GOKIGENRADIO

バーボングラス片手のロックな毎日

中島みゆき ファイト!

2016-10-20 04:41:31 | MUSIC/TV/MOVIE
いつの時代でも言われる言葉がある。
今の時代の若者はいい時代に生まれたよな、と。

今、モノはあふれてる。お金さえあればなんでも手に入れれる。24時間コンビニは開いてるし、食べ物屋さんだってチェーン店からこだわりの店までよりどりみどり。お金さえあれば美味しいものを食べられる。

今、情報があふれてる。パソコンやスマホ、タブレットさえあれば全世界のニュースが瞬時に見れるし、友達とも繋がってる。SNSでつぶやいたり画像をアップすることを生き甲斐にしてる人もいる。CDも本も店に行かなくてもダウンロードで手に入れれる。映画もTV番組もライブ映像も思いのままだ。
車には興味がない。ドライブも旅行も行かない。海外へも行かない。恋愛にも興味がない。夢もない。仕事はしんどい。

若いくせに感覚だけ老人になってる人が増えてる気がするのは何故だ。

年金で悠々自適の生活をしてる世代はこう言う。
「今の若い奴らは贅沢だ。わしらの頃には・・・」
親がいないから。家が貧しいから。高校にもいかず就職してた世代がある。学校行く金がない。なんでもいいから働かなくてはならなかった。それでも家族を助ける為に、弟や妹には学校生かしてあげる為に、油と泥にまみれて働いてた。今の日本の礎はこの世代が作った

年金をそろそろもらおうか、って世代はこう言う。
「今の若い奴らは根性がない。俺らの頃は・・・」
ゲバ棒持ってなんか意味なく反対運動してたやつと、金がないのに夢だけ追いかけてた世代。バイトで学費払ったり、髪を切って企業に就職した時点で青春が終わったって嘆いたくせに、年功序列の会社で家庭を顧みず働いた。

体脂肪や血糖値を気にしだした世代はこう言う。
「今の若い奴らは言われた事しかしない。俺らの頃は・・・」
偏差値と学歴が全ての時代。裕福な家庭が増え、世の中が贅沢になってくると、勉強できないもん、家が貧しいもんは高卒で働き、頭のいい豊かな家庭のやつは大学、短大へ行く。受験戦争さえ勝ち抜けたらそのあとの就職は楽勝。世はバブルで企業は引く手数多の求人。

そして今の世代はこう言う。
「贅沢だって言われるけど、上の奴らのほうがおいしい思いしてたんじゃないの?」
平等教育になり、詰め込み授業からゆとり教育に。格差はありません、一人一人の個性を大切に。頑張らなくてもいいよ。そんな嘘を信じて世の中に出たら、使い物にならないと言われる。「ゆとりはこれだから」と言われる。
マスコミ、銀行、証券会社、商社、出版社、鉄道、車、電気機器メーカー・・・。誰もが望む企業は学歴・出身学校が一流と言われるところを出てないと、勤められない。平等のはずなのになんで俺だけ?私だけ?。派遣は時間に自由が効くかわりに契約がすぐ切れて不安。なんでもいいからと正社員で勤めたら長時間働かされるブラックだった。就職難民、フリーター、ニート。結婚なんてできっこない。

そんな若い世代。
この贅沢な時代に、嘆いてる世代は是非、中島みゆきの「ファイト!」を聞いてほしい。
君たちの上司にあたる世代では、家が貧しいから、家を守らなければいけないから、自分を捨てて我慢してた人がいることを。
「そんな人よりはよっぽどマシ」と思ってほしいんじゃない。みんな笑顔の裏側に悲しさや哀しみを隠して必死に生きてきたんだ。
今を嘆くな。開き直るな。他人と比べるな。
君たちは挑戦権の切符だけは平等にもらったのだから。

  ***** ファイト! ***** 作詞:作曲 中島みゆき 

  あたし中卒やからね 仕事を もらわれへんのや と書いた
  女の子の手紙の文字は とがりながらふるえている
  ガキのくせにと頬を打たれ 少年たちの眼が年をとる
  悔しさを握りしめすぎた こぶしの中 爪が突き刺さる

  私 本当は目撃したんです 昨日電車の駅 階段で
  ころがり落ちた子供と つきとばした女のうす笑い
  私 驚いてしまって 助けもせず 叫びもしなかった
  ただ 怖くて逃げました 私の敵は 私です

  ファイト! 闘う君の歌を
  闘わない奴等が笑うだろう
  ファイト! 冷たい水の中を
  ふるえながらのぼってゆけ

  暗い水の流れに打たれながら 魚たちのぼってゆく
  光っているのは傷ついて はがれかけた鱗が揺れるから
  いっそ水の流れに身を任せ 流れ落ちてしまえば楽なのにね
  やせこけて そんなにやせこけて 魚たちのぼってゆく

  勝つか負けるかそれはわからない それでもとにかく闘いの
  出場通知を抱きしめて あいつは海になりました

  ファイト! 闘う君の歌を
  闘わない奴等が笑うだろう
  ファイト! 冷たい水の中を
  ふるえながらのぼってゆけ

  薄情もんが 田舎の町に あと足で砂ばかける って言われてさ
  出ていくならお前の 身内も住めんようにしちゃる って言われてさ
  うっかり燃やしたことにして やっぱり燃やせんかったこの切符
  あんたに送るけん持っとってよ 滲んだ文字 東京ゆき

  ファイト! 闘う君の歌を
  闘わない奴等が笑うだろう
  ファイト! 冷たい水の中を
  ふるえながらのぼってゆけ

  あたし男だったらよかったわ 力ずくで男の思うままに
  ならずにすんだかもしれないだけ あたし男に生まれればよかったわ

  ああ 小魚たちの群れきらきらと 海の中の国境を越えてゆく
  諦めという名の鎖を 身をよじってほどいてゆく

  ファイト! 闘う君の歌を
  闘わない奴等が笑うだろう
  ファイト! 冷たい水の中を
  ふるえながらのぼってゆけ