青山潤三の世界・あや子版

あや子が紹介する、青山潤三氏の世界です。ジオログ「青山潤三ネイチャークラブ」もよろしく

中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-47

2021-03-21 20:18:14 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花


★3月21日の記事に、いいね!をありがとうございます。


読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*毎回(リンドウの項目奇数回)のブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けることにします。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

『屋久島はどこにある?』
が、僕の50年近くに亘るテーマでした。

範囲を広げて、
『沖縄はどこにある?』*

*後年(3年ほど前)、満を持して「現代ビジネス」で10数回を目安に取り組み始めたのですが、途中で打ち切られてしまいました。もとはと言えば、「尖閣諸島」について何か書いてみないか?と言う事だったので、ならば、まず沖縄(琉球)についての概念をきちんと整理することから始めよう。日本列島、中国大陸との関連において。でも、そんな回りくどい思考回路は、メディアにも大衆にも受け入れられないのですね。

そして
『台湾はどこにある?』

これに
『なぜか中国』 
『なぜかアメリカ』
を加えた、「生物地理ライフワーク!5部作」を目指していました。

当初(30~40年ほど前)は、それぞれの地域に均等に労力を割く予定でいたのです。
*ちなみにヨーロッパに関しては、三世から「ジョージア(グルジア)」について何か書いてくれ、と言われたので、「グルジアはヨーロッパの台湾である」というのを送ったのだけれど、それはどうなっているのかな?

5~6年前、モニカの要望で、台湾の記事を本格的に纏めました。
手元にある全高山植物の紹介(一時は本気で取り組んでいたので8割がたの種を撮影している)。
それと(高山植物以外に)、カエデ、キイチゴ、アジサイについての考察(屋久島、奄美大島、あるいは中国大陸、北米大陸との関係)。
チョウ(アゲハチョウ類)と甲虫(ハナムグリ類)。

それらを題材とすることで、全方向性からアジアにおける台湾の位置づけを考えることにしたのです

様々な空間、時間、次元における台湾の位置づけの考察です。

日本語のオリジナルを書き上げてから、まず自分で英語に翻訳し、それをモニカが中国語に翻訳して(たぶん)中国のどこかのメディアに売り込む予定だったのだと思います。

モニカはかなり一生懸命取り組んだみたいです。
ただし悲鳴も上げていた。“カエデ(ウリカエデ節)の説明のところが良く理解できない”と。そりゃそうでしょう。そこんところは日本人が日本語で読んでもさっぱり分からないだろうほど複雑な話なので。パスしても良いのです。

我ながら良く出来た作品に仕上がりました。ただ、それがその後どうなったのか、、、。モニカの努力は凄いのだけれど、いつもそれが結果に結びついていないような、、、。

まあ、人のことは言えんのですが、、、。

想えば、台湾には、相当どっぷりと取り組んでいたのですね。中国に拠点を移し出した最初の頃(1990年前後)は、大陸と台湾を半々の割合で訪れていた(ことにヒグラシの鳴き声録音に力を注いでいた)。

久しく台湾に行っていません。

手元にある写真も、大半がポジフイルム時代のものです。

また台湾に行きたいなぁ~。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

モニカに「台湾」と記した文章を送ると、いちいち「中国台湾省」とかに直してくる(笑)。

で僕は、「世界的には、ほとんどの人は台湾が中国だなんて思ってないんだけど」と、冗談半分に皮肉で返しています。

モニカに限らず、大方の中國人は、ノー天気に「台湾が中国なのは当たり前」と思っています。議論の対象にもならないようです。

一方、台湾の人たちは、、、僕が感じたところでは、半々かな?

大陸の人たちとは違って、そりゃ「熱い」ですよ。

親日の程度、親中の程度、どっちにしろ半端でない。日本に対しては、「頭」によって齎された強い親愛(たまに拒否)感情(ちと過剰妄想部分もあるようですが)。中国に対しては(親中・反中に関わらず)「体」から抜けない根っこでの想い。日本人には(むろん僕にも)、分からんでしょうね。単純に人によって“意見や支持が分かれる”ということではなく、一人の人間の中に複雑な想いが込められているのです。

僕は、人間のことは分からないので、「生物地理」上の視点から、台湾に対峙します。

ということで(何が“ということ”なのかはともかく)「台湾の自然のアイデンティティ」についての話を書こうと思ったのですが、、、、やめときましょう。幾ら時間があっても足りません。

これまでにもした、つまんない話を、幾つか繰り返しておきます。

「見えるか見えないか」

おっぱいじゃないです、陸地です。

これ、人類の成立(ことに移動に関わる)にとって、意外に重要な意味を持っている、と思うんですよね。

富士山の可視限界(確認地)は、紀伊半島大塔山付近だったと思います。直線距離320㎞ほど(以下、数字は凡その目安)。北の福島県阿武隈山地の一角や、南は理論上八丈島からも見えるはずで、300㎞前後ぐらいでしょう。

僕自身が実際に見たのは、南が三宅島から、北が日光女峰山から、それぞれ150㎞ほど。それに北西200㎞ほどの白馬岳から。いずれもかなり明確に見ることが出来ました。

昔、東海道線を東京に向かう夜行列車で早朝豊橋の付近から見えたことも有ります。飛行機からは、紀伊半島上空でチェック。

むろん富士山は抜きんでて高いから遠望可能なのであって、低所から低所の場合は、まるっきり条件は異なるでしょう。

因みに、今、掲載を続けている各種リンドウの主な生育地である中国西南部では、雲南省境に近い四川省西南部の峠上から、(ちょうど各反対方向に) 四川省最高峰のミニャコンカ(約200㎞)と、雲南省最高峰の梅里雪山(約150㎞)を同時に眺めたことがあります。

ミニャコンガは、峨眉山の山頂近くから、朝、びっくりするほど鮮明に望んだことがあります。これが約150㎞。ということは成都からも250㎞ほどなので、見えない距離ではありません。むろん大都市の大気の問題はありますが。

屋久島はどうでしょう? 海の中から屹立しているわけですから、周囲より抜きんでて高いのは同様です。ただし、「海の中から抜きん出た陸塊」ということから、むしろ(様々な気象条件に基づく)マイナスの要素も齎されるようで、雲中に覆われていることが多いのです。

飛行機で近くの上空を通過した時も、フェリーで近くの海上を航行したときも、意外に見えない(雲の塊に隠れている)ことが多い(航空機からは、足摺岬を過ぎて日向灘に向かう辺りから確認したのが最長)。

僕の場合のこれまでの確認は、どこから屋久島が見えるか、ということよりも、屋久島(黒味岳や永田岳の山頂、永田岬、栗生や尾之間の海岸など)からどこが見えるか、、、これは結構いつも注意してチェックしています。

北方、はっきりと確認出来るのは、むろん薩摩半島の開聞岳、その西の野間崎、大隅半島の稲尾岳付近の山群。なぜか、桜島(約130㎞)は見えたことがない。南の悪石島(120㎞)は天候条件さえ整っていれば常に見えるので、桜島も見えても良さそうなのですが。噴煙と隣接する鹿児島市の大気が影響しているのでしょうか?(もしかすると200㎞ほど離れた霧島山群がダイレクトに見えるかも?)

南は、悪石島までは確実、右から口之島、中之島、諏訪瀬島、悪石島と並んで見えるのだけれど、その先の宝島は見たことがありません。距離も遠いのですが標高も低いし、見えないのは当然でしょうね。

因みに、平島、臥蛇島、小臥蛇島も、口之島の手前の岩礁群の平瀬も、明確に確認できます。

岩礁といえば、北方の湯瀬も、永田岬から望むと、黒島と硫黄島・竹島の間に、はっきりと目視出来ます(ちなみに、正面の口永良部島の東岸からは、眼前にびっくりするほど近くに屋久島永田岳が迫ってくる)。

問題は、最短直線距離202㎞に位置する奄美大島が、屋久島から見えるかどうか、ということ。僕は見たことがないのですが、屋久島の地元の人で「見た」という人はいました。可能性は充分あると思います(逆パターン、奄美大島北端の笠利崎で冬の朝に粘ればチャンスはあると思う)。

諏訪瀬島の山上からは、屋久島、奄美大島とも、かなりはっきりと見えます

また、奄美大島名瀬港の正面には、右に宝島、左に横当島が、意外にはっきりと望めます。

宝島(小宝島)‐悪石島間も、もちろん見えるので、屋久島-奄美大島間は、ダイレクトでの可否はともかくとして、島々を順繰りに望みながら辿って行くことが出来ます。

奄美大島-沖縄本島間は、屋久島-奄美大島間と距離はさほど変わらず、島数は少なくて、ずっと大きな島々から成ります。徳之島は奄美大島からはむろん、沖縄本島からも見えると思います(ただし僕自身は、与那覇岳の頂上や伊平屋島から沖永良部島は何度も見ていますが、徳之島は確認していない)。

いずれにしろ、九州から沖縄本島(あるいは久米島)までは、島影を見ながら先に進むことが出来るわけです。

日本最西南端の与那国島から台湾(最短直線距離110㎞弱)も、日によっては目視可能であることが、よく知られています(僕自身は両方向ともまだ確認していない、ただし飛行機の上空からは確認)。

さらに話は飛びます(笑)。台湾の緑島、蘭嶼、フィリッピンのバタン~バブヤン諸島の各島を経てルソン、ミンダナオから先も、(詳細は略しますが)パラワン回りやタラウド回りで、最終的にはオーストラリアやインドシナ半島に(目視進行を繰り返しながら)到達することが出来ます。

九州からは、壱岐、対馬を経て朝鮮半島に、北海道からは、サハリンを経てシベリアに可視進行到達も可能です。ベーリング海を渡って、新大陸にも(目視で)向かえる。世界は繋がっているわけです。

昔、フェリーで石垣島から台湾・基隆に向かった時、与那国島の沖から台湾まで数頭のカツオドリが船にずっとついてきたことがあります。

人間にしろ、鳥や各種動物にしろ、「目的地が見える」ということは、大きな意味を持つと思うのです。

目的地が見えなくても、めくらめっぽう(あてずっぽうの方角に向かって)次の陸地を目指せば、どこかに辿り着くことは出来るでしょう。でも、それ自体は可能ではあっても、360度全ての方角に向けてチャレンジしなくてはならない。目的地が見えていれば、その方角だけに絞れば良い訳です。とんでもなく大きな違いです。

世界の陸地間で、(大洋島を除けば)数少ない(ほかはニュージーランド、マダカスカルなど)可視困難な区間が、沖縄本島(または久米島)と宮古島の間です(この区間は距離だけではなく、海深も他の区間を上回ります)。

