先日、荻窪音楽祭のトリを飾るコンサート、「クラシックとジャズの融合!」というのに行ってきた。荻窪音楽祭は今年でもう16回目とのことだが、今までまったくその存在を知らなかった。たまたまサントリ-ホールでもらったチラシの中に「クラシックとジャズの融合!」というコピーを見つけ、面白そうだなと思い、行くことにしたのである。
この音楽祭は、クラシックを通じ心のふれあいを広め、心豊かに暮らせる街にしたいとの思いから始められたとのこと。運営は“「クラシック音楽を楽しむ街・荻窪」の会”というボランティア団体が行っている。隣り街の阿佐ヶ谷のジャズに対抗して荻窪はクラシックなのかと思ったが、阿佐ヶ谷ジャズストリートはまだ13回なので歴史はこちらの方が古いようだ。
音楽祭の場所は杉並公会堂。学生のとき、もう20年以上も前だが、オケの友人の演奏会で来たことがある。地方の古い市民会館のようで、大学のオーケストラが演奏会をやるには十分だが、お世辞にも立派なホールとは言えなかった。が、今回行ってびっくり、昨年改築されたとのことで、見違えるほど綺麗になっていた。音響もなかなか良い。
さて、「クラシックとジャズの融合!」、期待した通りの内容だったかというと、正直、若干?である。
テーマのクラシックとジャズの融合という意味では、ガーシュインの『ラプソディ・イン・ブルー』が演奏されただけだった。出だしのクラリネットのソロは良かったし、松永貴志のピアノも良かったが(クラシックという意識もあったのか、丁寧というか、随分真面目に弾いている印象を受けたが)、これだけでテーマを表現したとは言えないだろう。消化不良の感が残る。
では、あとの演奏は何だったかと言うと、吹奏楽の演奏だったのである。そもそも演奏は東京佼成ウインドオーケストラ。プロの吹奏楽団なるものが日本にいくつあるのか知らないが、日本を代表する吹奏楽団らしい。今日の演奏会、本来は「吹奏楽とジャズの融合」あるいは「吹奏楽へのお誘い」とするのが正しかったであろう。
中高で吹奏楽部の演奏を聴いた以外は、吹奏楽の演奏を見た、もとい聴いたことはない。そのため「吹奏楽」の演奏自体はとても新鮮で、なかなか興味深かった。百聞は一見に如かず、クラシックと吹奏楽の違いがよくわかった。
まずオーケストラを見て驚いたのは、クラシックとの編成の違い。クラシックでバイオリンのいる所にクラリネットがいる。吹奏楽というのは、文字通り、吹いて奏でる音楽であり、木管や金管楽器を主に、打楽器を加えたものである。頭ではわかっていても、実際に生で吹奏楽のオーケストラを見ると、その珍しさに違和感を感じてしまった。
次に生で聴いて驚いたというか、クラシックとの違いを感じたこと。やはり吹奏楽の方が、音が華やかというか、派手であること。弦楽器主体のクラシックと違い、吹奏楽では金管楽器や打楽器が重要な役割を担っている。音量もあるし、劇的な効果も高い。確かに軍隊の行進に使われることを考えれば、威勢のいい音楽、それに相応しい楽器、ということになるのだろう。憂いを含んだ曲は行進には不向きだ。
逆にクラシックと吹奏楽の共通点、これはあくまで僕の個人的な感想だが、ともに現代の曲はわかりにくい、とっつき難いということ。当日の演奏は、『ラプソディ・イン・ブルー』を除き、ネリベルという人の曲(おそらく現代の吹奏楽に分類されると思う)が多かった。ネリベルは吹奏楽好きの方には垂涎の的なのかもしれないが、初めて聴く僕はあまり好きにはなれなかった。やはり吹奏楽といえば、スーザの『星条旗よ永遠なれ』とか、当日のアンコールで演奏された『ラデツキー行進曲』の方が良い。ともに古い曲である。
これはクラシックの場合も当てはまって、僕には武満徹の良さは理解できない。僕は現代音楽よりも近代音楽の方が好きだ。
なにはともあれ、若干看板に偽りありという気がしないでもないが、初の吹奏楽のコンサートは楽しめたし、荻窪の街を散策できたし(フレンチの『クレール・ド・リュヌ』はお勧め)、この音楽祭に行ったお陰で良い経験ができた。荻窪の方々の心意気に感謝!
