2月24日、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が開かれ、政府から新提言がでてきた。しかし、内容がわからない。希望的観測を述べ、国民にお願いしているが、政府が何をいつするのか、曖昧にしている。
新型コロナウイルス患者がでても医療機関が診療をしなければ、医療体制は崩壊しない。しかし、医療体制が崩壊しなくても、それは医療体制とはいえない。しかも、専門家会議が流行への移行期だといっている。移行期には、まだ医療体制の余裕がある。だから、しっかりと医療機関が新型コロナウイルス患者の診療をしないといけない。
いわゆる初期消火である。
BS TBSの『報道1930』で、昨夜から、新型コロナウイルスを取り上げ、ゲストを招いて議論(discussion)をしている。
昨夜は、神奈川県知事の黒岩祐治、横浜市立市民病院感染症内科長の立川夏夫、ウイルス学者の岡田晴恵を招いた。
今夜は、衆議院議員国民民主党の岡本充功、おなじく自民党の国光あやの、医療ガバナンス研究所理事長の上昌広を招いた。
昨夜から問題となっているのは なぜPCR検査をしないのか、ということである。
PCR検査は2段階からなる。ウイルスのRNAをPCR機械で約2時間で10万倍に増やし、このあと、シーケンサーという機械でRNAの塩基配列を自動的に確定するか、試薬を使っていわゆる抗原抗体反応で検査するかである。ウイルス検査や研究で標準的に使われている方法である。
私が大学院生のとき、50年前だが、生物物理教室でシーケンサーの開発が進められていた。いまは、シーケンサーはメーカが販売する標準の医療器械である。中国でも、韓国でも、台湾でも、シンガポールでも、世界中で、新型コロナウイルスの確定検査にPCR検査が行われている。
PCR検査に関しては民間のほうが、体制が整っている。また、韓国では1日に5千検体を検査する体制を構築し、これから1日に2万5千検体を検査にもって行こうとしている。日本では、1日3千検体を上まわる検査体制にもって行こうと2月17日に加藤勝信厚労大臣が言っただけで、厚労省の役人は、これは期待で実現性を確認していないという。そして、厚労省は、実際に1日何検体を検査したか、確かな数字をつかんでいない。1日に100検体を越えていないようだ。
新型コロナウイルスPCR検査を民間に自由化し、保険診療でできるようにすれば、すぐさま、1日に数万検体の検査が可能となる、とみんながいっている。本当だと思う。
新型コロナウイルスの感染が検査できなければ、本当に、どれだけの人が感染しているかわからない。無症状あるいは軽症のひとは動き回るから、ウイルスをどんどんと まき散らしていく。感染が検査できれば、少なくても他人にうつすことを抑え込める。また、軽症のうちに治療すれば、重症化させないで、治せる。
重症化するまで、検査しないとは正しい医療であろうか、私がテレビを見るかぎり、臨床医はすべておかしいという。
政府は、新型コロナウイルスの本当の感染数も知ろうとせず、なぜ、専門家会議を開いて、こんな おかしな方針がでてくるのか。
今夜の『報道1930』では、厚労省と国立感染症研究所とが結託して権益を守ろうとしているからという疑いがでた。国立感染症研究所は、検査機関でなく、研究機関なのに、PCR検査をそこに集中させようとしているのは、第1に予算が欲しいということであり、第2に特定の日本の医薬品会社と組んで検査キットや治療薬やワクチンの開発研究をおこなっており、その権益を守りたいからでないかの疑義がでてきた。よく言えば、厚労省と国立感染症研究所は「日の丸」企業を守りたいのだ。だって、今すぐ、ロッシュから新型コロナウイルス簡易検査キットを買うことだってできるのにしないのだ。
前夜の議論では、普通の医療機関が新型コロナウイルスの診断をするためには、患者が受診したからといって、大騒ぎをして病院を閉鎖することをやめてほしい、と立川がいっていた。検体をとることは難しいことではなく、ほかの感染病でもやっていることである。患者からうつらないために、マスクや手袋をすることや、器具を消毒することも標準であって、それを通達すればよいだけである。
しかし、営業上からは、現状では、新型コロナウイルスの診断行為は医療機関にとってマイナスになるという。政府が普通の医療機関に検体の採集を依頼したことを明確にし、国民に周知させないといけない。
政府は、検査できる数を検体が超えた場合を想定し、優先順位を決めるルールを明確にすればよい。
以上のように、専門会議はやるべきことを提案していない。
政府のやっていることは、雨ごいと同じく、実態を調査せず、神頼みをつぶやいただけである。
また、株価急落は、もともと、政府による株価操作で、実態のないバブル状態であったから、この際、どんどん下がった方が良い。下がれ、下がれ。それよりも、毎日働かないと食べて行けない非正規雇用者や毎日の売り上げでしのいでいる小企業を政府は心配しないといけない。
起きていることは、安倍晋三が腐りきった者ばかりを周りに集めて政権を維持してきたウミが吹き出たのだ。安倍は早くやめろ。迷惑だ。
[追記]
きょう、2月26日のTBSテレビ『ひるおび!』で、政府の方針通り、この1,2週間、日本全体が自主的に活動を休止しても、その期間が過ぎたら、どうすればよいのかという、素朴な疑問が出た。専門家会議での見通しでは、1,2週間自粛しても、患者数が増加すると言っている。すると、自粛はずっと続けることになるのか、という疑問である。
政府は、長期間継続できる個人的努力を国民に要請し、一方政府がすべきことを明確にして、政府も実行すべきではないか。今回の発表の政府方針は問題ではないか。
[追記]
2月26日の朝日新聞夕刊を読むと国立感染症研究所がRNAにくっついて光る試薬を配ったという。まさに、これが日本のPCR検査のボットルネックになっているのではないか。
本来は検査機関が国立感染症研究所から試薬を受けとる必要がない。国立感染症研究所は開発した試薬の試験をひそかに行っているのだ。「日の丸」ビジネスの利権を確保しようとしている。検査機関はどこから試薬を買ってきてもよいはずだ。また、シーケンサーによる確定検査では試薬はいらない。
国立感染症研究所の試薬が外国企業より優れているとは限らない。開発した「日の丸」試薬の信頼性が まだ低いから、現在、国立感染症研究所でシーケンサーで確定検査をする必要性が生じている疑いがある。