沖縄本島の南端(あるいは久米島)から宮古島への直線最短距離は、約240㎞(久米島からは約220㎞)。屋久島-奄美大島間や、奄美大島-沖縄本島間より更に遠く離れていて、しかも両諸島間には上述したように幾つもの島があるのと違って、この区間には一つも島がありません。そして、それぞれの島(沖縄本島の場合は南部)は、高い山のない平坦な島です。順繰り目視が出来ないだけでなく、ダイレクト目視の可能性も、限りなく低いのです。

ちなみに、「宮古-石垣-西表-与那国-台湾」と、「沖縄本島から各島経由で九州」は、それぞれ目視しながらの進行が可能です。ということは、それぞれ(宮古島と沖縄本島や久米島をスタート点として)南西方と北東方に向かって、ぐるりと回れば結び付くことが可能ではあるのですが。

いずれにしろ、沖縄本島(中琉球)‐先島諸島(南琉球)間は、ダイレクトには目視進行で辿り着くことが出来ない、世界でも稀な地域、ということになります。

だからどうこう、という気は毛頭ありませんが、一応そのことを頭に入れていても良いのでは、と思うのです。

中国大陸から台湾(本島)。最短150㎞ほどですね。(臨海部に余り高い山がない逆方向はともかく)、大陸側から台湾(標高4000m近い山並みが連なる)は、確実に望めるでしょう。

夜、上海から飛行機で香港に向かったとき、台湾海峡の上空で、左右の窓から台湾側と大陸側の夜景が同時に目に飛び込んできたことがあります。少し感動しました。

・・・・・・・・・・・・・・・・

台湾の生物地理的位置づけについて。

先に断った通り、(余りに複雑多様な要素を持つので)詳細についての言及は割愛します。

ただ、ひとつ言えることは、「中国大陸とは別の存在である」「しかし切っても切り離せないほどの非常に深い関係にある」。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

小型リンドウの最後は、台湾産の2種で締め括ります。




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中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-46

2021-03-21 08:58:27 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花



Gentiana sp. 小型リンドウの一種㉚ (四川省青城山) 〔Sect. Chondrophylla小龙胆组〕
Gentiana sp. 小型リンドウの一種㉛ (四川省ミニャコンガ) 〔Sect. Chondrophylla小龙胆组〕
Gentiana sp. 小型リンドウの一種㉜ (四川省西嶺雪山) 〔Sect. Chondrophylla小龙胆组〕



四川省都江堰市青城山。標高800m付近。1990.4.8

便宜上、赤花の種をここに纏めた。上記3地域個体群は、たぶん同一種(Gentiana rubicunda深紅竜胆=柔毛系sect.Pubigerae)だと思うが、一応場所ごとに分割配置しておく。

一般論として言うのだが、例えば蝶の場合、意外にモンシロチョウの所持写真が少なかったりする。むろん僕に関してではあるけれど、たぶん他の(蝶が専門の)カメラマンの多くにも当て嵌るのではないだろうか? 写真を始めた頃には、出会った蝶をひたすら一生懸命に撮影しているから、普通種の写真もそれなりにある。でも、しばらく経つと“この種はもうこれだけあれば大丈夫”と、カメラを向けなくなってしまう。

僕にとって、成都西郊山地の、この赤いリンドウもその例に相当するのかも知れない。1988年からの数年間、毎日のように成都の西の青城山に通っていた。そこで最もポピュラーな花のひとつが、この深紅竜胆Gentiana rubicundaである。無論、どっさり撮影した。他にも当時何度か訪れた、大邑原始森林(西嶺雪山)やミニャコンカ山麓(海螺溝)でも、数多く撮影した。しかし、それらは皆ポジフィルムである。手元にデュ―プ機がない(フィルムそのものも劣化している)ことから、デジタル処理での再現が叶わない。

西嶺雪山や海螺溝には、デジタルカメラを使うようになってからも訪れているのだけれど、以前に数多く撮ってあることが無意識のうちに頭をよぎって、ついスルーしてしまっている。その結果、もしかすると中国のリンドウの中で最も多く出会っていそうなのにも拘わらず、写真は(クオリティの低いものを含み)ほとんど残されていないのである。





四川省甘孜藏族自治州ミニャコンカ海螺溝。標高3200m付近。2009.7.4



四川省大邑県西嶺雪山。標高2700m付近。2009.8.6 (以下11枚同じ)
























Gentiana sp. 小型リンドウの一種㉝ (四川省二朗山) 〔Sect. Chondrophylla小龙胆组〕



四川省雅安市天全県二朗山。標高2700m付近。2010.7.26 (以下7枚同じ)

“深紅竜胆”に比べ、明らかに大きく、イメージもかなり異なる(色もやや淡い)ので、別の種と考えて置く。













撮影場所は、現在はトンネルが貫通する、二朗山の峠上に至る(国道318号線)旧道入口を流れる渓流の脇。



四川省雅安市天全県二朗山。標高2700m付近。2010.8.10
上掲6枚と同じ個体(半月後の撮影)。*設定失敗で色がうまく出ていない。

Gentiana sp. 小型リンドウの一種㉞ (四川省雪宝頂) 〔Sect. Chondrophylla小龙胆组〕







四川省阿坝藏族羌族自治州雪宝頂(松潘~黄龍間)。標高4000m付近。2005.7.4

「中国植物志」によると、Gentiana spathurifolia匙叶龙胆(基準変種)に相当するようである(小竜胆系)。ただし中国語版に添付されている「中国植物図像庫」には、変種「紫紅花龙胆」は数多く出てくるが、基準変種の写真は収容されていない。もっとも、なぜか英語版から入ると基準変種の写真も「中国植物図像庫」に収納されている。

因みに、第40回で紹介した、塔公の「モモイロヒメリンドウ」が、この変種「紫紅花龙胆」に相当する。「中国植物図像庫」収納の写真は全て「ミニャコンカ西側」となっていて、塔公からさほど離れていない。

また、基準変種の「中国植物図像庫」収録写真の地名は「松藩県」となっていて、ここに紹介した「雪宝頂」の峠と、おそらく同一場所と思われる。



薄紫:青城山/緑色:西嶺雪山/青色:ミニャコンガ/黄緑:二朗山/赤色:雪宝頂





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中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-45

2021-03-20 20:24:23 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花



読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*毎回(リンドウの項目奇数回)のブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けることにします。

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昨日アップした、第44回の写真についての付記。

リンドウの紹介なので、他の(写真に写り込んでいる)花にはごく簡単にしか触れていないのですが、(種29の)ラスト2枚に大きく写り込んでいるピンクの花については、少し述べておいた方がよさそうですね。

シオガマギク属(ハマウツボ科)の「谬氏马先蒿Pedicularis mussotii(var.lophocentra)」、僕は“サカサマシオガマ”と呼んでいます。花冠の各花被弁の位置が、本来の位置関係と大きく異なっている(ほぼ逆に転回)という、不思議な植物の一つです。

なお、第44回で紹介した四川省高標高地産のリンドウ4地域集団は、ロゼット葉は(たぶん)生じず、茎は(たぶん)叢生し、茎葉は開出するが萼裂片は開出せず、花は(小竜胆組としては)中型、花冠の副片が本花被片とほぼ同じ大きさで、先端に糸状付属片を伴わず、花糸は細く短く、雄蕊は待機型、といった共通の特徴を示し、互いにさほど遠くない類縁関係にあると考えられます。

ただし、巴朗山の種29に関しては、花筒の模様が萼片を模す(一見、萼筒が二重なっているように見える)こと、蕾時が黒に近い濃紺色であること、葯が鮮紅色である事などから、他3地域集団とは、かなり隔たった関係に置かれるのではないかと思われます。

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ここ2~3日、仕事を見つけようと、電話したり移動したりしてて、結局門前払いで疲れ果ててしまっただけです(電話代と電車賃がなくなった)。

じたばたするとお金がなくなる。でもじたばたしないとお金が出来ない。無限地獄です。

よって、今日は動きません。ずっとイオンのWi-Fiコーナー(「イートインコーナー」というところだそうです)にいることにします(ここのところ電波が通じます)。コーヒー102円。しかし、相当に恐ろしい場所で、、、。何が恐ろしいのかというと、いろいろとあって*、なんと説明して良いのか、それを集めて一冊の「怪談話」みたいな本が書けそうです。ここに数時間いるためには、よほどの強靭な精神がないと無理だと思います(逆にあらゆる現象に反応しないという人もO.K.かも知れない)。

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モニカからは「ミャンマーに深入りすると危ないので気を付けろ」と言ってきました。

三世からも、さっきメール(言い訳)が来た(またジョージの家族?と喧嘩してるみたい)。





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中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-44

2021-03-20 12:49:48 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花



Gentiana sp. 小型リンドウの一種㉖ (四川省巴塘-理塘) 〔Sect. Chondrophylla小龙胆组〕



四川省甘孜藏族自治州巴塘県~理塘県。標高4500m付近。2010.6.10(以下同じ)

今回は、四川省の高山草原に生育する、4つの種を取り上げた。

この「リンドウシリーズ」を始めたとき、(何度も言うように「分類群の特定はしない」という前提の上で)仮に種の同定を行うとしたら、真っ先に判明するのが今回紹介する4地域集団だろう、と漠然と思っていた。

ところが、この4つの帰属が、全く見当つかないでいる。鮮やかな色調、「小型リンドウ」としては大きめの花、、、油断していた。葉や茎のチェックを、きちんと行うことを怠っていたのである。

ということで、今回こそは、分類群を特定することも、その候補を挙げることも、一切なし。写真だけを紹介していくことにする。







黄色はキンポウゲ科リュウキンカ属。



なにしろ、この一帯の中心都市・理塘の標高が4000mを越えているわけである。そこからチベットとの省境の町・巴塘に向けて、真っ平な道を50㎞ほど走る。車はほとんど通らないので時速は100㎞近く、峠まで一時間もかかからない。峠の標高は約4700m。まっ平な道だと思っていたのだけれど、いつの間にか700m近い標高差を登っているのである。左手に見える山は格業 6204m、結構な高峰だが、麓との比高が小さいので、さほど高くは感じない。

Gentiana sp. 小型リンドウの一種㉗ (四川省理塘-雅江) 〔Sect. Chondrophylla小龙胆组〕



四川省甘孜藏族自治州理塘県-雅江県。標高4700m付近。2010.5.23(以下同じ)

峠頂の草原。黄色いキンポウゲ科の花(Oxygraphis glacialis)の群落中に、リンドウがポツリポツリと咲いていた。









下写真はサクラソウの一種。リンドウと同じような雰囲気。



ガラスの破片のようなものは、人工物ではない?











