猫じじいのブログ

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教員採用試験の倍率は過去最低となったというが、それでも高すぎる

2022-09-12 00:31:50 | 教育を考える

文部科学省は9月9日、今年度の全国で採用された公立の小中学校や高校などの教員採用の平均倍率は過去最低となり、このうち小学校の採用倍率は4年連続で過去最低となったと公表した。

どれくらいの倍率かと思ったら、今年度の小中高の教員採用平均倍率は3.7倍で、小学校だけでは2.5倍という。私は充分高い倍率と思う。司法試験のような資格試験の倍率ではない。教員採用試験の受験者はすでに教員免許を持っている。彼らが子どもたちのために現場で働きたいと思って、各地の自治体の選考試験を受ける。そして、3.7人が受ければ2.7人が採用されない。

文部科学省は採用倍率が高ければ、質の良い教員がふえると思っているようだ。どんな採用試験をすれば、優秀な教員を採用できると思っているのだろう。私は、採用選考試験で、優秀な教員のたまごを採用できると思わない。

たとえば、暴力や脅しを使わずに子どもの才能を伸ばすことができる力があるかどうかを判定しようとする。紙のテストであろうが面接であろうが、受験者はステレオタイプの答えをするだけである。

私はIT会社の研究所にいて採用面接を頼まれることが何度もあったが、受験者の多くは調子のよいことをいうだけである。卒業研究の話を聞いて判断していたが、採用すると、独創性がまったくないことがある。

したがって、教員の質を上げようと思ったら、大学で質の高い教育を行い、教員に採用したら、子どもの教育について教員間で切磋琢磨する環境を整えることである。教員が職に就くときの高いモチベーションを維持することがだいじだと思う。

私は若いとき教職に興味を持たず、教職関連のコースを大学でとらなかった。会社を退職してから放送大学の教育心理学を聴いていたが、講師の言っていることがお粗末でびっくりした。それでも東京大学の教授だった。

私が勧めるのは、大学で最低限の知識を学び、初心をだいじにし、現場で実際の問題と格闘することで、知識を広げ、自分の理論(working hypothesis)をもつことだ。職場での研修もある程度有効だが、研修屋の研修は単に「上下関係の秩序を守れ」に過ぎず、時間の無駄である。どこの職場でも同じだ。

普通、就職したい人が就職できなければ、失業者になるしかない。したがって、本来、採用倍率は1に近いのが健全である。高い採用倍率を望む文部科学省は、採用試験に落ちた若者が、「臨時的任用教員や非常勤講師などを続けながら教員採用選考試験に再チャレンジ」することを期待しているようだ。私のNPOでも、教員採用選考試験にチャレンジするスタッフがいる。

教員になろうと思わなかった私がみていると、教員になろうとする人たちはとても純真である。こんな人たちを採用選考試験で落とすようなことをしていると、そのうち、だれも公立校の教員になろうとしない日がくるのではと、思う。



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