最近一気に寒くなってきた。
寒くなってきたら鍋。
別に夏に鍋をしてもいいんだが、エアコンの効いた部屋で鍋にしようとか思わない。鍋はやっぱり寒い日のほうが似合う。毎日鍋でもいいくらいだ。
面白そうな本を見つけた。おいしい文藝【ぐつぐつお鍋】。
阿川佐知子、安野モヨコ、池波正太郎、酒井順子、坂口安吾、中島うさぎ、宇能鴻一郎、江國香織、椎名誠、東海林さだお、ねじめ正一、本上まなみ、吉川英治・・・。
新旧さまざまな37人の作家が鍋について書いたエッセイを集めた本。
このおいしい文藝シリーズには【ずるずるラーメン】【ツヤツヤ、ごはん】と、タイトルだけで腹が減りそうな、いろんな作家のショートエッセイを載せた本がある。
今回はその鍋版エッセイ集。
よくもまぁこれだけいろんなん作家のいろんな本から拾い集めてきたなぁって感心する。
それぞれのエッセイの細かな内容はあえてここには書かないが、それぞれの鍋へのこだわりや考えが興味深い。
ある作家は思い出の鍋エピソードを、ある作家は好きな鍋のこだわりを。
すき焼き、ちゃんこ、ふぐ、アンコウ、どぜう、水炊き、寄せ鍋、キリタンポ、豚鍋・・・。
具材、調理法はもちろん、タレのことについて書いてる人もいれば、鍋奉行、〆のおじやについて書いてる人もいる。
十人十色というけれど、37人それぞれがいろんな角度から鍋について書いてる。
もちろんこの本を読んでも腹はふくれない。それどころか腹が減るだけだ。
もしダイエットとかしてる人なら絶対読まないほうがいい。読むと頭の中は鍋一色に占領されてしまうから。
あれが食いたい、これもおいしそうだだけではなく、カセットコンロのガスはまだあったかなとか、土鍋の新しいのが欲しいなぁとか、こたつを出さなくてはとか。
鍋は大きく2種類の人種に分かれる。
具材をあれこれぶち込んだ寄せ鍋系が好きな人と、シンプルに2,3種の具材だけの鍋が好きな人。
俺は後者だ。
鍋はできるだけシンプルなものがいい。
カニ鍋(カニすき)ならカニだけでいい。白菜もマロニーも水菜も、カニを取るたびにくっついたりするし邪魔だ。メインはカニなんだから、カニを食わせてくれ。無口になってくれて結構。カニをホジホジ次から次へと食いたいんだ。豆腐もえのきも白菜もしいたけも余力があればそのあとでゆっくりつつくから。春菊をぶち込んだのは誰だ(怒)
ふぐ鍋(てっちり)ならフグだけ。テッサと皮をポン酢で食ったら(唐揚げも、白子もあれば嬉しい)鍋の中はフグだけでいい。骨周りをしゃぶるのに春菊が邪魔してどうする。てっちりのタレはかなり柑橘系を効かせたポン酢が合う。柑橘は柚子でもスダチでも橙でもカボスでもいい。もみじおろしは忘れるな。
豚しゃぶなんかも他の具材を色々一緒に煮られると「それは豚しゃぶじゃない、寄せ鍋だ」って思ってしまう。向こうが透けそうなくらい薄く切った(肉屋で頼んで切ってもらうといい)肩ロース。それを出汁の効いた鍋の中で泳がす。他の具材はほうれん草だけとかでいい。
シンプル鍋の代表はやっぱり湯豆腐だろう。
昆布に切り目を入れて沈めておいて、その上に豆腐を並べる。
食通を気取って「湯玉がぐらっと上がったら食い時」なんてやってた時期もあるのだが、それだと一つ食べたらまた豆腐を沈めなきゃいけない。
