きょう、遅い夕食を食べているとき、BS TBS『報道1930』でキャスター松原耕三が、転職で給料があがっていかない日本社会は労働力の流動化がなく、日本経済の停滞を生んでいると言った。そのとき、ゲストの森永卓郎が、日本の労働慣例と日本経済の停滞は別だとコメントした。日本が世界の経済発展から遅れているのは政府の経済政策が誤っているからだと主張した。
そこで、息子がその遅い夕食に加わり、バチンとチャンネルを変えた。
遅い夕食なのは、NPOで子どもを教えて帰ってから、私が食べるからで、いつものことである。残念なのは、森永と松原との意見の相違がどのようになったか、見届けることができなかったことだ。
私も、労働力の流動化が経済発展を生むという松原の考えは間違っている、と思う。約20年前の株と土地のバブルがはじける前まで、日本のメディアはジャパン・アズ・ナンバーワン(Japan as number one)と言って、日本の年功序列、終身雇用をほめあげていた。
日本のメディアはクソである。恥をしらない。
私も、日本政府および自民党の政策の誤りが、現在の日本の経済停滞を招いたと思う。日本の経営者に優しすぎると思う。はっきり言えば、自民党は経済界からお金をもらって、経済界が喜びそうな政策を官僚に行なわせる。経営の経験もない官僚が、経済を考えて、合併を進めたり、会社に資金援助したり、大学に企業がやるべき研究を強要したりする。
敗戦後の日本は、1960年まで確かに経済界が政府の助けを要した。それで、敗戦後も戦時体制が経済の分野で続いた。しかし、安い労働力で、アメリカの製造業を脅かすまでになった1970年代には、各企業は政府から自立し、自分の頭で考え、市場を切り開いていくべきであったのである。
1980年代のジャパン・アズ・ナンバーワンと叫んで日本が踊り狂っているとき、アメリカは日本の生産プロセスや労務管理を研究し、成長するアメリカ企業はそれを取り入れていった。
アメリカでは、離職率が高い企業は、危ないと見なされる。
日本の終身雇用や年功序列は、昔からあったのではなく、敗戦後、熟練労働者が会社を見捨てて出ていかないために、生まれたものである。
安倍政権の経済政策の誤りは、株価を人為的に上げたこと、強引に円安誘導したこと、派遣労働を認め正規雇用と非正規雇用の分断をひろげたことなどで、製造業の経営者を甘やかしたことである。集積回路の設計・製造を捨てて、時代錯誤の原子炉製造に走った東芝は、本来、潰れて当たり前である。どうして、東芝の役員は刑務所に放り込まれないのか。
いまだに、労働力の流動化などと、労働者ばかりに経済の停滞の責任を押しつけているのが、日本の現状である。
こんなとき、労働力の流動化が日本の経済停滞の主たる要因と言う松原耕三は、バカとしか言いようがない。
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