フランス人は容赦ない

 毎週土曜日の神奈川新聞に再掲される大仏次郎の50年前のエッセイ。一昨日は「パリの冬は厳しく、神奈川の冬はやさしく明るい。」が掲載されていた。

 そのエッセイの中ほどにから、「(第二次世界大戦後)ドイツ軍が去ったパリで、ドイツ人に身をまかせた女たちを町の連中が頭の毛を坊主にしたばかりか、着ているものをはいで、まる裸にさせ、群集がみんなで追いたて往来を歩かせて笑いものにしていた。私はその写真を見てフランスほど文化のある国で随分ひどいことを人間がするものだと、むしろ不思議に思った」と書かれていた。ロバート・キャパの写真であったか、私も見た記憶がある。

 大仏は更に「(前略)日本では、もうよかろうと、程度を考え惻隠(そくいん)の心をすぐに動かすところだが、やるところまで追求し、最後まで手をやすめない。その人間性を考えないように見える復讐心が、フランス人の間では。実は『人間的』なのである」とも書いている。

 私はこれを読んで、11月13日のパリ同時多発テロ事件後6日目には、フランスはラファール戦闘機を搭載した原子力空母「シャルル・ドゴール」を派遣し反撃に入ったことを思い出した。やられたら報復する。決してうやむやにはしない。これがフランスの、あるいはヨーロッパの常識なのだろう。

 それにしても大仏次郎、今日の出来事を知っていたのかと思うほどに、50年前に彼我の違いを見事に見抜き書いているではないか。昭和の文豪と云われる所以か。


 例によって記事本文とは何の関係もない今日の一枚は、日当たりの良い斜面で早くも咲き始めた水仙。

横浜市青葉区の里山「恩田の森」の四季の移ろいを毎週ご覧いただける「恩田の森Now」も是非ご覧ください。ただいは12月5日撮影の写真を掲載いたしております。
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