そのルーティンワークに追われて、食うのに集中できないから、今は一気に全部の豆腐を先に沈めておく。
最初は柔らかく、生暖かい豆腐を食べ、徐々に熱くなった豆腐、最後の方はアチアチになった豆腐をフーフーしながら食う。これはこれでまた美味いのだ。
従って他の具材はいらない。えのきやネギなんかは途中で入れてもいいが、豆腐がメイン。その豆腐は絹漉しに限るね。
色々入った鍋はあまり好きじゃない。
魚介類をふんだんに入れた海鮮鍋や寄せ鍋は苦手。でも、最後のおじやは美味しい。いろんな食材から出汁が出るから美味い。
だから寄せ鍋は最後のおじや(雑炊)を食べるための出汁取りをしてるようなもんだと思ってる。
キノコ鍋は唯一許す。いろんなキノコが入ってると出汁がどんどん美味くなってくる。キノコ鍋の最後(〆)は雑炊よりうどんが合うね。
あれこれ入った鍋があまり好きじゃないのは、鍋奉行がうるさいからもある。
食べるのも、これは煮えた、それはまだ早い、今それを入れるな、ここが一番おいしいところだ。仕切られるのはまだマシ。どちらかというと俺も奉行の傾向があるからね。次々とぶち込まれ続ける食材。何々が足りないから入れろ、いろいろうるさい。いろいろ具材が入る鍋はルーティンワークが大変だ。
一番嫌なのは、なんか鍋の中でいつまでも食べられない食材を見つけてしまうこと。可哀想でね。だから俺はメインのカニやフグだけを食いたいのに、煮えすぎた白菜や、シワシワになったえのき、崩れかけた豆腐、とろとろになったマロニーばかりを食べる羽目になる。いつまで経ってもメインの食材を食べられない。ストレスが溜まる。
子供の頃に「野菜も食べなさい」「豆腐は栄養があるんだから」などと、メインの牡蠣や蟹、河豚なんかを取らせまいとした親との攻防戦を思い出す。
ましてや女将が横について「はいこれ煮えました」と取り分けてくれるような店はもっと大嫌い。好きなものだけを好きなペースで食わせてくれ。まぁ最近は全然そんなところに行けないから、いらない心配だが。
すき焼きは嫌い。関西風でも関東風でも。
すき焼きの牛肉はいい肉を使う必要がないと思う。あんだけ煮たら固くなるだろ。それなら安い肉でいいじゃないか。
関西風の先に肉だけを焼いて食ってからっていうのも嫌い。いい肉は塩胡椒+ニンニクで焼いたほうが美味い。何が悲しくていい肉を砂糖と醤油で焼いて、溶き卵に絡めて食わなきゃいけないんだ。シャトーブリアンやサーロインのステーキを溶き卵で食べたいか?だいたい肉を生卵で絡めて食うなんて、すき焼き以外では牛丼かユッケくらいしかしないだろ。ってことはすき焼き=溶き卵で食うのなら安い肉で十分だ。で、安い肉は鉄板で焼いて七味をぶっかけて焼肉のたれをつけて、ご飯と一緒に食べるほうが美味いことないか。
で、すき焼きが嫌いなのはもう一つある。俺はメインの肉ばっかり食べたいんだが、「豆腐も食え」「野菜も食べろ」って視線が痛い。ネギは?しらたきは?って。ジャガイモや玉ねぎもね。これはメインの牛肉を豚こまに変えたら肉じゃがになりそうなラインナップじゃないか。それならいっそ砂糖、醤油、酒を入れず水だけで煮て、仕上げにカレー粉をぶち込んでカレーにしないか?
