悠山人の新古今

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092 あの契り夢の

2005-10-30 05:45:00 | 新古今集

 「夢」の扱いを全く変えてある。詞書に「人にもの言ひはじめて」、つまりようやく男女の仲になってとあって、男(名はない)の意を受けたものの、顔から火が出るような純粋な気持ちで、歌を詠んだ。これに先立つ才女たちの、ほぼ同旨の二作を紹介する。艶やかな歌の競演。
 1159 夢とても人に語るな知るといへば
     手枕ならぬ枕だにせず     伊勢
 1160 枕だに知らねばいはじ見しままに
     君語るなよ春の夜の夢     和泉式部
【略注】○うたた寝=ここでは、共寝。一夜の契り。
    ○馬内侍(うまのないし)=源時明の娘。「紫式部・清少納言・和泉式部・赤染衛門ら
    とならぶ才女。」(小学版)
【補説】評価。「はかない一夜の逢いを遂げえてのちも、死ぬほどのせつなさにいるのだか
    ら、ふたりの恋をうっかり人に漏らしてくれるな、と訴えたのである。女心の哀歓がに
    じみ出ている。」(同)

 


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