
当たり前の日を重ねているうちに、気がついたら加齢という埃がすっかり、わが身にたまっていた。これほどの高僧にして、やはり老いへの密かな怖れ。
巻十六(雑歌上)は、この 1585 まで。
ひらかなy126:なにげなく すぎるつきひを みおくって
いつのまにやら おいてしまった
ひらかなs1585:おほかたに すぐるつきひを ながめしは
わがみにとしの つもるなりけり
【略注】○おほかたに=(大方に)特別のことではなく、普通のこととして。
○慈覚=壬生(姓)から出家。最澄の弟子で、在世中は円仁(えんにん)。天台座主
(天台宗の最高位僧)。慈覚大師は贈り名。