俺は肉だけを食いたいんだ。かといって牛肉のしゃぶしゃぶってやつはさらに大嫌いだ。あれは牛肉の味がしない。ゴマだれなんてもってのほか。肉を食ったっていう充実感もない。しゃぶしゃぶに合うのは薄切り豚肉か、タコ、それと牡蠣くらいだ。
ちゃんこ鍋。これもお相撲さんが食べてるのを見ると美味しそうだが、俺は食べたいとはあまり思わない。
ちゃんこの「ちゃん」は親方、そして「こ」は子。親子で食べるものは全てちゃんこ。だから鍋とは限らないが、ちゃんこ鍋は体を大きくでかくすることが目的の、相撲取りにとっては理想の食事だ。したがって具材にデリカシーがない。肉と魚と野菜と、ありとあらゆるものがぶち込まれる。なんでもありだ。メインはなんだ。
石狩鍋、ほうとう、うどんすき、キリタンポ鍋。具材たっぷりだと逆にだんだん飽きてしまう。
しょっつる鍋ならハタハタだけを食いたい。アラ鍋ならアラやクエだけを食いたい。
水炊きも好き。博多では【水たき】と【水だき】と汁が透明か濁ってるかで分けられてるがどちらも好き。ただし鳥以外の具材は一つか二つまでにしてほしい。
はりはり鍋の潔さを見習ってほしい。クジラと水菜だけだもの。
どぜう(ドジョウ)の鍋も潔いな。どぜう鍋は味噌味で丸のまま煮込みネギをドバッとかけたタイプと、下準備で割いて頭をとっておいたものをゴボウと一緒に割下で煮たタイプがあるが、どちらもOKだ。
もつ鍋も好きだ。ただし玉ねぎや野菜は入れるな。ホルモンだけでいい。焼肉でも野菜なんて虫じゃないんだからちょこっと箸休めでいいのだ。キムチだけでいい。
そのキムチの鍋なら具は豆腐だけでいい。そりゃキムチチゲじゃなくてスンドュヴじゃないかと言われそうだが、あのスープに最も合うのは豆腐だ。えのきは許す。トッポギとかトックはたまに入れてよし。豆腐を食い終わったチゲに、今度は牡蠣だけを入れて第二ステージを始めるのも好き。チゲの〆はご飯でもいいが、韓国ラーメン(煮崩れしにくい麺)でもいい。
で、散々書いたが一番最高の鍋は何か。
文句なしに丸鍋。すっぽん鍋。究極のシンプル鍋。
鍋ごとガンガンに熱くして食うすっぽん丸鍋なら、火加減のこまめな調節も、次々と具材を入れなきゃいけない焦りも、鍋奉行の心配も要らない。
よく「地球最後の日が来るとしたら、最後の晩餐に何が食べたい?」って話になるが、俺は「すっぽん鍋」だ。(最後の食事というなら握り飯と熱い茶だが)
ツルツルお肌のプルンプルンの感触を楽しみ、パンパンになった満腹感。これ以上の至福は無い。
まぁどんな鍋でも最後の雑炊を食った後はいつも「あー腹いっぱい。このまま死んでもいいかも」って思うのだがね。
鍋、恐るべし。
また、この季節がやってきた。
寒くなってきたら鍋。
別に夏に鍋をしてもいいんだが、エアコンの効いた部屋で鍋にしようとか思わない。鍋はやっぱり寒い日のほうが似合う。毎日鍋でもいいくらいだ。
面白そうな本を見つけた。おいしい文藝【ぐつぐつお鍋】。
阿川佐知子、安野モヨコ、池波正太郎、酒井順子、坂口安吾、中島うさぎ、宇能鴻一郎、江國香織、椎名誠、東海林さだお、ねじめ正一、本上まなみ、吉川英治・・・。
新旧さまざまな37人の作家が鍋について書いたエッセイを集めた本。
このおいしい文藝シリーズには【ずるずるラーメン】【ツヤツヤ、ごはん】と、タイトルだけで腹が減りそうな、いろんな作家のショートエッセイを載せた本がある。
今回はその鍋版エッセイ集。
よくもまぁこれだけいろんなん作家のいろんな本から拾い集めてきたなぁって感心する。
それぞれのエッセイの細かな内容はあえてここには書かないが、それぞれの鍋へのこだわりや考えが興味深い。
ある作家は思い出の鍋エピソードを、ある作家は好きな鍋のこだわりを。
すき焼き、ちゃんこ、ふぐ、アンコウ、どぜう、水炊き、寄せ鍋、キリタンポ、豚鍋・・・。
具材、調理法はもちろん、タレのことについて書いてる人もいれば、鍋奉行、〆のおじやについて書いてる人もいる。
十人十色というけれど、37人それぞれがいろんな角度から鍋について書いてる。
もちろんこの本を読んでも腹はふくれない。それどころか腹が減るだけだ。
もしダイエットとかしてる人なら絶対読まないほうがいい。読むと頭の中は鍋一色に占領されてしまうから。
あれが食いたい、これもおいしそうだだけではなく、カセットコンロのガスはまだあったかなとか、土鍋の新しいのが欲しいなぁとか、こたつを出さなくてはとか。
鍋は大きく2種類の人種に分かれる。
具材をあれこれぶち込んだ寄せ鍋系が好きな人と、シンプルに2,3種の具材だけの鍋が好きな人。
