きょう1月16日の朝日新聞《憲法季評》で、安倍政権が、「定義」が難しいという理由で、国会議員の質疑に答えることを拒否すると、憲法学者の蟻川恒正が、怒っていた。
国会議員は、政府を監視するための国民の代表として選ばれたものである。政府は国民にサービスするところであるから、国民の代表に、「定義」が難しいという理由で、質問に答えないということは、許されない。
(1) 「功労・功績」
昨年12月17日の野党合同ヒアリングで、安倍後援会関係者を含む(桜を見る会の)全ての招待者に功労・功績があったのかと尋ねられた内閣官房参事官が、「『功労・功績』といったものの定義がなかなか難しい」と答えた。
質問者は、桜を見る会に招待する基準が何かを知りたかったはずである。
しかし、昨年の11月8日に国会で「『自治会』や『PTA』の活動をも『功労・功績』としなければならない」と首相が答えたため、参事官が追い詰められたからだと蟻川は思いはかる。
すなわち、「自治会」や「PTA」の活動は別にきわだった功労・功績ではないから、何かさらなる説明が求められることを恐れたからだ。安倍晋三の選挙区の人だから、と言うわけにいかないと、参事官は思っているのである。
(2) 「反社会的勢力」
同じく、反社会的勢力の人間に桜を見る会の招待状がなぜ送られたかの質問に、内閣は「『反社会的勢力』の定義については、その時々の社会情勢に応じて変化し得るものであり、限定的・統一的な定義は困難だ」とする答弁書を閣議決定した。
なぜ、「定義は困難だ」ということを閣議決定したのか。これは、公明党の発言を縛るためと思う。しかし、反社会的勢力の人間とは誰かは、メディアに名前がすでに出ていたのである。安倍晋三が関与しているとの非難を抑えるためである。
(3) 「侵略」「植民地支配」
安倍政権の閣議決定は今に始まったものではない。
安倍内閣は、2013年5月、「国際法上の侵略の定義については……確立された定義があるとは承知していない」とする答弁書を閣議決定し、2015年3月には、再び、「『植民地支配』及び『侵略』の定義は様々な議論があり、答えることは困難だ」とする答弁書を閣議決定した。
蟻川は、「国連総会は、1974年、『侵略の定義に関する決議』を採択し、侵略の公的な定義を下している。それをないと言う国家は、これから侵略を始める国家か、さもなければ、過去にした侵略を侵略ではないと言おうとする国家である」と書く。
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言葉が定義できないというのは、私はあなたと話しできないというのに、ひとしい。蟻川は、そんな態度では、憲法改正のまともな議論ができないという。私は、話し合いを拒否する安倍晋三をゲバ棒で突いてやりたいと思う。