理塘の町の、西・南・東の隣県との境界は、いずれも標高4700m前後の高原状の峠である。一応「山」と名は付いているが、ほとんど真っ平な草原。しかし、東側の隣町・雅江は、そこから2000m近くの標高差を一気に下った長江(支流・雅砦江)沿いにある。峠から下り始めた時、正面の白い雲の塊の下に、ミニャコンガ7556mが姿を現した。

Gentiana sp. 小型リンドウの一種㉘ (四川省夹金山) 〔Sect. Chondrophylla小龙胆组〕



四川省阿坝藏族羌族自治州小金县~雅安市宝興県四姑娘夹金山。標高4200m付近。2010.7.19(以下同じ)
フウロソウ(紅と淡ピンク)、シオガマギク(紅)、キンポウゲ(黄)、ナデシコ(白)、リンドウ(青)。





黄はタンポポ属。





白はユキノシタ属。








Gentiana sp. 小型リンドウの一種㉙ (四川省巴朗山) 〔Sect. Chondrophylla小龙胆组〕



四川省阿坝藏族羌族自治州小金县四姑娘巴朗山。標高4700m付近。2010.7.31(以下同じ)

シオガマギク属(紅)、ゲンゲ属(赤紫)。



黄はタンポポ属とユキノシタ属。



このような四角い特殊岩石からなる地質。













下写真は上写真の8分後。雲が陰ると、一気に花を閉じる(同じ色のムラサキ科の小さな花は開いたまま)。

以上4種、たぶん本気で調べれば分かるのだろうけれど、しんどいので止める。



桃色:巴塘‐理塘/青色:理塘-雅江/緑色:来金山/紫色:巴朗山






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中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-43

2021-03-19 20:34:53 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花


★3月18日の記事に、いいね!その他ありがとうございます。
青山は、いいね!その他に関して、色々意見を言っていますが、贅沢すぎです。感謝して、ありがとうございます。(あやこ)


読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*毎回(リンドウの項目奇数回)のブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けることにします。

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照ノ富士、再大関まであと4勝。湘南桜、自己連敗記録(89)まであと3敗。2人とも応援しているので、頑張ってください。*3月18日時点

昨日は、病院(東青梅の小林医院のほう)と市役所に行きました。

市民は市民としての義務を果たさねばなりません。しかし受けて然るべき権利は、完全にスルーされてしまいます。具体的には後でまたします。

市役所の隣(ハローワークとの間)がプロテスタントの教会です。そこに昨年秋以来、毎日曜礼、欠かさず礼拝に行っています。

去年の10月ごろだったかな、一週間ほど、首からプラカードを下げ、街角に丸一日たち続けて(警察の許可も貰って)、自分のCDを販売した。累計100時間近くで、売れたのは1枚だけ(2000円)です。自主製作の40作品と、原版写真500枚収納した、“お得版”なのですが、、、。以前(20年近く前)、「ヨドバシカメラ」の書籍コーナーで販売していた僕の(正直ごくつまらない内容の、価値からすれば上記自主製作VDVの1万分の1もないだろう)「日本の高山植物」のDVDは(貰った印税から逆算すれば)結構(少なくても数全部)売れたのだと思います。なんでなのでしょう(もちろん一方は小学館系列の企業からなので、どだい個人販売とは比較できないとしても)。

それが行き詰ってしまい(電車賃とポスターコピー代で数1000円かかった)食べるものもなくなって、せめて乾パンでも分け与えて貰いたいと、市役所や警察署を訪れたのだけれど、完全スルー。

市役所の隣の教会に、恵みを請いました。カレーライスを御馳走してくれた。「一宿一飯の恩義」ということで、その後毎日曜日、一度も欠かさずに礼拝に行っています。

僕は宗教には全く無関心だし、正直のところ牧師さんや信者の方々(ほぼ全員裕福そうなお婆さん)との交流も余りしたくはないのですが、単純に上記「一宿一飯の恩義」と、40年前の最初の彼女がクリスチャンであったこと、クリスマスソングが好きだということ、、、そんなところが理由と言えば理由です。

それに、クリスチャンは世界中にいるわけで、一体、彼らがなぜそのような信仰心を有しているのか、身をもって受け止めようと考えた(考えた、というほどでもないですが)のだと思います。毎日曜日の昼前、ただひたすら牧師さんの説教を聞き、讃美歌(声を出しちゃいけないそう)を暗唱しています。何で律儀に毎週、と自ら呆れてもいるのだけれど、近所でもあることだし、まあ意地みたいなものですかね。「虎児を得らずんば虎穴に入れ」とか、に通じるかも知れない(ちょっと不謹慎ですが)。聖書を読む機会など滅多にないことだし、一応最後まできちんと読んで、それから批判するなりすればいい事です。ということで、ただ聖書を朗読し、口パクで讃美歌を歌い、牧師さんの説教を聞き、一切会話を交わさず、引き上げます。

苦痛は、最後の感謝献金タイム。おばあちゃんたちは、多くて万、通常1000円らしい。1000円といえども、僕にとっては、途方もない大金です。なにしろ1円単位で計算しながらの生活ですから。それで毎回多い時(生保金を得た直後)は、100円、少ない時は1円単位の寄付をしています。毎翌週最後に報告があり、先週の献金は、10万3円。とか発表される。むろん3円が僕であることは皆分かっている。どれだけ肩身の狭いか。礼拝を終えると、無言で真っ先に教会を出ます。

生活保護金は、ここのところ6万2000円前後(正直に収入や支出を報告しているので、その分引かれている、たまにもっと引かれる月もあります)。HDD修復費用の支払いが月3万円ですから、実質的な受け取りは、月2万5000円ほど。

昨日は、昨年の収入分を報告してください、という通達が来ていたので、2つの出版社からの印税12万円余(香港からの22万円は支払い書類が届いていないため示しようがない)の源泉徴取用紙を持って行きました。その分が差し引かれる。きちんと報告を行うのは市民としての義務です。

義務は果たさねばなりません。しかし権利は受けることが出来ないのですね。生保の家賃分は実際の支払い分より月3000円ほど少ないし、更新料も出ません。それで滞納分が生じ、常に立ち退きを迫られているという状況に置かれ続けることが、一番辛い事なのです。

そのプレッシャーから守って貰おうと、一昨年弁護士を付けました。最初は国から「法テラス」での援助を受けることが出来るという話だったので、その前提で手続きを進めました。でも、手続きがほぼ完了した時点で、「法テラス」適用は取り消し。結局スタートはしたのだけれど、弁護士に毎月1万1000円を支払わなくてはならないことになり、半年ほどでやめてしまいました。

昨年末に、年金事務所から、「4月より年金が4000円弱増える」という案内が来ました。月4000円は僕にとって大金です。「受け取る意思があるなら署名をして返信するように」「2月までに返信がないと今年度の追加金は消滅」「返信があれば追って具体的な手順について書類を送る」とのことでした。

偽の案内の恐れもあったので、市役所に電話相談しました。「それは本物です、すぐに返信するように、手続きを終え次第、役所に届け出てください、その中からの一部?を生保金から差し引きます)。

一部(まさか全額ではないでしょうが)減額は不満ではあったのだけれど、すぐに(正月明け)、必要事項を全てきちんと記入して、返信しました。

ただ一か所だけ、「携帯電話番号必須」という項目があったのですが、持っていないので書きようがありません。それで、ギリシャの三世の携帯番号と、中国のモニカの携帯番号、および僕のメールアドレスを書き記し、もし他に問題があれば市役所に問い合わせてください、と付記しておきました。

それっきり、うんともすんとも言ってこない。

役場で、その顛末を話しました。「管轄外なので知らん」の一点張りです。

*今さっき、年金事務所に電話をしました。小一時間ぐらいかかって、結局分からずじまい。ただ「偽の案内」ではないようで、、、月曜日に改めて問い合わせる(電話代がかかるので、市内とはいえ300円以上なくなった、歩いて直接年金事務所に行く)ことになっています。

役場や教会の近くには「ハローワーク」もあります。これが「上から目線」で、どうしようもない。情報元は、あや子さんが調べて送ってくださったものと、たぶん同じ。

まず、携帯電話を所有していない人間は受けつけられない、から始まります。そのことで(他の日本国内におけるどんな関係の手続きもそうですが)ひと悶着が起こる。最終的には、特例として受け付けて貰うことになります。該当依頼があったら、すぐにはがきで知らせてくれる。急を要する時は編集者(U氏)宛に電話、メールで転送して貰う。

もとより、該当する(僕が行うことが可能な、というよりも優先的に僕に回してくれることの出来る)仕事は、滅多に来ない(夜間と背骨の負担を避けた場合は特に)。

そのような依頼は、女性優先、あるいは以前勤めを持っていた人、必須は、携帯電話(クレジットカード)、そしていつも最後にダメ押しで、保証人。

それでも、やっと一つ「可能性がある」というのを見つけてくれました。チラシ配り(郵便受けに個別投函)です。一枚一円で、3000件ぐらい可能ゆえ、一日頑張れば日当3000円程度にはなる、と。ただし、依頼自体が少ないうえ競争率は高いそうで、あなたに依頼できるようなパターンは一年に何度あるかは分からないけれど、有れば連絡する、ということで、懇願しておきました。それが去年の夏です。一向に(何度か催促したのだけれど)貰える気配がない(ちなみに、警備の仕事は、全て保証人の問題で引っかかります)。

「シルバー人材」とか「シニア」とかいうのは、一般の家庭を持った、或いは(これまでの仕事を)リタイアした人たちのことです。僕のような身分の人間は範疇外で、カウントされていないのですね。

ここ暫くは、東青梅~福生間の、幾つかの飲食店など(「マクド」「スタバ」「西友」ほか)で、「アルバイト募集」の貼り紙を頼りに、アプローチをかけています。

普段は、スタバとかマクドとかイオンとかに居座って(時には外の道路でWi-Fi電波を拾って)インターネットで、終日作業しているわけです。膨大な(論文などの)調べものをしたり、写真や資料の整理をしたり、作品の作成準備をしたり、それに加えて、(あや子さんに対しては失礼な表現になってしまうけれど)客観的に考えれば何の意味も為さないのかも知れない「ブログ」などに時間を割いている。

その時間を(たとえ同じ作業をするとしても)「自分の仕事」(コーヒー代319円がなくなる)ではなくて「雇われた仕事」に使ったなら、時給1000円が貰えるわけです。羨ましい限りです。

スタバの店内にも貼り紙がありました(今もある)。
「シルバー人材募集、一緒に働きましょう!」
この数か月、何度もアプローチをかけているのですが、笑ってスルーされるだけで、話を切り出すこと自体、応じて貰えません。「今忙しいので、後でまた」みたいな感じで、体よくあしらわれてしまいます。そのほかの話題だと気持ちよく談笑して貰えるのですが。