俺は後者だ。
鍋はできるだけシンプルなものがいい。
カニ鍋(カニすき)ならカニだけでいい。白菜もマロニーも水菜も、カニを取るたびにくっついたりするし邪魔だ。メインはカニなんだから、カニを食わせてくれ。無口になってくれて結構。カニをホジホジ次から次へと食いたいんだ。豆腐もえのきも白菜もしいたけも余力があればそのあとでゆっくりつつくから。春菊をぶち込んだのは誰だ(怒)
ふぐ鍋(てっちり)ならフグだけ。テッサと皮をポン酢で食ったら(唐揚げも、白子もあれば嬉しい)鍋の中はフグだけでいい。骨周りをしゃぶるのに春菊が邪魔してどうする。てっちりのタレはかなり柑橘系を効かせたポン酢が合う。柑橘は柚子でもスダチでも橙でもカボスでもいい。もみじおろしは忘れるな。
豚しゃぶなんかも他の具材を色々一緒に煮られると「それは豚しゃぶじゃない、寄せ鍋だ」って思ってしまう。向こうが透けそうなくらい薄く切った(肉屋で頼んで切ってもらうといい)肩ロース。それを出汁の効いた鍋の中で泳がす。他の具材はほうれん草だけとかでいい。
シンプル鍋の代表はやっぱり湯豆腐だろう。
昆布に切り目を入れて沈めておいて、その上に豆腐を並べる。
食通を気取って「湯玉がぐらっと上がったら食い時」なんてやってた時期もあるのだが、それだと一つ食べたらまた豆腐を沈めなきゃいけない。
そのルーティンワークに追われて、食うのに集中できないから、今は一気に全部の豆腐を先に沈めておく。
最初は柔らかく、生暖かい豆腐を食べ、徐々に熱くなった豆腐、最後の方はアチアチになった豆腐をフーフーしながら食う。これはこれでまた美味いのだ。
従って他の具材はいらない。えのきやネギなんかは途中で入れてもいいが、豆腐がメイン。その豆腐は絹漉しに限るね。
色々入った鍋はあまり好きじゃない。
魚介類をふんだんに入れた海鮮鍋や寄せ鍋は苦手。でも、最後のおじやは美味しい。いろんな食材から出汁が出るから美味い。
だから寄せ鍋は最後のおじや(雑炊)を食べるための出汁取りをしてるようなもんだと思ってる。
キノコ鍋は唯一許す。いろんなキノコが入ってると出汁がどんどん美味くなってくる。キノコ鍋の最後(〆)は雑炊よりうどんが合うね。
あれこれ入った鍋があまり好きじゃないのは、鍋奉行がうるさいからもある。
食べるのも、これは煮えた、それはまだ早い、今それを入れるな、ここが一番おいしいところだ。仕切られるのはまだマシ。どちらかというと俺も奉行の傾向があるからね。次々とぶち込まれ続ける食材。何々が足りないから入れろ、いろいろうるさい。いろいろ具材が入る鍋はルーティンワークが大変だ。
一番嫌なのは、なんか鍋の中でいつまでも食べられない食材を見つけてしまうこと。可哀想でね。だから俺はメインのカニやフグだけを食いたいのに、煮えすぎた白菜や、シワシワになったえのき、崩れかけた豆腐、とろとろになったマロニーばかりを食べる羽目になる。いつまで経ってもメインの食材を食べられない。ストレスが溜まる。
子供の頃に「野菜も食べなさい」「豆腐は栄養があるんだから」などと、メインの牡蠣や蟹、河豚なんかを取らせまいとした親との攻防戦を思い出す。
ましてや女将が横について「はいこれ煮えました」と取り分けてくれるような店はもっと大嫌い。好きなものだけを好きなペースで食わせてくれ。まぁ最近は全然そんなところに行けないから、いらない心配だが。
すき焼きは嫌い。関西風でも関東風でも。
すき焼きの牛肉はいい肉を使う必要がないと思う。あんだけ煮たら固くなるだろ。それなら安い肉でいいじゃないか。
関西風の先に肉だけを焼いて食ってからっていうのも嫌い。いい肉は塩胡椒+ニンニクで焼いたほうが美味い。何が悲しくていい肉を砂糖と醤油で焼いて、溶き卵に絡めて食わなきゃいけないんだ。シャトーブリアンやサーロインのステーキを溶き卵で食べたいか?だいたい肉を生卵で絡めて食うなんて、すき焼き以外では牛丼かユッケくらいしかしないだろ。ってことはすき焼き=溶き卵で食うのなら安い肉で十分だ。で、安い肉は鉄板で焼いて七味をぶっかけて焼肉のたれをつけて、ご飯と一緒に食べるほうが美味いことないか。
で、すき焼きが嫌いなのはもう一つある。俺はメインの肉ばっかり食べたいんだが、「豆腐も食え」「野菜も食べろ」って視線が痛い。ネギは?しらたきは?って。ジャガイモや玉ねぎもね。これはメインの牛肉を豚こまに変えたら肉じゃがになりそうなラインナップじゃないか。それならいっそ砂糖、醤油、酒を入れず水だけで煮て、仕上げにカレー粉をぶち込んでカレーにしないか?
