NHKの朝のドラマ「なつぞら」をこの一週間はハラハラと見た。主人公なつは妊娠した。仕事を辞める意志はない。夫婦が協力し、仲間の応援があり、ついには兄の応援も得て、生まれた娘は今5歳になっている。
母は安心した気持ちで胎児期、乳児期を子供におくらせなければならない。その母の安心を支えるのがまず夫である。なつの場合は夫、友達、兄夫婦に救われているというシナリオである。
胎児期や乳児期の頃は母親の思いは印画紙のようにすべて子どもに転写される。
子と親の絆はある。ところが母が眠いとき、子は乳がほしいと泣く。母が忙しいとき、子はウンチをしてしまう。抱いてほしいと子は泣く。
夫が家にお金を入れず、夫婦仲が悪い。父親が酒癖が悪く、暴力をふるう。父親が子を虐待する。母親は無視してしまう。母が突然泣き出してギュッ抱きしめてくる。死にたいと嘆く。子供の成長に祖父母だけでなく、兄弟姉妹の存在、父母の職業や地域社会の環境も影響する。
子供にかまってあげられなかった分、よく母は申し訳なかったという弱味があって、甘やかしたり、物を過剰に与えたりもする。
なつの場合、よりかまってくれたなつの友人の方に気持ちが向いてしまう、あやうい場面もあった。一年しっかりと愛情を注いでいたら、とぼくは思うところである。
精神の異常にたいするこころの強度は母に作られるもので、もちろん母に協力し、支える父親も強度作りに参加するものである。
どうやらなつは一番の困難な時期は過ぎたようであるが、乳児期のツケは今度は思春期にやってくる。この一週間の「なつぞら」をそんな視点から見た。