アニメ・・・風立ちぬ

風立ちぬ
いざ、生きめやも。

ポール・ヴァレリーの詩「海辺の墓地」の一節“Le vent se lève, il faut tenter de vivre”を、堀辰雄が訳したものである。

宮崎駿の最新作、「風立ちぬ」の試写会に行った。
「崖の上のポニョ」から5年である。

ストーリーは、堀辰雄の小説と堀越次郎の恋物語である。
堀越次郎は、名機と称賛される「零戦」を設計した技術者である。
恋をする女性は「菜穂子」。
堀辰雄の小説「風立ちぬ」と「菜穂子」に登場する女性である。

堀越は、日本海軍最初の全金属単葉戦闘機、これの設計に於いて革新的な設計を行い、後に零式艦上戦闘機（通称ゼロ戦・第二次世界大戦期における大日本帝国海軍の主力艦上戦闘機）の設計主任となる人である。



舞台は、東京都と長野県富士見高原である。
宮崎駿は、この映画の制作意図を「自分の夢に忠実にまっすぐ進んだ人物を描きたいのである」としている。

しかし、物語は唐突に始まる。
思わず、引き込まれる。
宮崎らしい意匠である。









「病葉の心を誘う風起きぬ」







映画は、かなり難しい。
難しいけれど、惹きこまれる。



エンディングが終わって、席を慌ただしく立ちあがる人は比較的少なかった。
暗闇が暫く続いて、やがて照明がアップされていくと拍手が疎らに起こった。

試写会の最後に、疎らでも拍手があったのは久しぶりであった。

観客に何かを残したのに違いない。



　　　　　　　　　　　　　　　荒　野人