7月10日の朝日新聞に、『出入国 台湾先行目だたせず』という記事が出た。
この記事は、新型コロナ感染対策として、いま世界で広がっている出入国制限の「緩和」交渉の舞台裏の報告である。
現在、新型コロナ感染防止を理由として、日本は、日本人をのぞき、129ヵ国からの入国を拒否している。いっぽう、148ヵ国では、日本人の入国が制限されている。
世界経済はグローバリズムのなかで動いているはずなのに、なぜか、人の往来を制限するナショナリズムが、世界的に、政治の世界で起きている。
私はなぜかが良くわからないのだが、新型コロナ流行のため、日本は、各国によって入国が拒否され、また、各国からの入国を拒否したにもかかわらず、この間も貿易が行われている。
実際、毎日、日本では、外国産の食べ物(たとえば乳製品や小麦粉)が食べられ、工業製品が外国に輸出されている。
ということは、物資の輸送に携わる人は、形式的には、入国していないことになるのだろうか。船の場合は、船から降りなかったことにすればよいが、飛行機の場合はどうするのか。飛行場内に、どこか、日本に上陸とみなされない建物があるのだろうか。
工業製品の輸出管理は経済産業省が行っており、食料品の輸入管理は農林水産省が行っている。
税関は財務省の組織である。
入国の拒否は法務省の管轄である。検疫は法務所の外局が行っている。空港や港のPCR検査は厚労省の管轄ではない。
どこの国が日本人の入国を制限しているかの情報把握は外務省の管轄である。
新型コロナ対策は、各省、バラバラに行っており、それを指示・統制しているのは、首相官邸である。
外務省は、6月から、オーストラリア、ニュージーランド、タイ、ベトナムとの出入国制限の緩和交渉をした。相手国からの人の入国を認めるだけなら相手国と交渉する必要はない。日本が通告するだけで良い。オーストラリアとニュージーランドは日本人の入国を拒否している。交渉が成立したのは、タイ、ベトナムだけである。
外務省は、つぎに、7月1日から、中国、韓国、台湾、ブルネイとの制限緩和の交渉にはいったと発表した。
さて、7月10日の朝日新聞の記事は、その制限緩和の交渉の背景についてである。
〈「台湾を先行させてね」。複数の政府関係者によると、安倍晋三首相は第2弾の検討にあたり、そう指示したという。〉
〈台湾からの入国緩和は自民党保守系議員らの要望でもあった。〉
〈外務省は「交渉入りは同時でなければ、中韓との関係がこじれかねない」と懸念した。〉
〈交渉の入り口はほぼ同時とし、出口で台湾を先行させる方針が浮上。さらに日本と比べても感染状況の落ち着いているブルネイ、ミャンマー、マレーシアなどを加え、懸案の中韓台をおよそ10ヵ国・地域のなかに埋没させる方向となった。〉
「出口で台湾を先行させる」とは八百長レースではないか。こんなことが、外部に漏れ出たことは、スキャンダルではないか。
他社の記事や、台湾との貿易の業界記事を見ても、この朝日の憶測が裏づけられる。
しかも、台湾は日本人の入国を拒否しているらしい。
さらに、安倍晋三が、今年の2月の段階で、中国から入国拒否を行わなかったことへの、百田尚樹らの批判にたいし、負い目を感じていることも裏にある。
こんな状況で、八百長レースは うまくいかないだろう。
しがらみを愚痴っても しかたがない。
経済活動の再開させるのだから、グローバルな人の往来も再開させる必要がある。人の往来があって、検疫が有効に機能するよう、検査体制を整えるのが本筋である。
検疫を政治利用し、八百長レースが外に漏れるとは、安倍政権もタカが緩んでいる。バカな安倍晋三を神輿にかつぐ外務省も前途多難である。同情せざるをえない。
しかし、沖縄の米軍基地で新型コロナの集団発生が起きているということは、どう考えたらよいのだろうか。米軍基地にくる米兵は検疫の対象ではない。日本に米軍基地があるのは、グローバリズムとなんの関係もない。75年前の米国による日本の占領が、米軍基地という形でいまだに継続しているだけである。
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