選挙で選ばれた公人として記者会見を開き、説明責任を果たすことが最優先ではないのか。東京都議会選に当選した都民ファーストの会の女性都議が選挙期間中に無免許運転で人身事故を起こし、党から除名処分(5日)を受け、その後雲隠れしている問題は今月6日付のブログでも取り上げた。メディア各社が、その都議が新会派「SDGs東京」を立ち上げたと報じている。(※写真・上は選挙応援に駆け付けた小池都知事とツーショット、本人のツイッターより)
さっそく、都議会議会局広報課の公式サイトをチェックする。「各会派等の構成(7月6日現在)」の欄には、確かに「無所属(SDGs 東京)」と記載されている。1人会派だ。しかし、「各会派等の連絡先」は11会派のうち、SDGs 東京だけが空欄となっている。何かやましさでもあるのかと勘繰ってしまう。後ろめたさがないのであれば堂々と連絡先を表記すればよいのではいか。
除名処分を受けた日には、記者からの取材に対し「仕事をしていくことで期待に応えたい」と述べて、議員辞職の考えはないことを示した(7月5日付・産経新聞Web版)。その後、新たな疑惑(無免許運転の常習性)の証言が出る中で、翌6日には新会派を立ち上げたのだから、本人はヤル気を示したのだろう。
ただ、「SDGs東京」のネーミングについては解せない。国連が採択したSDGs(目標持続可能な開発目標)をベースに都政の課題とどう向き合うのか、本人が政策を具体的に示さないと、環境や社会、経済に問題意識を持ちながらSDGsに取り組んでいる人たちはこのネーミングに納得しないだろう。その説明がなければ、「SDGs」を借用しただけの会派ということになる。もっと厳しく言えば、SDGsを愚弄する行為ではないだろうか。
都議は板橋区役所で6日開かれた当選証書付与式を欠席した。選挙後初めての公の場となる付与式だったが、代理人も来なかった(7月6日付・NNNニュースWeb版)。冒頭で述べた「説明責任」を果たすタイムリミットはもう迫っている。報道によると、政府は新型コロナウイルスの感染の再拡大が続く東京都に対し、今月12日から来月22日まで緊急事態宣言を出す方針を専門家でつくる分科会に諮った。了承を得て、夕方の対策本部で決定する(7月8日付・NHKニュースWeb版)。今月23日に開会式を迎える東京オリンピックは緊急事態宣言の下で行われることになる=写真・下=。
東京の緊急事態下、都の選良である政治家が果たすべき役割が多々あるはずだ。都議は一体いつ会見を開いて、自らの行動について釈明する説明責任を果たすのか。なぜ雲隠れを続けるのか。あくまでも、メディアを通した1人の政治家の観察記録である。人物との関わりは一切ない。
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