エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

土筆

2014年04月04日 | ポエム
土筆を見つけた。
初春の山菜の一つとして、ぼくは味覚で記憶する。

この土筆の袴を丁寧に取り除き、軽く下茹して卵とじでいただく。
ある種、いがらっぽさが喉に残り春のチャイムを鳴らしてくれる。
春のスイッチが入るのである。



下萌と言っては、遅きに失するけれど青々とした草の上に頭を覗かせる。
周囲を見回す。
あたかも、潜水艦の潜望鏡のようでもある。

春を確認する土筆である。






「舌先の味蕾に土筆卵とじ」







こうして、土筆は食べられるのである。
優しい山菜である。



近頃、都会では犬のお散歩で所構わず「小水」をする。
犬にしてみれば、テリトリーの確認だから「やむを得ない」のだ。

けれども、人様にして盛れば食べられるものも食べられなくなる!
という悲哀を感じる訳だ。

上手いものだけに、その口惜しさは筆舌に尽くし難い。



この場所の、この土筆は、犬が入り込まないから「草摘み」が出来る。
食べられる訳である。



積んできたばかりの土筆。



袴をとった土筆。



卵とじになった土筆。

ご近所のおすそ分けしたら、喜ばれた。
誰も、この近くの土筆が食べられると思っていない。
その意外性が、喜ばれたのである。



        荒 野人