スタバに限らず、「求人案内」は、どこも同じです。唯一頼りにしていたマクドナルドにも、その後(雇って欲しい、ただし昼間の仕事で重いものを持たない、という条件を伝えてから)一切無視されています。

西友ストアや近くのコンビニでも(スタッフは親切なのですが)、仕事の話を切り出すと、口を閉ざされてしまいます。

僕に「仕事」(いわゆる単純作業を含む)が、出来ないわけがないはずなのですが。いろんな意味で「(民主主義下の人間社会に生きる)人間としての条件を満たしていない」のだと思われます。まあ、社会の構造上、無視・排除されても仕方がないのでしょうけれど。

三世はじめ、いろんな人たちから言われます。
「青山さんはお金に関わってはいけない」
「仙人のように霞を食って生きるべきだ」
そう言われても(笑)、、、僕は仙人じゃないです。

僕の頼みは誰も聞いてくれません。モニカと三世(極めて気紛れで、ここ10日間ほど連絡とれない)とあや子さん(よくこの支離滅裂なブログの管理を続けてくれているものと、心から感謝&感心しています)以外は。

僕は、全ての方の頼みを受け入れています。

例えば、三世からの頼み事も(ジョージ絡みも含め)、全部こなしていますよ(役場に相談したけれど完全無視された)。

先日は、植物園から、(インターネットのメールで)写真と情報提供の依頼があり、それに応えたところ、非常に感謝されて、厚くお礼を述べられました。しかし規約上、金銭の報酬は発生しないのだそうです。

中国雲南の民族音楽家(上海芸術家村で一緒だった人)からも、日本公演に向けて、いろいろと手伝ってほしいと連絡があり、むろん、快諾しました。しかしこちらも、金銭的報酬は発生しないみたいです。

(社会に於ける)人間としての存在が認めてられないのだと思います。

ブログについて。

スタートして、14年目になるのですね。スタート時、僕はあや子さんに、「読者は僕のスタイル(感性や価値観)には馴染まない」(直観的にそう思った)旨の、危惧を伝えました。あやこさんは「それは杞憂、直接の営業には繋がらなくても、根気よく続けていれば、将来成果を齎すはず」と。

15年近く続けてきたのですが、結局「杞憂」ではなかったような気がします。

三世も、一昨年同じようなブログを作ろうとしました(作った、今もある)。お金に結びつく(仙人になるのが嫌ならやろう!)、と。フェイスブック、インスタグラム、ツイッター、ノート、TV電話のオンライン、、、とか、次から次に作った。僕が、そんなのは無理、と言っても、三世は、いや、うまくいくからやる、と始めてしまう。

やるなら本気でやろうと腰を上げたところで、三世のほうは途中で飽きてしまって?ほったらかし。本気になっても、受け皿がなければどうしようもないです(三世にも事情があることは分かるんですが)。

ヨドバシカメラのスタッフのM君にも、いろいろと感謝しています。「ピクスタ」という写真原版販売の登録手続きも、彼に手伝って貰って、審査に通りそうな(購買需要のありそうな)数十枚の原版写真を選んで送り、無事全て審査に通って、販売の市場に出ました。

ところが、半年以上も経ったのに、一枚も反応がない。その代わり、「ピクスタ」からの広告や会合参加案内のメール
ばかりがどっさり来る(それに応じねば売って貰うことが出来ないのでしょうか?)。

クオリティとか、需要とかとは、なんか別の要因が、「仕事に結びつける」ために必要なのかも知れません(その「空気」の中に入らない限り、たとえ何千・何万枚登録しても、「仕事には結びつかない」のでしょう)。

あや子さんには、いろいろと愚痴ばかり言っています。ブログをこれだけ長い間やってきたのに、10年間余(ほとんど)一度も、コメントや、「いいね」とか、「応援」とか貰えない。他の人のブログを見ると、少ない人でも200とか300とか貰っている。僕は常にゼロです。100欲しいとは望まないけれど、せめて5つとか10とかあっても良いのではないでしょうか? でも10年間ゼロ。幾らなんでも凹んでしまいます。

あや子さん曰く、「“いいね”を貰う為には、それに向けての(いわば政治的な)努力をしなければならない」。

まあ、「いいね」などは、どうでも良いのですが、営業に結びつけるためには、まずは見て貰わねばなりません。

ということでなのかどうか、「ブログ村」というのに登録して頂いたのです。登録カテゴリーは、自然科学。

あや子さん曰く、(そろそろ春だし)他のブログをチェックしたら、「花」「中国」のカテゴリーが人気のようだ、青山さんもそれで行けば、沢山の読者が付くかも知れない。

今までの経験上、たとえ「花」のカテゴリーで行っても、僕のブログでは(人気を得ることは)無理だと思います。

でも、僕はすぐに人の意見に従っちゃいます。

「コロナ」はともかく、「香港デモ」や「阪神」や「貴ノ花」や「アメリカン・ポップス」ばっかしでは、誰も興味を示してくれない。

それで、その翌日から、(たまたま見つけた写真をきっかけに)リンドウの話題を始めて、今に至っているわけです。

「にほんブログ村」に登録してから、「いいね」や「応援」が、2~3回に一つくらい付くようになりました。まあ、ゼロに近いのには変わりないですが、ゼロよりはいいでしょう。

あや子さんは、ブログの冒頭に、毎回一回一回、「いいね」をくださった方に向けて、お礼の言葉を入れてくれている
のです。「いいね」の方にも、あや子さんにも、感謝せねばなりません。

それで、どんな方が「いいね」や「応援」を押してくださっているのか、あや子さんに調べて貰いました。

まあ、いろんな人ですね。それだけでも嬉しい、、、、、のですが、それらの方々のブログには、やっぱり皆200や300の「いいね」や「応援」が付いているわけで、、、。

一つの「いいね」で喜んでいて良いのだろうか?と、やっぱり落ち込んでしまうのです(営業に繋がらないなら「いいね」の数などはどうでもいいのですが、でもそう言う事でもないような気がします)。

僕がこんなことを書くと、せっかくのあや子さんや「いいね」をくださった方々の親切を傷つけてしまうことになるので、一人でも感謝べきでしょうね。

でも、やっぱり理不尽だとの思いはあります。

例えば、、、ある記事を自分のブログで書いた時は、反応は常にゼロ(最近は1~2)。

全く同じ記事を、「現代ビジネス」で書けば、万単位の閲覧があり、数100のコメントが成される(全体からみれば少数としてもエールはそれなりに沢山来る)。

本だって、出版社から刊行すれば1万部(少なくても数千部)売れるのに、自分で自主作成したものは(通販依頼やインターネットほか様々なアプローチをとっても)一冊も売れない。

*以前のブログでアップした中国の植物関係の記事は、どうやら見ている人は見ているようなのです。「読者の方は自主的にカンパして欲しい」と常に注記しているわけですが、ある自然科学分野学会の通信欄に、こんなコメントが載っているのを見つけました。
「(この「青山潤三の世界・あや子版」には)非常に興味深いことが数多く書かれているので、皆チェックしておくべきである、ただし著者の要求には一切応じないこと」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

因みに、昨日は、市役所と、東青梅のK医院に行きました(月に一度の薬を貰う日)。

ここのところ、尋常じゃないほど疲れがひどく、体の各部が猛烈に痛み、かつ(午後になると)ほとんど意識朦朧の状況が続いています。

80歳過ぎのK先生は(福生の女医のF先生同様に)とてもいい方で、いつも本当に感謝しています。でも、辛さを真剣に訴えても、冗談としか受け取って貰えません。

“凄く元気そうじゃないか?(頭部の空洞と背骨が曲がっていること以外には)検査結果には何処にも異常がないし、完璧に健康!”と。

いろんな意味で、本当に辛いです。




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中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-42

2021-03-18 20:43:33 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花




リンドウ属は、(今回を含めて)あと18種、やっと数を示せるところまできた。そのあと、ツルリンドウ属、オオツルリンドウ属、シロウマリンドウ属、ハナイカリ属、サンプクリンドウ属、ヒメセンブリ属、センブリ属、、、、。半分以上は来たと思う。もうひと頑張りだ。

このリンドウの続きものの記事は「分類群の同定はしない」という原則で始めた。必ずしも「手抜き」ということではない。(もちろんそれもあるけれど、笑)「やらない」ことに対する積極的な意図を持ってのことである。

しかるに、いつの間にか、意思に反してその(分類群特定の)作業に取り組み始めてしまった。でも、あくまで「ついでに」ぐらいの気持ちで始めたことなので、その旨認識を頂きたい。

今回は、四川省産のうち、おそらくコケリンドウの仲間(卵萼系Ser.orbiculatae)と思われるものを3種、および、それ以外のグループであることは確かだが、外観的にこれと言った特徴がなく、帰属の見当が付かないものを2種、計5種を取り上げる。

ちなみに(忘れないうちに)追記しておく。以前「帰属不明」としていた撮影個体のうちの幾つかの種名が(他を調べている間にたまたま)判明した。第28回で取り上げた「ガクツツリンドウ類」2?種が、コケリンドウ系「卵萼系Ser.orbiculatae」に属することは既に報告済みだと思うが、同じ第28回で紹介した「ナガツツリンドウ」(ヒメアカタテハが吸蜜しているモニカ撮影の個体)は、Gentiana haynaldii钻叶龙胆(ハルカゼリンドウと同じ 线叶系Ser. Linearifoliae)であることが分かった。その一つ前の「サジバリンドウ」に該当する種はまだ見つけられないでいるが、特徴ある大きなロゼット葉を持っているので、そのうち見つかると思う。

やはり所属series未特定の第36回の「ウンナンサファイアリンドウ」や、(便宜上)第29回のフデリンドウのところで紹介した数種、および今回の後半で取り上げる2種などは、見かけ上の印象が「一般的なハルリンドウ~フデリンドウ」を思わせることから、かえって分からないでいる。分かり次第、追記していく。

Gentiana sp. 小型リンドウの一種㉑ (四川省四姑娘山) 〔Sect. Chondrophylla小龙胆组〕




四川省阿坝藏族羌族自治州小金县四姑娘山長坪溝。標高3300m付近。2006.9.18
雌蕊の子房柱頭がザラザラで特徴的。萼裂片が反り返り、「中国植物図像庫」に示されているコケリンドウ系の「Gentiana crassuloides 肾叶龙胆」と一致する。

Gentiana sp. 小型リンドウの一種㉒ (四川省雪宝頂) 〔Sect. Chondrophylla小龙胆组〕


四川省阿坝藏族羌族自治州雪宝頂(松潘~黄龍間の峠)。標高4200m付近。1995.8.5

非常に小さな花(花冠直径5㎜以下、ポジフィルムでの撮影のため比較スケールを示した写真を紹介出来ない)。写真には茎葉や萼裂片は示されていないが、コケリンドウの一群ではないかと思われる。

