ネット広告の勢いはすさまじい。電通がまとめた「2019年 日本の広告費」によると、広告費は6兆9381億円で8年連続のプラス成長だった。中でも、インターネット広告費が初めて2兆円超え、テレビ広告費を上回りトップの座に躍り出た。テレビ広告費(1兆8612億円)は対前年比97.3%と減少した。ことしはコロナ禍で、ネット広告費の拡大に拍車がかかるでのではないだろうか。一方で、いわゆる「誇大」や「虚偽」を思わせるネット広告も散見する。これに国が実態調査に動き出すというニュースがあった。
共同通信Web版(12月20日付)によると、 「アフィリエイト」と呼ばれるネットの成果報酬型広告をめぐり、消費者庁が広告主や広告作成者、仲介会社を対象に大規模な実態調査に乗り出すことが同庁関係者への取材で分かった。広告作成は副業目的の個人400万-500万人が担い、市場規模は右肩上がりで3000億円と活況を呈している。一方で虚偽、誇大広告といった不正も多く、ネット広告のルールづくりや規制強化に活用する狙いのようだ。
ネット広告をめぐるトラブル相談は国民生活センターのまとめによると、2019年で8万9千件と過去最多になった。ネット広告の構図はこうだ。広告主(販売店)がアフィリエイトの仲介会社(ASP)に依頼する。ASPはさらにアフィリエイター(広告作成者)に依頼する。アフィリエイターが作成した広告サイトやブログを見て消費者が商品を申し込むと、APSは広告主から中間マージンを得て、その中からアフィリエイターに報酬を支払う。
問題はこのネット広告でトラブルが発生した場合だ。景品表示法では広告主が処分の対象になる。すると、広告主は「アフィリエイターが勝手に書いた」と言い逃れするケースが出てくる。さらに、消費者庁がASP側に是正を促しても、APS側は「アフィリエイターのメールアドレスしか知らない」と放置するケースもあるという(同)。
消費者庁は野放しの状態から法的なルールづくりへと今後具体化していくだろう。また、総務省は、SNS上のひぼうや中傷による深刻な被害を防ぐため、投稿した人に関する情報開示を迅速に進められる新たな裁判手続きの創設を決めた。裁判所は被害者から申し立てを受ければ投稿者の情報を開示するかどうかを判断し、SNSの運営会社や接続業者に命令を出すことになる(12月21日付・NHKニュースWeb版)。ネットやSNSをめぐるルールの枠組みがじわりと絡まって来た。
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