エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

タイサンボクの花咲けば

2013年07月02日 | ポエム
タイサンボクの樹の下に佇む。
甘い梔子系の匂いが降っている。

とりわけ梅雨時のその感覚は、得難いほどの快感である。
香りのシャワーは、自然であるがためにいつまでも佇んでいられる。
人工的な香りには閉口するけれど、ありのままの香りは精神の平衡を保ってくれる。

タイサンボクの香りは、その典型的な事象である。
そうそう、漢字では泰山木と書く。







「誘われり闇の深さのタイサンボク」



「純情の香りの点てるタイサンボク」







タイサンボクもまた、万緑の侯に相応しい大柄な花である。

タイサンボクの花は、花弁を散らした後に実生が現れる。
白い真綿のような花弁に包まれていた実生である。



捥いで食べてしまいたいと思わせる、その大柄な花はあくまでも純潔である。
そっとそっと・・・壊れ物にでも触るように、慎重に触れなくてはならないのだ。



      荒 野人