の増加により、新たな人種問題が持ち上がっているとの話も聞く。
 マーティン・ルーサー・キングJr. は説く、アメリカは自由、平等、そして正義の国であり、黒人に自由を与えることはアメリカにとっても喜びのはずだ、と。黒人に限らず、すべての人が、自由に、平等に暮らすことのできる世界が実現すること、そんな彼の夢の叶う日が来ることを信じたい。