空蝉・・・街の木々は、蝉の抜け殻に溢れている。

夏の景色である。
さりながら、それは蝉の寿命を示唆するのだ。

「うつせみの痛みは明日の命かな」
「殻出たるほんの二日の蝉時雨」

蝉は、鳴き終わり土に返らんとする。

あれほどかまびすしかったのに、死屍の周辺には静謐が訪れている。
悲しくも美しい。
悲哀でもなく、充足でもなく・・・。

蝉は、ここから生まれた。
生まれ、生を謳歌した。

木に攀じ登って、脱皮した蝉は幸せであるのかもしれない。

葉影で脱皮した蝉もまた、幸せであるだろう。
彼は、だいぶ前に殻を破った。
身体が乾燥してきている。
間もなく飛ぶだろう。
そして、蝉時雨を奏でる一因となって夏を謳歌するのだ。
生きる事の意味と、その幸せ。
俳句に詠み切れない、そのもどかしさよ!
荒 野人

夏の景色である。
さりながら、それは蝉の寿命を示唆するのだ。

「うつせみの痛みは明日の命かな」
「殻出たるほんの二日の蝉時雨」

蝉は、鳴き終わり土に返らんとする。

あれほどかまびすしかったのに、死屍の周辺には静謐が訪れている。
悲しくも美しい。
悲哀でもなく、充足でもなく・・・。

蝉は、ここから生まれた。
生まれ、生を謳歌した。

木に攀じ登って、脱皮した蝉は幸せであるのかもしれない。

葉影で脱皮した蝉もまた、幸せであるだろう。
彼は、だいぶ前に殻を破った。
身体が乾燥してきている。
間もなく飛ぶだろう。
そして、蝉時雨を奏でる一因となって夏を謳歌するのだ。
生きる事の意味と、その幸せ。
俳句に詠み切れない、そのもどかしさよ!
荒 野人