猫じじいのブログ

子どもたちや若者や弱者のために役立てばと、人権、思想、宗教、政治、教育、科学、精神医学について、自分の考えを述べます。

損得からくる「不公平感」は解決つかない、困窮者救済を優先すべき

2021-01-21 22:24:31 | 新型コロナウイルス

新型コロナ対策で、時短要請で協力金の払い方をめぐって、不公平だという声が、テレビなどで取り上げられている。しかし、なんのために協力金を払うのか、何が不公平か、じっくりと考える必要がある。

不公平だという声は、どうも、新型コロナ対策で、本来儲けることができた分の損失を弁償するのが、当然だという考えからくるのだと思われる。しかし、これは、対策に直接協力して、労働時間が長くなったから、その労働時間の増加に合わせて賃金を上積みせよというのとは、本質的に異なる。

新型コロナのため、みんな、大なり小なり収入が減っている。新型コロナ「対策」による損失を正確に評価することはむずかしい。

新型コロナ対策では、ワクチン接種が行き渡らない限り、人と人との接触を抑えないと、感染の広がりを防げない。したがって、爆発的感染拡大の危険があるとき、不要不急の外出をしない、飲食店で会食をしない、という要請を個人にせざるを得ない。日々の新規感染者数が小さければ、そのような要請は不要だが、新規感染者数が医療体制を圧迫し、治療方法の確立している他の病気の患者の命を脅かすようになれば、新規感染者数を抑えるための行動規制をせざるを得ない。

そのために緊急事態宣言がある。

新型コロナ対策で本来儲けることができた分を公平に保障することは、もともと無理な要求ではないか。
すると、「協力金」というよりも、新型コロナ感染で経済的に困窮している人たちを救済するのが、まず最初にすべきことではないか。

緊急事態の新型コロナ対策は、私有財産を増やすという「自由」に一定の制約をかけるのはやむを得ない。この要請では、お金儲けをしていけないとまでは言っていない。商売の仕方を変えても良いわけだ、テイクアウトをやってもよいし、弁当を配達しても良いわけだ。

したがって、経済的困窮者が優先され、大規模事業者があと回しになったことは政治的には間違いでない。緊急の困窮者救済では、一律支給はやむを得ないと思う。大規模事業者は、「協力金」ではなく、別に、事業継続のための貸し付けという形で救済していくしかない。

「損得」という観点から叫ばれる「不公平」の解消は、いま、生きていけないという「困窮」の救済のあとに回しにすべきだし、「損得」からくる「不公平」を「公平」に裁くことはもともと無理である。

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とても奇異な大統領就任式だがジョー・バイデンのスピーチは良かった

2021-01-21 08:36:09 | 国際政治
 
1月20日、これから、3時間後にジョー・バイデンのアメリカ大統領就任式が行われる。しかし、就任式の行われる首都ワシントンは2万人の州兵によって厳重な警戒が行われ、バイデンを祝福する人たちが まだそこにいない。会場の観客席には、星条旗がはためいているだけだった。
 
   ☆      ☆       ☆
 
1月6日、トランプ支持者たちが選挙結果を認めないという集会を首都ワシントンで開いていた。アメリカ議会での選挙結果承認を妨害する意図をもって、トランプが議事堂に向かって行進するよう呼びかけ、そのことで、議事堂内への乱入を招いた。そして、警備員に乱入したトランプ支持者4人が撃ち殺された。
 
これ自体はアメリカの分断の大きさをうかがわせる事件である。集会に参加した人数は何人で、乱入した人数は何人で、この事件の世論調査の結果はどうだったか、私は調べていない。
 
しかし、アメリカ議会は、共和党を含めてこの事件を許されないことと判断し、また、軍隊上層部やFBIなどはアメリカの憲法と民主制に忠誠を示し、議事堂乱入事件は暴徒による不法行為として扱われた。したがって、アメリカの民主主義は守られたはずである。160年前のリンカーン大統領のときのような内乱にならないはずである。
 
   ☆      ☆       ☆
 
しかし、これから行われるアメリカ大統領就任式に、ジョー・バイデンを祝う民衆はどこにいるのか。レディー・ガガが米大統領就任式で国歌を独唱しても、パレードもなく、ジョー・バイデンを祝福する群衆の集まりが少ないと、アメリカの民主主義の健在を私は実感できない。
 
ちょうどいま、テレビ朝日『報道ステーション』は米軍基地で行われるトランプの退任式をライブで放送している。退任式を終えたら、フロリダに大統領専用機エアフォースワンでいくのだという。
 
私は、約2万人の州兵が警戒に動員されているというだけの大統領就任式をみたくない。バイデンは身の危険があっても、多数のアメリカ国民に支持されているという演出をすべきではないか、と思う。
 
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いま、日本時間で深夜の1時45分ごろに、ジョー・バイデンの就任宣誓とスピーチが始まった。招待された人たちだけの奇異な就任式だった。祝福する群衆の代わりに、観客席では多数の小さな星条旗だけが風に吹かれ、はためいていた。まるで、激戦の後の荒廃した町のようだ。
 
しかし、バイデンのスピーチはよかった。Democracy、Unity、Constitution、Healing、Togetherを繰り返す、単純なものだが、物静かな、そして、説得するような声の調子が良い。Hear me clearlyなどのフレーズもはいり、教会での祈りを聞いているような感覚だ。
 
国民の深刻な分断のなかで、新型コロナで荒廃したアメリカが、バイデンのような静かに心から語る老人を、必要としているのだという気がしてきた。
 
彼の言葉が、コロナと分断のアメリカの国民を助けることを、祈る。言葉が、すさんだ心を癒やすよう、祈る。