Gentiana sp. 小型リンドウの一種㉓ (四川省ミニャコンカ) 〔Sect. Chondrophylla小龙胆组〕












四川省甘孜藏族自治州ミニャコンカ海螺溝。標高3500m付近。2009.7.4

海螺溝氷河の下部で撮影。これも非常に小さな種で、花冠直径は3~4㎜ほど。写真上3枚と下3枚は、指を近づけてから一分以内に撮影したものである。天候が変わる場合同様に(それについては次回紹介)、非常に素早く反応する(花を閉じる)。





ミニャコンカ7556mは、四川省最高峰で、かつ世界最東端の7000m峰。上の写真撮影時(1989.5.3)には、外国人の入山は制限されていて、観光客の数も少なかったが、現在(写真は2009.7.4)は氷河上にリフトがかかる一大観光地と化している。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Gentiana sp. 小型リンドウの一種㉔ (四川省雅江) 〔Sect. Chondrophylla小龙胆组〕






四川省甘孜藏族自治州雅江県東方。標高3500m付近。2010.6.6

雅砦江沿いの雅江の町から康定側に向かって流れる支流が康定県との分水峠に突き上げる直前の、斜面の林と渓流の間に(崩壊と氾濫の繰り返しで)形成された天然草原。このような「攪乱地」は、「人里植生」のモデルとして想定し得ると思われる。それで、メンバー構成を成す植物で、花が咲いている個体を片っ端から撮影した。「海の向こうの兄妹たち(下巻)」で、その100種余を紹介している。

うちリンドウは2種(ほかの一種は後述するシロウマリンドウ属)。とりあえず属単位で同定できれば良いとの想いで大急ぎで撮影したため、この写真での葉や茎の細部チェックは難しい。茎は分岐、花冠は平開、そのほかの形質についてはよく分からない(ごく一般的な「小型リンドウ」に見え、これまでに紹介してきた雲南省産の分類群の何れかに対応するのかも知れない)。

Gentiana sp. 小型リンドウの一種㉕ (四川省西嶺雪山) 〔Sect. Chondrophylla小龙胆组〕












四川省大邑県西嶺雪山支脈尾根。標高3200m付近。2009.8.6

日本産の「小型リンドウ」は、ハルリンドウ、フデリンドウ、コケリンドウ、及び高山植物のミヤマリンドウである。ハルリンドウが「小龙胆系Ser.Humiles」、フデリンドウが「帚枝系Ser. Fastigiatae」、コケリンドウとミヤマリンドウが「卵萼系Ser.orbiculatae」(日本固有種?のミヤマリンドウは「長白山竜胆Gentiana jamesii」のシノニムとされているようである)。

いずれも(日本では)比較的ポピュラーな植物だが、(日本産の小型リンドウには)もう一つヒナリンドウ水生
龙胆Gentiana aguatica(ハルリンドウと同じ「小龙胆系Ser.Humiles」に所属)がある。日本では超希少種だ。変
種コヒナリンドウを含め、八ヶ岳、南アルプス中部、日光女峰山、および(比較的近年になって発見された)加
賀白山が、その生育地(標高2400~2800m辺り)。僕は上記4つの場所で探索を行ったが、見つけることは出
来なかった。

実は、中国大陸では、上記した日本でポピュラーな各種のほうがむしろ珍しく、日本では超希少種のこちら(近縁種を含む)のほうが主流を成しているようなのである。そのことは、多くの生物に当て嵌まる共通現象と言える。

この西嶺雪山の稜線に数多く生えている未同定種(プライベート・ネームを「アオゾラリンドウ」と呼んでおく)も、ヒナリンドウの近縁種である可能性が高い。



青色:雪宝頂/紫色:西嶺雪山/黄色:ミニャコンカ/空色:雅江






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中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-41

2021-03-18 14:51:04 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花


★3月17日の記事に、いいね!その他ありがとうございます。


読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*毎回(リンドウの項目奇数回)のブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けることにします。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

スーパー・マーケットの隅っこなどでWi-Fi拾い、インターネットの資料を調べたり、メールを送ったりしているわけですが、、、、。

『(マスクとワクチンを頼りに)新しい生活スタイルをめざして、皆で頑張りましょう!』
、、、みたいな場内放送が流れています。

「おもいやり」(集団的自己保身)と「科学文明」に則った、、、「新しい生活体系」の構築ですね。

あほらしくて、泣きそうになってきます

例えば、、、、ペットや園芸植物の存在。僕は否定はしません。それもありだと思います。しかし、肯定のみに終えるのも良くないことです。角度を変えて見れば、この上もなく残虐で、(個人や人類の)身勝手さの現れであるということも、また事実ですから。

常に同時に相反する事柄に対応しなければなりません。俯瞰的に、というのは、そう言う事であって、「コロナ」も「マスク」も、ある空気の次元においてのみ成り立っている現象です。別の大きな空気の次元から見れば、幻想あるいは洗脳の結果でしかありません。

我々が目指すのは、「(「マスク」や「ワクチン」に頼った)新しい生活」ではなく、“人類”としての、根源を今一度遡ってみること、ではないかと思うのです。

・・・・・・・・・・

少し前、中国武漢よりも先にヨーロッパかどこかで既に「コロナ」が発生してた、って記事ありましたね。
でも、その話題は、どこかに消えちゃったみたいです。

もとより、旧型コロナは昔からずっとあったし、新型の新型(異変株とか)も今後どんどんやってきます。
そんな当たり前の話が、皆なぜ分からないのだろう、、、。

頭が良いから分からないのか、頭が良いから分かりたくないのか。

そのほかにも消えてしまった注目記事。
➀「市販の緑茶にコロナ99%退治する成分」
②「そこいら中にウイルスうじゃうじゃいる(マスクしてたってほとんど意味ない)という指摘」

圧倒的に多く感染するのは若者です。昔も今もこれからも。
しかし若者はほとんど発症しない。
そして老人にうつす。
老人の死因(もとより若者より早く死ぬ)に手を貸す。
それだけです。
昔からの、自然の摂理です。

陰謀論と、取られてもいいんだけれど、「コロナ」騒動は、どうやら間違いなく、「香港デモの続き」(武漢ターゲットにして正義平和自由=取得権をアピール)ですね。「正義は勝つ」と。思ったよりも遥かに大ごとになったしまったわけですが。

言っとくけれど、中国の肩を持つわけじゃないです。中国が酷い国だってことは、誰よりもよく知ってるつもりです。でも、それとこれとは、話が別。

さっき、モニカにメール送りました(2人ともそれぞれミャンマーと関りがあるので)。僕は知能が低いので、こんなシンプルな事だけ想っています。

I am deeply saddened by the situation in Myanmar.
Justice is not one.
Even if they have different sensibilities and sense of values, I hope everyone to get along。。。

結局、日本という国は、
「趣味のルール」
「健康マニア」
とかの人々で成り立った、
(世界が羨む)美しい正義の国、という事なんでしょうね。

科学でウイルス退治する事なんて出来ません。出来ないことはないのでしょうが、その時は人間は人間ではなくなってしまっている。

・・・・・・・・・・・・・

付記

新しいネット情報。福井県議の人が「ワクチン接種は危険、陰謀である」という情報を発信しましたね。それについての僕の見解は、全く別に置いておくことにして。ネット民の反応は「一国の責任ある人間の非科学的な発言による扇動は許されないことである」という見解に収斂されているようです。では、「ワクチン」が「コロナ」から人類を救う、という“科学的な”方向性が、本当に「唯一の正しい選択肢」なのか? それもまた、ある意味“扇動(&洗脳)”ではないのか? と考えたことはないのでしょうか?





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中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-40

2021-03-17 20:44:47 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花


★3月16日の記事に、いいね!その他ありがとうございました。

Gentiana sp. 小型リンドウの一種⑱ [続] (四川省康定県~道孚県県境) 〔Sect. Chondrophylla小龙胆组〕







四川省甘孜藏族自治州康定県‐道孚県県境(塔公北方)alt.4100m付近 2009.7.24 (以下全て同じ)

おそらく、前回紹介した青花種と同じ、弯叶龙胆 Gentiana curviphylla=プライベート・ネーム「ベニヤクアオヒメリンドウ/紅葯青姫竜胆」)。

この2枚の写真を見る限りに於いては、前回に記した「雄蕊の葯と昆虫たちの関係」は、単なる偶然だったのかも知れない。ミヤマシロチョウ属の一種Aporia martineti、甲虫の一種(このあと花に辿り着いている)の来訪時とも、雄蕊の葯は紅色のまま残されている。ということは、前回(第38回/39回)の僕の「推察」は当たっていなかったことになる。まあ、不思議は不思議のまま残されていた方が良い。

Gentiana sp. 小型リンドウの一種⑲ (四川省康定県~道孚県県境) 〔Sect. Chondrophylla小龙胆组〕
Gentiana sp. 小型リンドウの一種⑳ (四川省康定県~道孚県県境) 〔Sect. Chondrophylla小龙胆组〕




今回の観察地の、康定県塔公(欧米人に人気のチベット集落の一つ)と道孚県八美との境の峠上草原では、前種(ベニヤクアオヒメリンドウ)を含め三種の小型リンドウを撮影した。

両種とも、萼片や茎葉の特徴から考察するに(コケリンドウと同一seriesに含まれる前種とは違って)少なく
ともコケリンドウの仲間(卵萼系Ser.Orbiclatae*)ではないが、前種と同じ場所での撮影ということで、ここで
紹介しておく(*注:第38回の冒頭部分の記述で『青=流苏系Ser. Fimbriatae/白=卵萼系Ser.Orbiclatae』
としたのは単純誤記、その逆が正しい)。

白花(プライベート・ネーム「ウデフトシロリンドウ」)は、藍白竜胆Gentiana leucomelaenaと同定して(後述のGentiana aperta开张龙胆のシノニムと考えることを別とすれば)まず間違いないだろう。

ピンクのほうは、(プライベート・ネーム「モモイロヒメリンドウ」)現時点でのチェック過程においては、外観の似ている匙叶龙胆 Gentiana spathulifoliaとしておくが、こちらは全く自信はない。

両者とも、全体的な形質は、最も一般的な小型リンドウ類の特徴を示していると言ってよい。茎は叢生。一茎に一花。目立つロゼット葉は無し。茎葉は小さく細く、立ち上がらずに茎に密着。萼裂片も反り返らない。

ということで、「中国植物志」では、「Gentiana leucomelaena(ウデフトシロリンドウに相当)」「Gentiana spathulifolia(モモイロヒメリンドウに相当?)」共に、ハルリンドウ(座生竜胆Gentiana thunbergii)やヒナリンドウ(水生竜胆Gentiana aquatica中国名は種小名の直訳で別に「水生」というわけではない)と同じ、「小龙胆组Sect. Chondrophylla」の「小龙胆系Ser. Humiles」に含まれている。