俺は肉だけを食いたいんだ。かといって牛肉のしゃぶしゃぶってやつはさらに大嫌いだ。あれは牛肉の味がしない。ゴマだれなんてもってのほか。肉を食ったっていう充実感もない。しゃぶしゃぶに合うのは薄切り豚肉か、タコ、それと牡蠣くらいだ。
ちゃんこ鍋。これもお相撲さんが食べてるのを見ると美味しそうだが、俺は食べたいとはあまり思わない。
ちゃんこの「ちゃん」は親方、そして「こ」は子。親子で食べるものは全てちゃんこ。だから鍋とは限らないが、ちゃんこ鍋は体を大きくでかくすることが目的の、相撲取りにとっては理想の食事だ。したがって具材にデリカシーがない。肉と魚と野菜と、ありとあらゆるものがぶち込まれる。なんでもありだ。メインはなんだ。
石狩鍋、ほうとう、うどんすき、キリタンポ鍋。具材たっぷりだと逆にだんだん飽きてしまう。
しょっつる鍋ならハタハタだけを食いたい。アラ鍋ならアラやクエだけを食いたい。
水炊きも好き。博多では【水たき】と【水だき】と汁が透明か濁ってるかで分けられてるがどちらも好き。ただし鳥以外の具材は一つか二つまでにしてほしい。
はりはり鍋の潔さを見習ってほしい。クジラと水菜だけだもの。
どぜう(ドジョウ)の鍋も潔いな。どぜう鍋は味噌味で丸のまま煮込みネギをドバッとかけたタイプと、下準備で割いて頭をとっておいたものをゴボウと一緒に割下で煮たタイプがあるが、どちらもOKだ。
もつ鍋も好きだ。ただし玉ねぎや野菜は入れるな。ホルモンだけでいい。焼肉でも野菜なんて虫じゃないんだからちょこっと箸休めでいいのだ。キムチだけでいい。
そのキムチの鍋なら具は豆腐だけでいい。そりゃキムチチゲじゃなくてスンドュヴじゃないかと言われそうだが、あのスープに最も合うのは豆腐だ。えのきは許す。トッポギとかトックはたまに入れてよし。豆腐を食い終わったチゲに、今度は牡蠣だけを入れて第二ステージを始めるのも好き。チゲの〆はご飯でもいいが、韓国ラーメン(煮崩れしにくい麺)でもいい。
で、散々書いたが一番最高の鍋は何か。
文句なしに丸鍋。すっぽん鍋。究極のシンプル鍋。
鍋ごとガンガンに熱くして食うすっぽん丸鍋なら、火加減のこまめな調節も、次々と具材を入れなきゃいけない焦りも、鍋奉行の心配も要らない。
よく「地球最後の日が来るとしたら、最後の晩餐に何が食べたい?」って話になるが、俺は「すっぽん鍋」だ。(最後の食事というなら握り飯と熱い茶だが)
ツルツルお肌のプルンプルンの感触を楽しみ、パンパンになった満腹感。これ以上の至福は無い。
まぁどんな鍋でも最後の雑炊を食った後はいつも「あー腹いっぱい。このまま死んでもいいかも」って思うのだがね。
鍋、恐るべし。
また、この季節がやってきた。