猫じじいのブログ

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菅政権の「デジタル化」「デジタル庁」「マイナンバーカード普及」は意味不明

2020-09-28 23:00:04 | 叩き上げの菅義偉


菅政権の「デジタル庁」で行いたい「デジタル化」政策が私にはわからない。「デジタル化」そのものは、20年以上前から民間企業で行われていた。

「デジタル化」という言葉自体は、「平成」より以前の「昭和」から使われていた。企業や政府のデータは、ずっと以前にデジタル情報として、データベース化された。データベースとは利用者の要求で求める情報を取り出すだけでなく、いろいろな表の形でとりだせるし、データ分析処理プログラムを使えば、需要の予測などができる。しかし、いいことばかりではない。

約20年前に起きたいわゆる年金問題は、これまでの帳簿を大急ぎでデジタル化する際に生じた入力ミスである。入力データには誤りは必ず存在する。個人の情報はその個人が訂正できる仕組みが必要である。

情報がデジタル化されるにつれて、個人情報が外部に漏れ、悪用されることが生じている。オレオレ詐欺でも個人情報が利用されている。IBMとかOracleとかの標準製品のデータベースを使い、所定の運用をしていれば、情報の漏洩が起きると思われないが、手製のデータベースを使ったシステムであったり、標準データベースからデータを取り出しファイルとして保管していたりすることで、情報が簡単に漏洩する。

外部と接続しているシステムは原理的には不正アクセスを防ぐことはむずかしい。侵入されても、情報が漏洩しないためには、利便性を犠牲にしても、データベースの厳格な運用をすることである。そのためには、デジタル情報漏洩に関して、不正アクセスの実行者だけでなく、情報管理者にも責任が追及されなければならない。それだけでなく、個人情報の売買を禁止すべきである。個人情報の売買する市場がある限り、個人情報に不正にアクセスする者が現れるのを防げない。

20年前から生じた新しい問題は、集めた個人情報を企業が何に使うかということである。特定の個人に何を売り込んだ方が成功の確率が高いか、これは集めた情報を使えば、情報処理で求まる。これがビッグデータの利点である。私がIBMをやめる前、15年以上昔だが、会社のモラルとして、これはしてはいけないことだったが、現在どうなっているか、知らない。

企業が抱える巨大な個人情報は、会社がつぶれかけたとき、あるいは、つぶれたとき、市場に売り出される可能性がある。その意味でも、デジタル化された個人情報の売買は禁止しないといけない。それでも、合併吸収の形で、大規模なデジタル個人情報を他社が入手できる。個人情報の使用目的に制限をかけないといけない。

このように、われわれは、デジタル化の問題を、すでに、いろいろ経験している。それにもかかわらず、前総理の安倍晋三は、ことしの1月に、所信表明で、IT利用の規制緩和を宣言している。コロナ騒ぎでどうなったか不明だが、企業の利益にばかり目がいって、個人の権利を守ることが忘れられている。

菅義偉は、昭和の人間だからか、「デジタル化」を政権の方針にかかげたが、行政情報自体は、すでにデジタルになっているはずである。たぶん利用の利便性を高めようということであろう。利便性は個人情報の保護とトレードオフ(trade off)の関係である。

現在、マイナンバーは、住民票情報(住所、連絡先、氏名、年齢など家族構成)、給与、所得税、住民税、預金などの資産情報と結び付いている。まさに、貴重な個人情報である。そして、すべてデジタル化されている。これらが漏洩したら、誰が責任をとるのだろうか。漏洩がないか、どうかをちゃんと監査しているのか。これらの問題に対処しないで、デジタル化を進めるとは、国民をバカにしている。

もうひとつわからないのは、菅政権の「デジタル化」のひとつに、マイナンバーカードの普及をかかげている。別にカードを普及させなくたって、個人情報は、デジタル化されており、利用できる。カードを普及させたからといって、情報の漏洩が防げるわけではない。だから意味がわからない。

考えられる用途は、非常事態制限下で、国民に写真付きマイナンバーカードを所持させ、身分証として利用したいからではないか。あるいは、犯罪捜査のために、写真情報とマイナンバーと結び付けたいのか。犯罪のなかに、日本は公安情報を含めているから、デモ参加者の顔を割り出したいのか。疑心暗鬼になる。

マイナンバーカードを普及させたい菅政権の理由がわからない。