しかしながら、「ウデフトシロリンドウ」に関しては、“雄蕊の花糸の基半部が著しく太くなる”という他のどのリンドウも有していないと思われる極めて顕著な固有の特徴を持っている。にも関わらず、所属するsectionは分けられていないし(他の分類形質評価とのバランスを考えれば別組に置かれても不思議ではない)、seriesの段階でさえ、分けられてはいない(というよりも、その形質に関する記述自体がない)。

大きさや形や色とか、どの部分が何ミリから何ミリで、何個から何個あって、とか、、、細部については“これでもか”というぐらいに事細かな数値を示してはいるが、肝心のベーシックな部分には、ほとんど目を向けないでいる。それが中国の「最先端分類学」なのである(日本も似たようなものだけれど)。

雄蕊の花糸に関する記述も「花丝丝状锥形」と極めて簡単に記されているだけだ。「糸状」でかつ「錐形」ということは、一応「先細りの紡錘形」を示していることになるのだと思うが、他の部位の(重箱の隅をつつくがごとき)詳細な数値記述などを想えば、余りにも簡単過ぎはしないか(英語版には花糸の長さの数値が示されているのみで特異な形についての記述はない)。

分布は、西藏、四川、青海、甘肃、新疆の、標高1940m~5000m、インド、ネパール、モンゴル(英語版では他に中央アジア諸国も示されている)。いずれにしろ、広い分布域を持つ種のようで、全ての地域集団が種の段階で相同か否かにはついては疑問を差し挟む余地があると思われる。

因みに、英語版の付記には、(一部欧米の研究者が)本種を青海省固有種Gentiana aperta开张龙胆のシノニムとする(同じ命名者のMaximovichによって広域分布のleucomelaenaよりも狭域分布のapertaのほうが10年早く記載されている)見解があるが、「中国植物志」では両者を別種と見做す、としている。

確かに(花被片の斑点パターンが明瞭に異なることを除けば)両者はよく似ていて、Gentiana apertaも(「ウデシロヒメリンドウ」同様に)太い花糸を持っている。両者を分けるならば、おそらく地域ごとに多様な変異を示すであろう広域分布種のGentiana leucomelaenaも複数の分類群に分けられるべきではなかろうか?

「中国植物図像庫」の写真で判断する限り、雲南産やチベット産のGentiana leucomelaenaと、基準産地である青海省の個体の形質には、一定の安定的距離があると思われ、Gentiana apertaを分けるとすれば、それらをも分割されて然るべきと思われる。換言すれば、広域分布種としてのGentiana leucomelanaを認めるなら、狭域分布種Gentiana apertaもそこに包括統合するのが“筋”ではないか、と思う。

ただし、Gentiana apertaとGentiana leucomelana原記載産地は共に青海省であることから、そう簡単に処理してしまうわけにもいかない。ここは「中国植物志」に従い、両者を別の種に置き、僕のチェックした限りに於いては青海省産leucomelana原記載個体群と変わらない四川省塔公産も、Gentiana leucomelanaとしておく。

さて、「モモイロヒメリンドウ」のほうだが。

斑紋などからは別のseries(线叶系Ser.Linearifoliae)に所属する「刺芒龙胆Gentiana aristata」(後述予定)に似ているように思える。しかし、ここでは茎葉などの特徴から、Gentiana leucomelanaやハルリンドウなどと同じ「小龙胆系Ser.Humiles」に所属する「匙叶龙胆Gentiana spathulifolia」としておく(あくまで暫定的処置)。







右の花では、太い花糸の雄蕊が花冠内面にへばり付いている様子がわかる。









右は中央集結時の雄蕊の葯、左は待機完了後の雄蕊。















左の「ウデフトシロリンドウ」は雄蕊待機前、右の「モモイロヒメリンドウ」は雄蕊待機後。




















塔公(四川省甘孜藏族自治州康定県)と八美(同・道孚県)の境界にて。奥に見えるのは雅拉雪山(約5800m)。以上全て2010.7.24




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中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-39【追加】

2021-03-16 20:30:57 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花




読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*毎回(リンドウの項目奇数回)のブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けることにします。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ミャンマーのニュースについて。

「・」さん、という方が、このようなコメントを書かれていました。

>小さくても強い炎は消えない。
>時間はかかっても大きく燃え盛る。
>民主主義の炎は消えない。

>我国で自由に政権幹部の悪口を言っても逮捕されず
>選挙で自由に代表者を選べることが
>最高の幸せであることがわかる。
>日本人は最高に恵まれた民主主義が当たり前に
>なっていて幸せを感じていないが
>なんでもない普通の日常がいかに幸せな日常だったと
>失って初めて気が付く。でもその時にはもう戻れない。

>我国では空気の様に当たり前になっているこれらの事が
>ミャンマーでは銃を突きつける兵士に
>向かって丸腰で命がけで得ようとしている人たちもいる。
>明日は我が身。

>尖閣を命がけで守らないとゆくゆくは幸せな生活を失う。
>そして2度と戻らない。

>対岸の火事ではない。

それに対しての、僕の感想です。

>>コメ主のような、金太郎飴的な「正義の民」の存在が、(異なる感性や信仰や価値観を持った人々の)互いの憎しみあいを生み出す元になっている、ということに気が付かないのでしょうか?





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中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-39

2021-03-16 12:40:21 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花


★3月15日の記事に、応援ありがとうございます。


読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*毎回(リンドウの項目奇数回)のブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けることにします。

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いや、昨日は焦りました(以下、言い訳です)。

通院日だったので、午後からスタバにいました。Wi-Fiが6時間使用できます。楽勝。と思っていたのだけれど、、、
途中でヤフーニュースを見たり、アベマの大相撲中継とかを見たりしていたものですから、気が付いたら2時間ちょっとしか残っていなかった。

大急ぎで文章書いて、写真を選んで、それをあや子さんに送信、スタバからは(総体的にはWi-Fi状況が最も良いのだけれど)、なぜか写真の送信が難しく、写真送信時にのみ外に出て、イオンとかマクドの電波を拾います。

最も時間がかかるのは、ネットで調べものをすることでも(場合によっては大変な作業になりますが)、文章を書くことでも、写真を送信することでもなく、写真をまず整理して、送信するカットを選ぶことです。一次選択、二次選択と   減らして行き、完全に選択し終えてから送信、というのが原則です。

でも大抵の場合は選択の途上で番号を付けたりしてある程度の整理を行い、その際キャプションとかも記してしまうことが多いわけです。となると、いざ最終選択で、さらに写真の枚数を減らしたときに、順番とか数字とかを照合し直さなければならなくなる。これが意外に大変で、大抵その過程で思わぬ混乱が起こり、時間は無駄に喰うは、結局照合を間違えるはで、しっちゃかめっちゃかになってしまうことが多いのです。

そんなわけで、間違いを避けることも有って、時間が押せば押した時ほど、写真の枚数が多くなってしまいます。これが商業メディアなら、由々しきことです。でも自分のブログだから、文章が長かろうが写真が多かろうが、別に問題はありません(その分、あや子さんが大変だと思うので、この場を借りて申し訳ない意を表しておきます)。

そうは言っても、同じような写真が何枚も掲載されていると、自分でもうんざりしますね。出来れば一回10枚ぐらいがベスト、せめて20枚以下に抑えたいといつも思っているのです。昨日は35枚。これがマックスですね(繰り返すけれど、減らすのは簡単なのだけれど、アップの時点で照合し間違えてしまう確率が高い)。

早くその日の作業を済ませ、オープン戦(佐藤もう4号です!)や大相撲は送り終えてから見ることにします。

でも、我ながらよくやってると思っていますよ。リンドウのことなんて何にも知らないんだもの。いちいち調べながら(それも中国文と英文で、辞書と格闘しながら)ですから、大変な作業です。
「分類群の特定はしない」最初に宣言はしたのですけれど、結局調べ始めちゃいました。なんといっても辛いのは
せっかく苦労して調べても、その頼りの「中国植物志」の内容が出鱈目だったりするので(笑)。

そういう状況を鑑みると、奇数回と偶数回を設定したのは、我ながら大発明ですね。原則文章だけの奇数回(実質、愚痴や恨み辛みを言うコーナーです)は気が楽だし、その間に次の偶数回の調べものも出来ます。

いずれにしろ、昨日の夜は猛スピードで送信しました。別に一日や二日遅れても構わないのだけれど、それで気を緩めていると、どんどん先送りになってしまいます。一刻も早くリンドウのシリーズを終わらせたい。

以前のWi-Fi終了11時と、現在の8時終了では、使える時間に相当の差があります。もちろん道路に立って電波を拾っても良いのだけれど(スタバ滞在時の写真送信はそうしていることだし)、1時間も立って作業するのは、身体的にも精神的にも疲れます。因みに昨日の写真送信は、マクドは電波が来ていず、イオンの電波が来てたので、食品売り場の角から行いました。

いずれにしろ、一度書いた文章の推敲など、とてもしている時間はないわけで、昨日の記事も、これじゃヤバいと思いつつも、そのまま送信アップしました。

昆虫が来ると雄蕊の葯が消えるという不思議。それによって自家受粉を防いでいるのかな?という仮説が中心的な話題です。黒い雌の高山小型ヒョウモンチョウは、かなりの希少種みたいですよ。甲虫については全く知識がないのですが、ヤクシマルリセンチコガネとかも、こんなのだったような。

それとともにもう一つ書きたかったことがあったのです(送信瞬間にそのことを思い出したので一応キャプションに短く付け加えたけれど)。

ということで、昨日と同じ写真を2枚再掲載しておきます。これ何ですか?リンドウに限らず野生植物の花弁でよく 見かける気がするのですけれど。ダニの一種?それとも植物本体に帰属する花粉塊の一部か何か?

知ってる人がいたら教えて下さい。

タマゴシロリンドウのほうの丸ポッチは、葯によく似た肌色(差別語で使ってはいけないそうですが)、ベニヤクアオリンドウのほうの丸ポッチは、葯同様に鮮やかな紅色。
(*プライベート・ネームに「ヒメ」を入れようかどうかずっと迷っているので、有る無しを交互に使っています)

両方の写真とも、雌蕊発達前の雄蕊が中央に集まっている状況の花と、雌蕊発達後に雄蕊が (花冠内壁のほうへ)離れていく花とがセットで写っています。

この、ちっちゃな“丸ぽっち君”がいるのは、共に後者なのですが、偶然なんでしょうかね?