この音楽祭は、クラシックを通じ心のふれあいを広め、心豊かに暮らせる街にしたいとの思いから始められたとのこと。運営は“「クラシック音楽を楽しむ街・荻窪」の会”というボランティア団体が行っている。隣り街の阿佐ヶ谷のジャズに対抗して荻窪はクラシックなのかと思ったが、阿佐ヶ谷ジャズストリートはまだ13回なので歴史はこちらの方が古いようだ。
音楽祭の場所は杉並公会堂。学生のとき、もう20年以上も前だが、オケの友人の演奏会で来たことがある。地方の古い市民会館のようで、大学のオーケストラが演奏会をやるには十分だが、お世辞にも立派なホールとは言えなかった。が、今回行ってびっくり、昨年改築されたとのことで、見違えるほど綺麗になっていた。音響もなかなか良い。
さて、「クラシックとジャズの融合!」、期待した通りの内容だったかというと、正直、若干?である。
テーマのクラシックとジャズの融合という意味では、ガーシュインの『ラプソディ・イン・ブルー』が演奏されただけだった。出だしのクラリネットのソロは良かったし、松永貴志のピアノも良かったが(クラシックという意識もあったのか、丁寧というか、随分真面目に弾いている印象を受けたが)、これだけでテーマを表現したとは言えないだろう。消化不良の感が残る。
では、あとの演奏は何だったかと言うと、吹奏楽の演奏だったのである。そもそも演奏は東京佼成ウインドオーケストラ。プロの吹奏楽団なるものが日本にいくつあるのか知らないが、日本を代表する吹奏楽団らしい。今日の演奏会、本来は「吹奏楽とジャズの融合」あるいは「吹奏楽へのお誘い」とするのが正しかったであろう。
中高で吹奏楽部の演奏を聴いた以外は、吹奏楽の演奏を見た、もとい聴いたことはない。そのため「吹奏楽」の演奏自体はとても新鮮で、なかなか興味深かった。百聞は一見に如かず、クラシックと吹奏楽の違いがよくわかった。
まずオーケストラを見て驚いたのは、クラシックとの編成の違い。クラシックでバイオリンのいる所にクラリネットがいる。吹奏楽というのは、文字通り、吹いて奏でる音楽であり、木管や金管楽器を主に、打楽器を加えたものである。頭ではわかっていても、実際に生で吹奏楽のオーケストラを見ると、その珍しさに違和感を感じてしまった。
次に生で聴いて驚いたというか、クラシックとの違いを感じたこと。やはり吹奏楽の方が、音が華やかというか、派手であること。弦楽器主体のクラシックと違い、吹奏楽では金管楽器や打楽器が重要な役割を担っている。音量もあるし、劇的な効果も高い。確かに軍隊の行進に使われることを考えれば、威勢のいい音楽、それに相応しい楽器、ということになるのだろう。憂いを含んだ曲は行進には不向きだ。
逆にクラシックと吹奏楽の共通点、これはあくまで僕の個人的な感想だが、ともに現代の曲はわかりにくい、とっつき難いということ。当日の演奏は、『ラプソディ・イン・ブルー』を除き、ネリベルという人の曲(おそらく現代の吹奏楽に分類されると思う)が多かった。ネリベルは吹奏楽好きの方には垂涎の的なのかもしれないが、初めて聴く僕はあまり好きにはなれなかった。やはり吹奏楽といえば、スーザの『星条旗よ永遠なれ』とか、当日のアンコールで演奏された『ラデツキー行進曲』の方が良い。ともに古い曲である。
これはクラシックの場合も当てはまって、僕には武満徹の良さは理解できない。僕は現代音楽よりも近代音楽の方が好きだ。
なにはともあれ、若干看板に偽りありという気がしないでもないが、初の吹奏楽のコンサートは楽しめたし、荻窪の街を散策できたし(フレンチの『クレール・ド・リュヌ』はお勧め)、この音楽祭に行ったお陰で良い経験ができた。荻窪の方々の心意気に感謝!