前編では2つの星雲の撮影成果を取り上げましたが、後編は彗星の撮影成果の紹介です。
日付が変わって19日の明け方近くに、東天に昇ってきた彗星2つを狙ってみました。
まずはしし座にいるこの彗星↓
【紫金山第1彗星 62P】
総露出時間30分(3分×10コマ,彗星の動きに合わせて加算合成),トリミング処理
50年以上前の1965年に中国の南京市にある紫金山天文台で発見された短周期彗星です。
「紫金山」は天文台がある山の名前で、発見者名ではありません。
英語でのスペルは"Tsuchinshan"となっており、「ツーチンシャン」と呼ぶらしい。
太陽を約6.4年周期で公転しており、今回帰では11/16に太陽最接近となったばかり。
今がちょうど最も明るく見える時期ですが、光度は約10等級なんで、肉眼ではもちろん、
小型双眼鏡でも観望は厳しいです。6年後の次の回帰ではもう少し地球に近づくので、
さらに好条件となりますが、肉眼で見えるほどの明るさにはならないでしょう。
続いてはおとめ座にいるこの彗星↓
【ショーマス彗星 24P】
総露出時間27分(3分×9コマ,彗星の動きに合わせて加算合成),トリミング処理
100年以上も前の1911年にフランスの天文学者ショーマス氏が発見した短周期彗星です。
この彗星も11/16に太陽最接近となったばかりで、今が極大光度となっていますが、
やはり暗めで、11等台の明るさです。ちなみに8.3年ほどの公転周期を持っており、
次の回帰の2026年1月に地球へ近づきます。と言っても肉眼光度にはならない見込みです。
ということで、どちらも目立たない彗星ながら、写真では比較的容易に捉えられました。
でもフォトジェニックな被写体とは言えませんねー。そろそろ大彗星が来ないかなー。
共通撮影データは次のとおり。
キヤノンEOS60Da+口径18cm写真撮影用反射望遠鏡,ISO1600,F2.8,中型赤道儀使用