(ポーランド映画『火と剣』)
ロシア軍のウクライナ侵攻を契機に、多くの人がウクライナの歴史に急に興味を持ち始めたようだ。黒川祐次の『物語ウクライナの歴史 ヨーロッパ最後の大国』(中公新書)は、横浜市の図書館で、現在予約数128人である。私も予約をしており、94番目である。
私のウクライナのイメージはコサック(Козаки)である。が、じっさいのウクライナは多民族国家であり、みんながコッサクの末裔というわけではない。ロシア革命後の内乱時代にコサックは大弾圧を受けたというから、過去と現在がどうつながっているかは、黒川の本を読むまで、私にはわからない。
ウクラナイでコサックを思いうかべるのは私の勝手なロマンである。コサックに関する私の知識は、ウィキペディアとYouTubeによる。
コサックを主題にした映画で、その一部が頻繁にYouTubeに利用されるものにつぎがある。
- 1962年のアメリカ映画『Taras Bulba(タラス・ブリーバ)』
- 1972年のウクライナ映画『Пропала грамота(失われた手紙)』、
- 1999年のポランド映画『Ogniem i mieczem(火と剣)』
- 2009年のロシア映画『Тарас Бульба(タラス・ブリーバ)』
意外なことに、モスクワやワルシャワから自由であった時代のコッサクの映画が製作されていない。
『失われた手紙』と『タラス・ブリーバ』の原作はニコライ・ゴーゴリの小説である。
『失われた手紙』は政治性がなく、悪魔や魔女が出てくる幻想的冒険談で、ウクライナの農村の風景がでてくる。ウクライナがソ連の一部であった時代に、ウクライナのキエフにあるスタジオが制作した映画である。
『タラス・ブリーバ』は、ポーランドと戦うコサックの隊長、タラス・ブリーバの物語である。この映画で、タラスが火あぶりの刑になるとき、ロシアの大地を讃える言葉を発する。1962年にアメリカが映画『タラス・ブリーバ』を作ったのが不思議である。私が子どものとき、父に連れられて、ユール・ブリンナーが主演したこの映画を見た記憶がある。
『火と剣』はヘンリク・シェンキェヴィチの小説を原作とする物語で、ポーランドへのコッサクの反乱において、ポーランド側にたって戦うコサックを主人公とする。この映画に関しては、ウクラナイ側から色々な文句がでた。たとえば、コサックが酔っぱらって戦いでドジを踏むことなんてありえないとかである、
コサックがモスクワと戦ったという映画がないのが不思議である。ドン川のコサックは、昔、モスクワに対する反乱を何度か起こしている。ロシアが言うほど、現在のウクライナは民族主義的でないのだろう。しかし、きっと、今回のロシア軍のウクライナ侵攻で、いずれ、コサックがロシアと戦う映画が製作されるだろう。歴史は、現在起きていることで、再解釈されるからだ。
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