変異種化した新型コロナウイルスがイギリスなど世界各国で確認されていることから、政府はあす28日から、外国人の新規入国を来月末まで停止すると発表した(内閣官房公式ホームページ・新型コロナウイルス感染症対策26日付「水際対策強化に係る新たな措置」)。政府間で合意している11の国・地域(中国、韓国、台湾、タイ、ベトナム、シンガポール、マレーシア、ミャンマー、カンボジア、ラオス、ブルネイ)の在留資格のあるビジネス関係者や教授職・留学生などについては例外的に新規入国を認める、としている。
「水際対策強化」と銘打った措置だが、すでに後手ではないだろうか。そもそも、上陸する直前に防ぐことを「水際作戦」などと言ったりする。厚生労働省は今月26日に、イギリスから帰国したパイロットの男性と家族の女性(2人は東京在住)の変異種の感染を確認したと発表している。もう、国内で人から人への変異種の感染が初まっている。「水際対策強化」というのであれば、イギリスで変異種の感染が確認された時点で措置すべきではなかったろうか。イギリスは今月19日、ロンドンを含むイングランド南東部の大部分が対象に大規模なロックダウン(都市封鎖)に入った。日本も本来、このタイミングで措置すべきだった。1週間遅い。
そもそも論だが、パンデミックとして広がった背景には、中国の旧正月の春節の大型連休(1月24日から)で日本を含め世界中に中国人観光客が訪れた。春節の前、1月20日、中国の習近平国家主席は武漢におけるコロナ禍の感染情報を直ちに発表するよう関係部門に直接指示を出した。習主席の指示は「感染拡大に関する情報を直ちに発表し、科学的な予防知識を広めるよう」と求めたものだった。それは、春節での海外渡航を全面的に禁止するものではなかった。
習主席の指示を受けた中国の衛生当局は1月24日、武漢での患者数が830人、死者は25人に達したと発表した。WHOは同23日の緊急会合で、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言は時期尚早との判断を下した。同月14日にWHOは武漢の新型コロナウイルス感染症で、主に家族を中心として限定的なヒトからヒト感染が起こっている可能性があり、広範囲なアウトブレイクが発生する可能性があることを指摘していた(国立感染症研究所公式ホームページ)にもかかわらず、である。
日本で認められた新型コロナウイルスの発症例は、武漢に滞在中に発熱があり、1月6日に帰国した日本人男性が同15日になって陽性と確認された。感染第一例目となった。WHOに対しては翌日16日に国際保健規則に基づいて症例の発生を通告した。その後、春節の旅行で東京を訪れていた武漢に住む40代の中国人男性が、同22日になって東京都内の医療機関を受診したところ、肺炎の兆候がみられたため入院、24日に感染が確認された。
これまでブログで述べてきた新型コロナウイルス感染をたどたってみると、パンデミックになるべくしてなったと思えてならない。春節に始まったパンデミックは止まない。(※写真は厚生労働省公式ホームページより)
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