縁側でちょっと一杯 in 別府

東京から別府に移住してきました。
のんびり温泉に浸かり、美味しい魚で一杯。
夢に見た生活を楽しんでいます。

“ブラキストン線”を越えて

2007-11-17 23:57:00 | 最近思うこと
 先日、高校の東京在住者による同期会があった。出席者は50人程度。正直言って、この人数に驚いた。意外に東京に住んでるんだ、と思ったのである。おそらく当日出席できなかった人も含めれば、この倍、100人くらいは東京に住んでいるかもしれない。1学年450人だったので、おおよそ4人に1人ということになる。
 何度か書いているが、僕は北海道の出身である。僕の高校は地元では一応進学校であったが、東京の大学に行く人間は少なかった。北大をはじめ地元の大学に行く人間がほとんどである。さすがに大学を出て就職となると、北海道に良い就職先がないから、皆、否応なしに東京に出てきたのであろう。

 北海道民といえば、概して、歴史が浅く「家」の概念が希薄、因習に囚われない、考え方が自由だ、“Boys, be ambitious !”のお膝元だしフロンティア・スピリットに溢れている、等々、前向きというか、積極的なイメージが強いかと思う。
 しかし、実際はそうでもないようだ。『住民基本台帳人口移動報告(平成18年)』によると、北海道の他都府県への移動者の比率、社会的移動率は 1.27%と全都道府県の中で最も低い。全国平均は 2.06%であり、その半分を若干上回る程度に過ぎない。早い話、地元から出て行く人間が少ないのである。この数字からは、新しいことに挑戦する気概や進取の精神は感じられない。
 社会的移動率の低い県は、北海道をトップに新潟 1.36%、富山1.47%、福井 1.51%と北陸の県が続く。保守的なイメージの強い北陸よりも社会的移動率が低い、開拓時代はいざしらず、今の北海道民は以外に保守的なのである。

 北海道は暮らしやすいから移動しない・引っ越さないのでは、との意見があるかもしれない。確かにそれはあると思う。自然が豊か、食べ物がおいしい、等々。
 が、ここで再び『住民基本台帳』を見ると、都道府県内での移動者の比率という統計がある。なんと、逆に全国で一番高いのが北海道である。4.26%と全国平均 2.35%の倍近い水準である。つまり、人は移動している、引っ越しているが、精々札幌止まりで北海道の外には出ない、ということである。
 北海道の年配の方の中には、本州のことを内地と言う人が多い。北海道の人にとって本州は外国と変わらないのだろうか。

 ところで、“ブラキストン線”をご存知だろうか。津軽海峡を動植物の分布境界線とする考えである。有名なものは熊、即ち、ヒグマは北海道にしか棲息していないし、ツキノワグマは本州以南にしかいない。エゾシカ、エゾリス、キタキツネなども同様である。もしや、ブラキストン線は人間にとっても、一つの壁になっているのかもしれない。
 僕が東京に来て一番驚いたもの、それはゴキブリである。寒い冬を乗り切れないのか、北海道にゴキブリはいない。少なくとも僕は見たことがなかった。初めてゴキブリを見たときの衝撃は忘れられない。あの黒光りする大きな体で、カサカサッと不自然なまでに素早く動き、おまけに飛ぶ、更には、ときに向かって飛んで来る、本当に許せない。

 しかし、何年か前に札幌に行った時、飲み屋でゴキブリを見た。チャバネの小さいのであったが、確かにゴキブリだった。そうか、こいつら、ブラキストン線を越えたんだ。
 ゴキブリを見習って(?)というのもなんだが、北海道の人も、昔のフロンティア魂を取り戻し、勇気を持って、もっとブラキストン線越えにチャレンジしてはどうだろうか。

 “Boys, be ambitious !” 道民よ、大志を抱け!