猫じじいのブログ

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これから喜劇とでるか悲劇とでるか 日経平均株価の4万円超え

2024-03-05 20:43:53 | 経済と政治

実感のない史上最高の「日経平均株価」が、きのう3月4日に、ついに4万円を超えた。手数料ビジネスをする株の仲介業、証券会社はホクホクで、社員を集めて くす玉を割るなど 大騒ぎをしていた。

当日の夜、TBSテレビ『報道1930』は、日経平均株価について、ゲスト志賀俊之(日産元COO)、井出真吾(ニッセイ基礎研究所)、加谷珪一(経済評論家)をまねいて、論じていた。志賀は笑いがとまらないようだったが、エコノミストの井出や加也は、比較的冷静だった。このふたりは、日本がインフレに突入したから株価は上がる、ただ、この間の上がり方が異常であるという意見だった。

日本のメディアでは指摘していないが、日本の外から見た日本株価の動きは、別の景色に見える。為替レートを適用して株価を見れば、すなわちドルでみれば、3月4日の株価は、史上最高ではない。

日経平均株価は、安倍政権は政府系ファンドや日銀を通して株価操作をしていて2018年から200ドル前後で推移していた。安倍晋三が首相をやめる前の2020年3月19日に152ドルに暴落した。このときの為替レートは1ドル105円である。

安倍が辞意を表明した夏ごろからドルでの株価が回復し、菅義偉首相のもとで、2021年2月16日に最高のドル建て株価289ドルを迎える。その年の9月に菅は退陣に追い込まれ、岸田文雄が自民党総裁になった。このころから株価はふたたび下がりはじめ、翌年の9月末から10月の前半は180ドル前後を推移した。このころは1ドル145円前後である。株価の底である。

去年2023年にはいって、日経平均株価は200ドルに回復し、10月ころから急速に上がりはじめ、今年2月26日に261ドルになった。きのうは260ドルである。1ドル150円である。

報道1930の番組としては、3月4日までの異常な株価上昇は、オイルマネーが日本株市場に参入したからというのがメッセージである。昨年1月末から今年の1月までの海外からの買い越しは、アジアから0.2兆円、北米から0.8兆円、ヨーロッパから4.4兆円で、ヨーロッパの買いは中東の政府系ファンドが大半を占めるということであった。

しかし、私は、ゲスト加谷のコメント、日本株の売り買いの市場が縮小していて、外的要因に過度の影響を受けているが、正しい現状認識と考える。政府の思惑を越えて株価が動く時代にはいったのだ。

株価の高騰は岸田政権の掲げる資産倍増計画、新NISAの結果ではないのだ。ニッセイ基礎研究所の金明中は、「新NISAに投資された金額の約8割が海外株式に投資されており、国内株式への影響はそれほど大きくない」(2024年02月29日)と言う。

株価は、日本経済の期待で決まるのではなく、株売買のゲームに参加する多数派の投機家の心理の推測で決まる。ポーカーゲームと同じだ。これを岩井克人は『21世紀の資本主義論』(ちくま学芸文庫)のなかで、「ケインズの美人コンテスト」と呼ぶ。

いま、手数料ビジネスの仲介業は、株価の乱高下のとき売り買いが増えるので、ホクホクである。しかし、株売買のゲームに熟知していない若者や主婦や老人が、株価高騰の後追いの形で参加することは、哀れと言うしかない。

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