「日本一の温泉は?」と問われれば、僕は間違いなく別府と答える。
勿論、泉質や風情、雰囲気など、人それぞれ好みは分かれる。「温泉といえばやっぱり硫黄泉だ」、「美人になる重曹泉がいいわ」、「何は無くとも源泉かけ流し」、「野趣あふれる露店風呂でリラックスしたい」、「人里離れた山あいの一軒宿、秘湯が一番」、「いや、お湯も大事だが料理がおいしくないとダメ」、等々。
が、そんな細かいことは抜きにして、僕はやっぱり別府が日本一の温泉だと思う。規模や人々の日々の生活への浸透度など、別府は他の温泉を圧倒している。
まず、温泉の規模というか、その種類、集積が凄い。
別府には、別府八湯(はっとう)という、別府、浜脇、鉄輪、明礬、亀川、観海寺、柴石、堀田の八つの温泉がある。それぞれ個性の違う温泉である(もっとも同じ温泉であっても、源泉が違えば隣の宿であろうが湯の感触は違うが)。温泉の泉質は単純泉、塩化物泉など全11種と言われるが、なんと別府にはそのうち10種類ある。言ってみれば、別府は温泉のデパート、見本市だ。
僕は別府八湯の中で鉄輪がお気に入りで、別府に行ったときは必ず「鉄輪むし湯」に行く。むし湯というのは、早い話が和風サウナ。石菖(せきしょう)という薬草の敷き詰められた石室に入り、温泉の熱で蒸されるのである。温度は高いものの、普通のサウナと違い乾燥していないのがいい。石菖の香りも心地よい。又、花粉症に効くとの噂もある。
ところで、規模についてはデータの裏付けもある。別府には源泉が約2,900本あり、日本一の数を誇る。なんと別府だけで北海道や静岡県の源泉数を上回っているのである。又、別府の湧出量13万kl/日も日本一の量である。世界でもアメリカのイエローストーン国立公園に次ぐ湧出量であり、実際に利用されているという意味では別府が世界一といえるだろう。
別府には旅館・ホテルのほか共同浴場が多い。市内には100を越す共同浴場がある。鉄輪を歩けば、百メートルも行かないうちに次の共同浴場にぶつかり、まさに“犬も歩けば温泉にあたる”といった感じである。入浴料は100円程度の施設が多く、各々地元の常連さんで賑わっているようだ。即ち、別府の共同浴場は、観光客の外湯めぐりというより、地域の人々の生活のためにあるのである。
温泉が生活に密着という意味では“地獄蒸し”もはずせない。地獄蒸しは温泉の蒸気を利用して食材を蒸す料理であり、食感が良く、油や灰汁が抜け味も良い。別府の旅館、特に湯治客向けの宿には“地獄窯(蒸し窯)”を備えているところが多い。肉、魚介類、野菜、なんでもいける。地獄蒸しは、食材によって蒸し時間に多少差はあるが、ただザルやセイロに食材をのせるだけの、超簡単かつ極めて美味な料理である。
この地獄蒸し、別府に日帰りで行ってはなかなか味わうことが難しかった。鉄輪の旅館、大黒屋さんが地獄蒸し屋台を一般にも貸しており、自ら食材を持ち込み、地獄蒸し料理を味わうことができる。が、我々は大黒屋さんと相性が悪く、今まで1勝2敗の成績で屋台を貸してもらえなかった。そして女将さんが怖い。「今日は予約でいっぱいよ。」「これから踊りに行くからダメ(注:ちょうど「別府八湯温泉まつり」の日だった。)」と素っ気ない言葉で断られた。もっとも、とある店で聞いたところ、女将さんは田舎育ちゆえ愛想がないが、根はやさしい方だそうだ。予約せず突然行った我々がいけなかったのだろう。
しかし、皆さんに朗報が。3月28日、鉄輪・いでゆ坂に市営の『地獄蒸し工房 鉄輪』がオープンする。自ら地獄蒸しを体験できる施設である。地元の魚屋さんや八百屋さんで、その時期、地獄蒸しには何が良いかを聞き、是非、地獄蒸しに挑戦されては如何か。改めて温泉の力に感嘆すること請け合いだ。
(因みに、先日は「べっぷ駅市場」の魚屋さんで、ウチワエビ、カキ、オコゼが良いと紹介され、我々はすべて堪能いたしました。)
