ガザには水道も電気もなく、あるのは空爆だけ
いま、BSフジ『プライムニュース』で、駐日イスラエル大使の話を聞いて、あまりにも自分の都合ばかりを主張しているので、私は とても腹立った。彼は常軌を失っている。
彼がハマスをテロだったと言って、ハマスを壊滅するために、ハマスと戦争すると言うのは矛盾する。これまで、パレスチナ人の抵抗を、テロだと言って、犯罪人だとしてイスラエルの司法で勝手に裁いてきた。
しかし、戦争なら、人道的観点からはジュネーブ条約でいろいろな規制がある。民間人の住む所を空爆できない。捕虜を殺害したり、虐待できない。住民への水道や電気や食料を止めることができない。今回のガザ空爆、地上軍のガザ侵攻と、いったい、どうするつもりなのだ。
彼は、イスラエルの赤ん坊が殺され、女が強姦されたから、戦争をすると言いながら、それは報復ではない、イスラエルの国を守るため、犠牲がでるのはやむをえない、と言う。どれだけの犠牲者をだすつもりなのだ。今回、女を強姦する暇がハマスにあったのか。デマではないか。
彼は、民主主義の国のイスラエルを支持するのか、それとも、イスラム法を押しつけるパレスチナを支持するのか、と言う。事実は、イスラエルが民主主義の国というより民族主義の国で、ガザ地区のパレスチナ人の労働者を使って、イスラエルの経済的繁栄、強力な軍事力を築いてきた。そして、ヨルダン川西岸の占領地ではパレスチナ人の土地をイスラエル人が奪っているのを黙認してきた。いや、黙認と言うより、イスラエル人の入植者を軍隊で守っている。だいたい、もともと住んでいるパレスチナ人を追い出して、武力でイスラエル国を建設したところから誤っている。
彼は、今回、ハマスと最終決着をつけるという。最終決着とはなんのことかのみんなの質問に答えない。
彼がこう発言したのは、10月12日の『プライムニュース』のなかである。ゲストは、駐日パレスチナ常駐総代表部大使ワリード・シアム、駐日イスラエル大使ギラッド・コーヘン、通称「ヒゲの隊長」自由民主党参議院議員の佐藤正久、放送大学名誉教授の高橋和夫である。
キャスターの反町理もゲストの佐藤も高橋も、イスラエル政府は今後のことを何も考えていない、と言う。
ガザの住民を全部殺しても、パレスチナ人の親族は世界中に散らばっているから、憎しみの連鎖がめんめんと続くだけだ。日本政府は慎重に動くべきだ。欧米の政府に追随してはならない。いま、情報戦に入って、イスラエル側からの映像だけがメディアに流れている。事実は、イスラエルが、ガザ地区への電気・水道・燃料・食料・医薬品を止めて、ガザ地区の空爆を繰り返しており、これから地上軍をガザに送り、完全に制圧すると言っている。
反町も佐藤も高橋も、首相の岸田文雄が、双方に自制を求める慎重な発言をしたことを評価している。
いま、アメリカの国務長官アントニー・ブリンケンがイスラエルと、地上軍を送る前にガザ住民を逃がす人道回廊を作る交渉をしている。いっぽう、アメリカはイスラエルにすでに弾薬などの武器をイスラエルに届けている。アメリカ政府はイスラエルの地上軍がガザ地区に侵攻し、ハマスをせん滅することを承認しているのだろう。国際的非難をかわすためだけに、「人道回廊」を提案したのだと私は思う。
ゲストの高橋は、ガザ地区からエジプトへの「人道回廊」は実現しないだろう、と言う。ガザ地区には220万人のパレスチナ人がいる。この大量の難民をエジプトは受け入れられない。また、ガザからエジプトに逃げても、ガザの地に戻ってこれないことを、パレスチナ人は、過去のイスラエルの占領政策から、知っているから、自ら逃げないだろう、と言う。
それでは、どうなるのだろうか。ゲストのみんなは悲惨な予見に言葉を濁す。
敢えて私が想像するのは、イスラエル政府は、ガザからイスラエルを通って占領地ヨルダン川西岸に、パレスチナ人を強制輸送することだ。ガザにとどまるものはすべてハマスとしてイスラエル地上軍が殺すだろう。ガザとイスラエルとの間に高い壁がある。イスラエルに抵抗する疑いのある者はそこを通さない。あるいは、その場で殺す。一人ひとり、イスラエル軍は壁の検問所でチェックするだろう。そして、イスラエル政府は、戦争では犠牲は付きものだと言うだろう。平和のために戦争をしたと言うだろう。
とにかく、現在、アメリカもイスラエルも正気でないから、これから、もっと大掛かりな悲劇が起きる。そして、中東は不安定化し、世界にそれが伝番する。世界大戦が起きないよう、日本の外交は慎重であるべきだ。
[追記]
10月13日、イスラエルが、「人道回廊」をも拒否し、ガザ地区の北部の住民は24時間以内に南部に移動せよ、と国連に通告した、とTBSテレビの『ひるおび』やイギリスのBBC放送ニュースが報道した。100万人を超えるガザ地区北部の住民が24時間以内に南部に移動することは無理である。BBCは、ガザ地区から死に怯える住民の姿を放映していた。
[追記]
[エルサレム 10月13日 ロイター] イスラエルのネタニヤフ首相は13日、これまでに行っているイスラム組織ハマスに対する報復攻撃は「始まりに過ぎない」と言明した。
また、「前例にない威力で敵を攻撃している」とも述べた。
これに先立ちイスラエル軍主席報道官は、イスラエル軍の歩兵部隊と戦車部隊が13日、ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザ内で「局地的な奇襲」を実施したと発表した。空爆作戦から地上作戦への移行を初めて明らかにしたとみられる。
[追記]
[10月14日BBC] イスラエル国防軍は14日、パレスチナ自治区ガザ地区の北部に住む約110万人に対して、住民が通るべきという2つの避難経路を示した。イスラエル空軍は同日、7日のイスラエル侵入作戦を指揮したイスラム組織ハマスの司令官をドローン攻撃で殺害したと明らかにした。他方、ガザ当局によると、イスラエルの空爆によるガザの死傷者は1万人を超えた。
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