弁護士太田宏美の公式ブログ

正しい裁判を得るために

婚外子の相続差別、違憲の高裁決定

2011年10月11日 | 裁判・法律

非嫡出子の相続分は嫡出子の相続分の半分と定められています。

この民法の規定について、違憲ではないかという意見が
かなり前からありましたが、今のところ最高裁の判決は合憲でしたが、
この8月24日に大阪高裁が違憲との決定をしていたことが
わかりました。

最高裁も判例変更のチャンスを狙っているのかもしれませんが、
和解で解決し、そのチャンスがないような気がします。

今の相続制度は、個人財産の相続とされているので、相続人となる
子が嫡出子かどうか本来関係ないはずですが、
やはり、「家族」の財産の承継という考えが根底にあるのだと思います。

しかし、家族や結婚などについての考え方は、急速に変わっています。

民法のこの規定は、最高裁の判決を待つまでもなく、改正すべきです。
ただ、日本の国会議員は、衆議院・参議院の定数問題の改正に
みられるように、平等とか個人の権利の尊重などという抽象的な
問題については全く関心がないので、やはり、最高裁の違憲判決
を待つしかないのではと悲観的になります。


「陸山会」政治時金規正法違反事件について

2011年07月22日 | 裁判・法律

石川被告など小沢一郎氏の秘書の政治規正法違反事件の論告求刑が
7月21日にありました。

多くの調書が証拠採用されないなどありましたが、私は、日本も
そろそろ調書でよりは法廷の証言が重要視されるようになればいいと
思います。

ただ、そのためには、証人尋問の仕方であるとか、偽証に対しては厳しく
罰するようにするなど、実務の改革も必要です。

しかし、もっとも重要なことは、裁判所の事実認定力だと、私は考えています。
特に、本件については、4億円の融資であるとか、水谷建設からの5000万
などをどのように裁判所が考えるかです。

調書を信用しないということは、形よりも実質を重視するということです。
証言は、往々にして、散漫であることが多いです。
しかし、発せられた言葉だけでなく、その全体から、心証はつかめるものです。

まだ弁護側の弁論も残っていますが、裁判所がどのような事実認定をするのか、
特に心証をいかにとっていったかについて、英米のように、第三者にも納得できるよう、
説明してもらいたいし、また結論も一般人が納得できるものであることを期待しています。