自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆仮想通貨リブラは世界を変えるのか

2019年09月24日 | ⇒トピック往来

     話題になるお金の話と言えば、ついこの間までは「MMT」だったが、最近は「リブラ」だろうか。先日も金融通の知人からメールが届いた。「キャッシュレス化が進む中国ではデジタル人民元の構想が進んでいるようだ・・・。リブラとガチンコ勝負になるのではないか」と。返信しようとしたが、デジタル人民元はなんとなく想像がつくが、リブラは無学に等しい。そこで、リブラのホームページをチェックすることから始めた。

A simple global currency and financial infrastructure that empowers billions of people. Reinvent money. Transform the global economy. So people everywhere can live better lives.(数十億人に力を与えるシンプルなグローバル通貨と金融インフラ。 お金を改革します。世界経済を変革します。そして、世界中の人々がより良い生活を送ることができます=グーグル翻訳)。単なるキャッシュレス通貨の構想ではなく、世界の金融革命を謳ったミッションがトップページに載っているではないか。

   フェイスブック社(アメリカ・カリフォルニア州)は今年6月18日、「リブラ」の仮想通貨(暗号資産)のサービスを来年2020年に始めると発表した。フェイスブックのユーザーは世界で20億人余りいるとされるので、とてつもない規模の通貨圏を創ることになる。おそらく、グーグル、アップル、アマゾンも黙ってはないだろう。さらなる巨大通貨圏が次々と構築されるのではないか。

   警戒を強めているのは各国の中央銀行だろう。フェイスブック社の発表に鋭く反応したのは、7月17日にフランス・シャンティイで開催されたG7(主要7カ国)の財務相・中銀総裁会議だった。議長を務めるフランスのルメール経済・財務相はリブラについて記者会見で「国家の主権を危険にさらすことはできない」と発言。「会議では、最近のリブラ計画発表を巡る懸念と、緊急の対応が必要との認識が共有された」と語った。各国がどのようにリブラに対応するのか、その方針を報告するよう各国の中央銀行総裁に対して要請が出された(7月18日付・ロイター日本版)。

   そもそもフェイスブック社は仮想通貨を発行するにほどの信頼性があるのかどうか。フェイスブック利用者8700万分のデータがイギリスの選挙コンサルティング会社に流れた事件があった。フェイスブックの検索ボックスにメールアドレスや電話番号を打ち込むことで利用者を互いに検索できるようにする機能を、悪意ある参加者が悪用していたという(2018年4月5日付・BBC日本語版)。「仮想通貨を発行をする前にセキュリティなど居住まいを正すべきだ」など、ユーザーからの声も当然あるだろう。

   もし、国際的な規制を受けながらもリブラが発行されればさまざまなことが起きるだろう。物価上昇が激しい国では現地の通貨がリブラに置き換えられることになるだろう。当然、その国の中央銀行は金融政策の制御を失うことにもなる。リブラはある意味でさまざまな場面での社会変革を起こすかもしれない。デジタル人民元との戦いも見どころかもしれない。ただ、知人への返信は勉強不足でまだ送れていないが。(※写真は、「リブラ」のホームページより)

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