勿論、泉質や風情、雰囲気など、人それぞれ好みは分かれる。「温泉といえばやっぱり硫黄泉だ」、「美人になる重曹泉がいいわ」、「何は無くとも源泉かけ流し」、「野趣あふれる露店風呂でリラックスしたい」、「人里離れた山あいの一軒宿、秘湯が一番」、「いや、お湯も大事だが料理がおいしくないとダメ」、等々。
が、そんな細かいことは抜きにして、僕はやっぱり別府が日本一の温泉だと思う。規模や人々の日々の生活への浸透度など、別府は他の温泉を圧倒している。
まず、温泉の規模というか、その種類、集積が凄い。
別府には、別府八湯(はっとう)という、別府、浜脇、鉄輪、明礬、亀川、観海寺、柴石、堀田の八つの温泉がある。それぞれ個性の違う温泉である(もっとも同じ温泉であっても、源泉が違えば隣の宿であろうが湯の感触は違うが)。温泉の泉質は単純泉、塩化物泉など全11種と言われるが、なんと別府にはそのうち10種類ある。言ってみれば、別府は温泉のデパート、見本市だ。
僕は別府八湯の中で鉄輪がお気に入りで、別府に行ったときは必ず「鉄輪むし湯」に行く。むし湯というのは、早い話が和風サウナ。石菖(せきしょう)という薬草の敷き詰められた石室に入り、温泉の熱で蒸されるのである。温度は高いものの、普通のサウナと違い乾燥していないのがいい。石菖の香りも心地よい。又、花粉症に効くとの噂もある。
ところで、規模についてはデータの裏付けもある。別府には源泉が約2,900本あり、日本一の数を誇る。なんと別府だけで北海道や静岡県の源泉数を上回っているのである。又、別府の湧出量13万kl/日も日本一の量である。世界でもアメリカのイエローストーン国立公園に次ぐ湧出量であり、実際に利用されているという意味では別府が世界一といえるだろう。
別府には旅館・ホテルのほか共同浴場が多い。市内には100を越す共同浴場がある。鉄輪を歩けば、百メートルも行かないうちに次の共同浴場にぶつかり、まさに“犬も歩けば温泉にあたる”といった感じである。入浴料は100円程度の施設が多く、各々地元の常連さんで賑わっているようだ。即ち、別府の共同浴場は、観光客の外湯めぐりというより、地域の人々の生活のためにあるのである。
温泉が生活に密着という意味では“地獄蒸し”もはずせない。地獄蒸しは温泉の蒸気を利用して食材を蒸す料理であり、食感が良く、油や灰汁が抜け味も良い。別府の旅館、特に湯治客向けの宿には“地獄窯(蒸し窯)”を備えているところが多い。肉、魚介類、野菜、なんでもいける。地獄蒸しは、食材によって蒸し時間に多少差はあるが、ただザルやセイロに食材をのせるだけの、超簡単かつ極めて美味な料理である。
この地獄蒸し、別府に日帰りで行ってはなかなか味わうことが難しかった。鉄輪の旅館、大黒屋さんが地獄蒸し屋台を一般にも貸しており、自ら食材を持ち込み、地獄蒸し料理を味わうことができる。が、我々は大黒屋さんと相性が悪く、今まで1勝2敗の成績で屋台を貸してもらえなかった。そして女将さんが怖い。「今日は予約でいっぱいよ。」「これから踊りに行くからダメ(注:ちょうど「別府八湯温泉まつり」の日だった。)」と素っ気ない言葉で断られた。もっとも、とある店で聞いたところ、女将さんは田舎育ちゆえ愛想がないが、根はやさしい方だそうだ。予約せず突然行った我々がいけなかったのだろう。
しかし、皆さんに朗報が。3月28日、鉄輪・いでゆ坂に市営の『地獄蒸し工房 鉄輪』がオープンする。自ら地獄蒸しを体験できる施設である。地元の魚屋さんや八百屋さんで、その時期、地獄蒸しには何が良いかを聞き、是非、地獄蒸しに挑戦されては如何か。改めて温泉の力に感嘆すること請け合いだ。
(因みに、先日は「べっぷ駅市場」の魚屋さんで、ウチワエビ、カキ、オコゼが良いと紹介され、我々はすべて堪能いたしました。)