きょう、TBSテレビの『ひるおび!』を見てびっくりした。来週提出される特別措置法と感染症法の菅政権の改正案は、自分たちの無策をごまかすために、国民を厳罰に処すと脅かし、医療従事者を強制的に新型コロナ介護にあたらすものだからだ。しかも、これを世論が支持しているという。
菅政権が、自分たちの非をさしおいて、国民が悪い、医療従事者が悪い、といって、人権を無視した法改正をして良いものか。罰すべきは、菅義偉ではないか。刑務所に放り込むべきではないか。私はそう思う。
感染症法の改正案では、感染者が、宿泊療養などの要請に応じない場合は、入院勧告をし、それに反した場合には「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」を科すという。また、保健所の調査を拒否したり虚偽の申告を行ったりした場合には「半年以下の懲役または50万円以下の罰金」を科すという。
非常に個人に重い刑罰ではないか。
新型コロナで死にかけている患者に本気でこの刑罰を科すつもりなのか。
無症状の感染者を見いだす努力をいま政府が行っているのか。保健所や厚労省は、PCR検査がひっ迫しているから、濃厚感染者の可能性があっても無症状であれば検査しないと言っている。
日本ではなぜPCR検査能力が増えないのか。せっかく、ノーベル賞受賞者を出した島津製作所が全自動のPCR検査機器を発売したのに。
また、感染症法改正案では、新型コロナウイルス感染者の病床を確保するため、病院に患者の受け入れを勧告できるようにし、拒否された場合には病院名を公表できるという。
病院が患者を受け入れる体制が整っているか、行政の誰が判断するのか。すでに、公立も民間も大病院は新型コロナ感染者を大量に受け入れている。受け入れベッド数を増やすだけが対策ではない。新型コロナ患者のベッドを増やすということは、いまベッドにいる患者を追い出すことになる。
いまベッドにいる患者は治療方法も確立しており、救える患者である。それを追い出して殺す権利が行政にあるのか。
ベッド数が足りないのは、国が払う医療費を削減するために、長年にわたってベッド数削減を政府が医療機関に要求してきたからだ。余裕のある医療体制を政府が選ばなかったのだから、無理矢理に患者たちを小規模病院に押し込むのではなく、ベッド数が足りないなら、中国がやったように、国の責任で大規模な医療施設を緊急につくり、ベッド数を確保すべきである。東京都や神奈川県では屋根付きイベント会場が多数あるから、そこに、ベッドを持ちこめば、ベッド数は確保できる。しかし、医療従事者の数は容易に増やせない。
すると、医療崩壊を防ぐには、新型コロナ患者の数をふやさないのが基本ではないか。飲食店の時短ではなく、ヒトとヒトの接触を、必須のものをのぞき、徹底的に避けるよう要請することではないか。それが、緊急事態宣言の目的ではないか。
しかも、首都圏だけでなく、全国的に感染拡大が広がっている現在、全国的に、緊急事態を宣言すべきではないか。
菅義偉は、経済と感染対策とを両立させると言う。しかし、現実は、いつも、経済を優先させようとして、感染対策が後手になっている。冷静になって考えると、菅義偉のやっていることは、新型コロナによる悪影響への対策ではなく、選挙対策の経済対策をやっているのだ。しかも、感染対策と矛盾する経済対策、GoToキャンペーンをやった。本当にやるべきは、新型コロナ感染流行のために解雇された人々の困窮を救うことではないか。
きのうの夜、テレビで、証券会社のアナリストたちが集まって、新型コロナ感染拡大のなか、株価がなぜ上がるのかを議論していた。
最大の要因は政府が作ったカネ余り状態である。しかし、もう一つの要因は、投資家たちは新型コロナ感染拡大の経済への影響を心配していないからだという。
日本の経済(GNP)の1割の接客業は新型コロナの影響を受けている。しかし、9割はこれまでの水準を保てていると彼らは言う。問題は、その1割が雇用人口の4割を占めていることだ。すなわち、経済の問題ではなく、政治の問題である。
菅義偉は、自分の政治基盤である、GNPの1割を担う小事業主を救おうとしている。しかし、その下に、日本の雇用人口の4割がおり、すでに、そのかなりは解雇されている。全国に感染が拡大しているので、解雇された人たちは今後急激に増大するだろう。彼らを救うのが政府の責任である。非正規の被雇用者が多いから、失業保険で救えない人たちも多いだろう。給付で救うべきだろう。
いまは、特別措置法改正や感染症改正に時間を割く時ではない。
政府は感染症対策の基本に本腰をいれ、一方で、早急に生活困窮者の実態を調査し、適切な手段で彼らに迅速に給付すべきである。