強引なストーリーを思いつきました。これは、雄蕊(の分身?)が見張りをしているのだ、と。昆虫が来ることを察知したら、雄蕊を一斉退去させる(来ないときは「保険」「最後の手段」としての自家受粉用に花冠内壁に待機したまま)。

*注:次回に、それはたぶん違う、と否定することになりますが(たぶん偶然)。



弯叶龙胆 Gentiana curviphylla「ベニヤクアオヒメリンドウ/紅葯青姫竜胆」と“赤色まるポッチ君”
四川省康定県-雅江県県境 標高4500m付近 2009.7.20



歯褶竜胆Gentiana epichysantha「タマゴシロヒメリンドウ/卵白姫竜胆」と“肌色まるポッチ君”
四川省康定県-雅江県県境 標高4500m付近 2009.7.20





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中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-38

2021-03-15 20:36:09 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花



Gentiana sp. 小型リンドウの一種⑰ (四川省康定県~雅江県) 〔Sect. Chondrophylla小龙胆组〕
Gentiana sp. 小型リンドウの一種⑱ (四川省康定県~雅江県) 〔Sect. Chondrophylla小龙胆组〕




1月18日掲載の写真の再紹介。
四川省康定県‐雅江県県境(臥龍峠)alt.4500m付近 2009.7.20 (以下全て同じ)

やっと、2021年1月18日のブログで紹介した、“青花と白花の高山性小型リンドウの雄蕊の話題”に戻ってきた。

この、両者の雄蕊の状態の著しい相違は、どのような意味を持っているのか。

3か月かけて分かったこと。

青花も白花も、リンドウ属の同じsection(小竜胆組)の一員で、しかし別のseries(青=流苏系Ser. Fimbriatae系/白
=卵萼系Ser.Orbiclatae系)に所属する種であること。

リンドウの仲間全体の性質である「雌雄異熟(雄性先熟)」の、白花種は初期段階の個体、青花種は後期段階の個体であること。

同じリンドウ属でも、「多枝組(=ヤクシマリンドウ節)」の種は、雌蕊の発達後の雄蕊は雌蕊に寄り添ったまま衰退(下方に後退)し、「小竜胆組(=ハルリンドウ節)」の種では、雌蕊から離れて花冠内壁にへばり付くこと。
*それぞれ「雄蕊衰退型」「雄蕊待避型」と仮称しておく。“退避”と記してきたのは間違いで正しくは“待避”。

その他のグループについては未検証。「小竜胆組」の全てのseriesや種に於いて、青花種と同じように顕著な“雄蕊待避”様式を採るのかどうか、という検証も行っていない。例えば、(第29回ブログに述べたように)ハルリンドウは待避し、フデリンドウは待避しないという通説も、再検討を行う必要がある。また、同じ種の中でも、個体によっては待避の是非や程度に差がある可能性も考えられるが、そのことも検証課題と思う。

青花種は、おそらく弯叶龙胆 Gentiana curviphylla=プライベート・ネーム「ベニヤクアオヒメリンドウ/紅葯青姫竜胆」。「中国植物志」に因ると、分布域は“四川西部の標高2890~4270m”と、えらく細かく(笑)、撮影地は少なくとも4400mは越えているのでちょっと外れるが、まあ許容範囲と考えて良いだろう。

日本を含む東アジアに広く分布するコケリンドウ/鳞叶龙胆 Gentiana squarrosa(前回紹介した南西諸島産リュウキュウGentiana crassuloidesを含む)、第28回で紹介したモモバガクリンドウ&アオバガクリンドウ(おそらく卵萼龙胆 Gentiana bryoidesまたは景天叶龙胆 Gentiana crassulaに相当)、このあと紹介予定の肾叶龙胆 Gentiana crassuloides、さらに日本の高山植物ミヤマリンドウ(変種イイデリンドウとも通常は日本固有種とされるが「中国植物志」では中国大陸東北部産の長白山竜胆Gentiana jamesiiに一括抱合している)、そのいずれもが、萼裂片が反り返る特徴を持つことなどから、同じ「卵萼系Ser.Orbiclatae」に置かれている(ただし、それ以外の形質の比較から見た限りでは、必ずしも類縁的に単系統上に置かれる決定的な根拠はないようにも思われる)。

白花種は、おそらくGentiana epichysantha歯褶竜胆、プライベート・ネーム「タマゴシロヒメリンドウ/卵白姫竜胆」としておく。

上記したミヤマリンドウほかコケリンドウの一群(卵萼系Ser.Orbiclatae)とも、ハルカゼリンドウ/中甸龙胆 Gentiana chungtienensis(线叶系Ser. Linearifoliae)とも、フデリンドウ/笔龙胆 Gentiana zollingeriやアオムラサキリンドウ/亚麻状龙胆 Gentiana linoidesやセセラギリンドウ/大理龙胆 Gentiana taliensis(帚枝系Ser. Fastigiatae)とも、ハルリンドウ/丛生龙胆 Gentiana thunbergiiやヒナリンドウ/水生龙胆 Gentiana aquatica(小竜胆系Ser.Humiles)とも異なる、「流苏系Ser. Fimbriatae」に所属する。

同じ緩やかな丘陵の反対側の斜面には、第4回で取り上げた草丈の高い高山竜胆組(Sect.Frigida)の大型種が生える。通常、この小型リンドウ2種は、姿のよく似た、しかし一回り大きめのキキョウ科Cyananthus蓝钟花属の種とセットで生えていて、また、タンポポの仲間の2つのタイプ(通常の頭花を持つタンポポ属Taraxacum と花序が頭花状にならない绢毛苣属Soroseri=プライベート・ネーム“ムカシタンポポ”)の種も同じところに生えていることが多い。

この草原には、高山蝶パルナッシウス各種や小型ヒョウモン類が飛びかっていて、前者は主にムカシタンポポ(绢毛苣)に、後者は主に小型リンドウに吸蜜に訪れる。

ある不思議なことに気が付いた。

それ以前に、元から気になっていたことがある(むろん僕に基礎知識がないのでよく把握できていないだけなのかも知れないが)。まずその話から始める。

昆虫(鱗翅目、双翅目、膜翅目、鞘翅目など)が花を訪れ、葯の花粉を体に付着し、その後別の個体の花を訪れた際、体に付着した花粉が雌蕊の柱頭に受け渡される、というのが基本的な授粉/受粉の仕組みだと思う。

雄はなぜ花を訪れるのか?求めるのは蜜腺なのか花粉なのか?リンドウ科の多くの種の場合、密腺は雌蕊の基部付近にあるようなので、蜜腺そのものを目指して昆虫が来るのではないと思う(ただし蜜腺が花被片の内側に露出したヘツカリンドウではしばしば大量の蟻がそこに群がる)。だがしかし、雄が花を訪れるのは蜜腺だけでなく雄蕊(葯の花粉)にも誘因される、ということなら問題ないので、一応そう考えて話を進めよう。

同じ株でも花は咲く時期はバラバラである。幾つもの段階の花があることで、昆虫による別個体への授粉(受粉)が成される。深く考えなければ、単純な図式で済む。

ヤクシマリンドウ組の種(殊に多くの個体をチェックしたナナツバリンドウ)の場合は、開花初期に雄蕊の葯が中央部に集結、その後下方から雌蕊が出現すると、雄蕊は葯の花粉を解き放って衰退して(鄙びて下方に沈んで)行く。同じ花に於いては、ポリネイターの昆虫は雄蕊の葯から花粉を受け取るか、雌蕊の柱頭に花粉を渡すか、どちらか一つしか行えないわけである。

しかし、小竜胆組の多くの種にあっては、そう単純な仕組みでは事が運ばないのではないか、と思える節がある。雄蕊の葯は、雌蕊が現れる前の中央集結時も、初期の雌蕊からさほど離れず付近をうろうろしているときも、雌蕊の柱頭が二分した後花冠内壁にへばりついて「避難」を完了してからも、変わることなく衰退せずに(たぶんまだ花粉を葯に内包して)存在しているように思われる。

そこに昆虫がやってきたら、他の花の花粉を柱頭に授粉するよりも先に、やってきたときにくっついた雄蕊の花粉を 同じ花の雌蕊に渡すことに成りはしないか。そのことを考えると、「待避型」は、必ずしも「雌雄異熟」「雄性先熟」の 機能を有してはいない、とみることが出来るのではないか?

そのような疑問を持っていた。

で、もしかすると、以下に述べる例が、そのことに何らかの関与を示している? 

僕としては、「偶然」「不思議」で良いと思う。でも「偶然」のすべてが「単なる偶然」というわけでもなかろう(前に挙げたモンキチョウの例など)。

といって、僕の基本姿勢としては、物事の因果関係を(いわば科学的に)理路整然と説明していくことは、好きじゃない。むろん“スピチュアル”にも興味はない。どちらも肯定したうえで、俯瞰的に捉えることが出来ればよいのである。

というわけで、(リアルタイムで調査が目的ではなくたまたま撮影した)写真に収めてある開花個体を、改めてチェック。分かり易いほうの青花種(ベニヤクアオヒメリンドウ)について、大雑把に雄蕊を「中心終結」「分離途上」「待避完了」に分け、36個花をカウントした。

13花が「中心終結」、6花が「分離途上」、4花が「(花冠内壁にへばりついて)待避完了」。どの花も正常な個体で、昆虫などが訪れている状態ではなく、葯が鮮やかな紅色をしている(白花種は、それぞれ12、3、3、ただし葯は花糸と同じ淡黄白色)。

青花種では、上記のパターン以外の、13花があった。発達した雌蕊だけで葯(雄蕊全体)が見あたらない個体である。その内訳は、4花が小型ヒョウモンチョウの一種(雌)&ハナアブの一種訪花中、1花がハエの一種訪花中、2花がセンチコガネ到来中、3花が小型ヒョウモンチョウの一種(雄)訪花接近中、2花は発育不全個体。

この「偶然」を、どう捉えれば良いのだろうか?

待避前待避後(雌蕊の開出前開出後)に関わらず、雄蕊は常に鮮紅色の葯を付けている。昆虫が訪れれば、その体に花粉が付着し、雌蕊に授粉する役割を果たす。もし、雌蕊が開出し、かつ待避中の雄蕊の葯が花粉を持っていれば、上記の懸念が現実になり、同じ花の間で授粉を行われることになる。

ところが、昆虫が訪れた花には、雄蕊の赤い葯(あるいは雄蕊そのもの)がない!

