自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★過半数割れ与党の綱渡り内閣で大胆な政策が実行できるのか

2024年11月12日 | ⇒メディア時評

  けさの紙面各紙を読むと、ほとんどの一面のトップは「第2次石破内閣発足」だ。一読者として思うのは、これがトップを飾るニュース価値があるのだろうか、ということだ。石破総理就任から最短の8日間で衆院解散、先月27日の投票で与党の自民・公明は「233の壁」に達せず過半数割れ。きのう12日の特別国会の首班指名選挙の決選投票で多数だった石破氏が再選された。流れを読むと単なる事務手続きの延長戦のようにも思え、これが一面トップを飾るニュースなのかとさめてしまった。

  新聞紙面を構成する編集者も戸惑ったに違いない。ほかに一面トップを飾るようなニュースがこの日はなかったからだ。その中で、一面で「第2次石破内閣発足」をトップからあえて外して準トップに据えたのが北陸中日新聞だった。トップに持ってきたのは、「2次避難 申し出ゼロ」の見出しの記事。元日の能登地震に続く9月の記録的な大雨で被害を受けた珠洲市大谷地区で、行政が体育館などでの1次避難者に2次避難(金沢市などの宿泊施設)の希望者を募ったところ、申し出がなかったとの内容だ。その理由として「『育ったところ』愛着」「度重なる避難の負担」の見出しを添えている。被災地の住民の心情を描いた、いわゆる地ダネだ。つい記事を読んだ。

  冒頭で述べたように、このところメディアが取り上げる選挙や国政の記事にはニュース価値が感じられない。初の女性大統領か130年ぶりの返り咲きの大統領かと国際世論を煽ったアメリカ大統領選のダイナミックな報道と比較しているせいかもしれない。

  ところで、アメリカでは大統領選の直後ながら大胆な動きが出始めている。日経新聞電子版「ウォール街ラウンドアップ」(12日付)に目を通すと、トランプ次期政権が起用するイーロン・マスク氏は「政府効率化省」のトップに就任するとみられ、マスク氏は「テクノロジーを用いて人員削減に答えを出す」と述べている。マスク氏にはX(旧ツイッター)の従業員を80%削減した実績がある。さらに、テレビ番組に出演し、「政府支出はアメリカを破綻に追い込んでいる」として、政府予算の3分の1に相当する2兆㌦(300兆円超)を削減する考えを示した、という。この大胆な発言でアメリカの政治からますます目が離せなくなった。

  再選された石破総理は、年収が103万円を超えると所得税が発生する「103万円の壁」の見直しについて、「真摯に検討する」と会見で述べた(12日付・メディア各社の報道)。それよりもむしろ、日本も支出削減の大ナタを振るわないとそのうち国家が破綻するのではないか。ただ、綱渡りの過半数割れ与党ではマスク氏のようなダイナミックな政策は打ち出せず、内閣の混迷がしばらく続くのだろう。

⇒12日(火)夜・金沢の天気   はれ


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