悠山人の新古今

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063 消えそうで消えない

2005-09-22 03:45:00 | 新古今集

 埋火(うずみび)。僧侶は、平安期までは、自己救済が第一だったはず。無常観が常識とはいっても、高僧がこういう歌を詠む、それを採る。現代ではなかなか理解出来ないけれど、それが新古今集の世界である。こうした背景から、平安末期に台頭した末法思想は、たちまちのうちに衆生救済を唱える鎌倉仏教として、人心を捉えることになる。
【略注】○埋火=古語・現代語とも、読みは「うずみび」。広辞苑に「うもれび」の読みはな
    い。まだ消え切らなくて、灰に埋めた炭火。現代の家庭からは、炭火を使う生活が、
    すっかりなくなり、この言葉も「埋火」状態になっている。
    ○消えは消えなで=消えることについては、消えてしまわないで。
    ○生きて=自分が「生きる」と、炭火を「埋(い)ける」を掛ける。
    ○永縁(ようえん)=藤原から出家。権僧正。興福寺別当。悠山人が参照する三
    全集版とも「ようえん」を第一の読みとする。

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