単に一例ではなく、4つの異なる昆虫で、同じようなパターンが為されている。それ以外の正常に開いた花には、全て鮮やかな紅色の葯があるというのに、、、。





小さな肌色の丸ぽっちに注目(写真22とも)。




左はナデシコ科の一種。
















以上6枚:キキョウ科Cyananthus蓝钟花属の種と。


赤はシオガマギクの一種。


黄はムカシタンポポ。






右はナデシコ科の一種。










小さな紅色の丸ぽっちに注目(写真3も)。














両種の萼片の違いが分かる。




センチコガネの一種。以下の写真には赤い葯が見あたらない。




小型ヒョウモンチョウの一種(メス)。


小型ヒョウモンチョウの一種(オス)。








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中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-37

2021-03-14 20:25:27 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花


★3月13日の記事に、いいね!をありがとうございました。


読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*毎回(リンドウの項目奇数回)のブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けることにします。

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前回は、小型リンドウを食草とする、サファイアオオルリシジミと、その対象となるリンドウ2種を紹介しました。最初の一つが雲南省産、後の一つが四川省産。雲南省産小型リンドウの紹介は前回で終了し、この後、18種(または地域集団)の四川省産小型リンドウ(全てが小竜胆組に所属するか否かについては現時点では未詳、これから調べる)に移ります。そのあと、雲南省産の大型リンドウ2種を挟んで、リンドウ属以外のリンドウ科の種、、、まだ、だいぶ残っています(^^;)

前回紹介した雲南維西産のほうは、おそらくフデリンドウ(あるいはハルリンドウ)に近縁な箒枝系Series Fastigiatae(あるいは小竜胆系Ser.Humiles)の種だと思います。一方、四川省雅江産のほうは、花が一回り小さく、萼裂片や茎葉が顕著に反り返ることから、日本のコケリンドウ(Gentiana squarrosa鱗葉竜胆)と同じグループ(卵萼系Ser.Orbiclatae)に所属する種(コケリンドウそのもの?)と考えてほぼ間違いないでしょう。

ちなみに、第28回で紹介した、白馬雪山産「モモバガクリンドウ」と梅里雪山産「アオバガクリンドウ」も、萼裂片が反り返るので、コケリンドウと同じグループの可能性もありそうですが、印象的にはかなり異なることから、処遇は保留しておきます。

コケリンドウの日本での分布は、僕は正確には把握していないのですが、おそらく本州から九州に至る比較的広い範囲に分布しているものと思われます。西は、中国大陸を経て、ヒマラヤ地方に至っているようです。
*以前、「ハルカゼリンドウ」の所に記した「分布域:中央アジア~中国大陸」は間違いで、正しくは「ヒマラヤ東部~日本」である、と訂正したのですが、実は、(同じ「中国植物志Flora of China」の)前者は英語版の記述(日本における分布は示されていない)、後者は中国語版の記述です。どちらを信用すれば良いのか、、、。ちなみに、中国語版での中国での分布は「チベットを除く中国全土」となっています。

屋久島には「2種」の“コケリンドウ”が分布しています。そのうち山上部のヤクシマコケリンドウGentiana yakumontanaは、明らかにコケリンドウとは別種(所属Seriesも異なる?)で、中国大陸産のどれかの種と関連があるようです(ポジフィルムなのでここに紹介出来ない)。一方、海岸の隆起サンゴ礁地帯に生えるのは、屋久島付近が分布北限となるリュウキュウコケリンドウGentiana satsunanensis(コケリンドウの南西諸島産変種とする見解もあり)。

こちらは、デジタル撮影を始めてからの写真も含まれていたので、ここで紹介しておきます。
(ついでに、春田浜の環境写真と、日本産のリンドウ科の中で唯一他のリンドウ科とは別の系統に所属する「シマセンブリ」の写真も紹介しておきます)



リュウキュウコケリンドウ 屋久島春田海岸 2006.6.5


リュウキュウコケリンドウ 屋久島春田海岸 2006.6.5


リュウキュウコケリンドウ 屋久島春田海岸 2006.6.5


リュウキュウコケリンドウ 屋久島春田海岸 2006.6.5


リュウキュウコケリンドウ 屋久島春田海岸 2006.6.19


リュウキュウコケリンドウ 屋久島春田海岸 2006.6.19



シマセンブリ(リンドウ科シマセンブリ族) 春田海岸 2006.6.5



屋久島春田浜隆起サンゴ礁海岸 花はイワタイゲキ(トウダイグサ科) 2006.6.5



屋久島春田海岸 花はイワタイゲキ(トウダイグサ科) 1983.4.13



屋久島春田海岸 花はイソマツ(イソマツ科) 1984.9.30




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中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-36

2021-03-13 20:55:48 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花


 
Gentiana sp. 小型リンドウの一種⑮ (雲南省維西) 〔Sect. Chondrophylla小龙胆组〕
 


サファイアオオルリシジミ雄
雲南省維西栗鼠族自治県東南部alt.2500m付近 2010.5.17
 


サファイアオオルリシジミ雄
雲南省維西栗鼠族自治県東南部alt.2500m付近 2010.5.17 
 


サファイアオオルリシジミ雌
雲南省維西栗鼠族自治県東南部alt.2500m付近 2010.5.17 
 
サファイアオオルリシジミCaerulea coeligenaは、小型リンドウを食草とするゴマシジ類(広義)の一種
 
前回の文に記したように、最初(1989年4月)は、陝西省周至県黒河(秦嶺山脈太白山南面)で観察・撮影し、その後も秦嶺の各地や、雲南省香格里拉県白水台などで出会った。2000年代に入って、四川省雅江と雲南省維西で、観察・撮影を行った。
 
いずれも小型リンドウに産卵することから、ここで取り上げる。チョウについては改めて別の機会に詳しく説明する予定だが(「青山潤三の世界・あや子版」でも既に何度か取り上げているので参照されたし)、概略を述べて置く。
 
春の日中(概ね正午前)の夏緑樹林に覆われた山腹の崩壊地で、雄は金属光沢を帯びた青白い翅を煌めかせながら、ゼフィルス(ミドリシジミ類)のように2~数頭が卍巴飛翔を行いながらものすごいスピードで目まぐるしく乱舞する。その時間帯は限られていて30分ほど、一瞬の饗宴である。その後は雌を探して単独で飛び続ける。雌は、その間、卵を産み付ける小型リンドウの花を探して、地表近くを飛び続けている
 
シジミチョウ科ヒメシジミ亜科ヒメシジミ族カバイロシジミ種群(Grauchpsyche-section)の一種で、同セクションの種としては、日本産にゴマシジミ、オオゴマシジミ、オオルリシジミ、カバイロシジミ、ジョウザンシジミ、台湾産にウスアオゴマダラシジミ、シロゴマダラシジミ、そして中国西南部で、ヒメオオルリシジミと本種が加わる。他に、ヨーロッパや北米大陸にも、多数の種が分布している。
 
僕は、これらのセクションに所属する各属(ゴマシジミ属を例外とし、概ね1属1~数種からなる)を一つの属に纏めても良いと考えるのだが、(研究者たちが)それを拒むのは、ゴマシジミ属の持つ特異な生態(幼虫が蟻の幼虫を食べて育つ)を考慮してのものだと思われる。
 
秋に咲く花(バラ科ワレモコウ属、シソ科アサギリ属、リンドウ科の秋咲種など)を食草とするゴマシジミ属各種は、それに合わせて成蝶の出現期が夏の後半になり、幼虫のまま冬を過ごす。その(越冬の)過程で、蟻の巣に入って暮らす、という選択肢を見つけ、更にその流れの中で、幼虫期の前半は植物を、後半は蟻の幼虫を食べて成長する、というシステムを採ったわけである。
 
一方、それ以外の種は、サファイアオオルリシジミにしろ、オオルリシジミ(食草:マメ科クララ属)にしろ、ヒメオオルリシジミ(食草:マメ科ゲンゲ属)にしろ、食草は春に咲く花である。幼虫は夏の間に成長を終え、蛹で冬越しをするため、蟻の巣中に入って越冬し蟻の幼虫を食べて育つというゴマシジミタイプの生態を採る必要はない。
 
ここで、2つの問題が示唆される。
 
元々、ヒメシジミ亜科の多くの種は、蟻との何らかの密接な関係を持っている。(おそらくベニシジミ族以外の)シジミチョウ科のほとんど全ての種が、蟻やその周辺の昆虫(アリマキなど)に蜜を与え、敵から身を守って貰っているのである(僕は昔、ムラサキシジミの幼虫を襲おうとしたアシナガバチに、アリが蟻酸をかけて撃退した一連写真を撮影したことがある)。
 
もう一つは、シジミチョウ科の多くの種の幼虫が、花の蕾や若い花や柔らかい葉を摂食しているということ。おそらく食感的には蟻の幼虫と似ているのだと思う。
 
どこで一線を越えて、アリの幼虫を食べるようになったのか、その辺りの鍵となるポイントが分かれば面白いと思う。誰か調べる人が出てきて欲しい。
 
*最初にこの蝶の小型リンドウへの産卵を撮影した秦嶺1989年の写真は、ポジフイルムしかないので紹介出来ない。ここでは2000年代に入ってから撮影した、四川と雲南の写真を紹介しておく。
 


雲南省維西栗鼠族自治県東南部alt.2500m付近 2010.5.17 (以下同じ)
小さなピンクの花が咲くツツジ属の一種が咲き競う、山腹の丘陵状草原が観察地。他の陝西省や四川省などに於ける観察地が急峻な渓谷の樹々の茂った急斜面だったのとは、やや環境的に異なる。
 


交尾を終えた雌は、産卵時以外は、(雄に見つからないように?)ツツジの株の根元に身を潜めている。
 


茎は地上部では分岐せず、ロゼットは(たぶん)なし、花冠はやや漏斗状に開き(個体差大)、雄蕊は退避型、ハルリンドウとも、フデリンドウとも、ハルカゼリンドウやセセラギリンドウやアオムラサキリンドウとも、一部共通し、一部相違する。ということで、種の特定は為さず、蝶との関連で、プライベートネームを「ユンナンサファイアリンドウ」としておく。
 


雄同士の卍巴飛翔を終えた後、雄は雌を求めて、小型リンドウの生える地面上を飛び続ける。
 


産卵中の雌に雄がチョッカイを出して来た。雌は戸惑っているのかも知れない。
 


この株には、左上の花冠に2卵、左下の花冠に1卵が産み付けられていた。
 





 








花の大きさ、色、開出状況などには個体変異が大きい。
 


 





撮影地は、維西の町(メコン川水系の栗鼠族自治県)の東、長江側の麗江玉龍納西族自治県との間の峠の西面。この一帯は、白族/彝族/栗鼠(左にイ)族/拉枯(枯の左はネ)族/納西族/チベット族および漢族が混在する、世界的にも稀有な多様民族集合地である。ちょうどサファイアオオルリシジミの出現期には、民家や畑全体が白く覆われるという、独特の風景が展開する(蝶のほうはより広い範囲に分布域を持つのでむろん偶然とは思うが)同じ配色であるのは興味深い)。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
Gentiana sp. 小型リンドウの一種⑯ (四川省雅江) 〔Sect. Chondrophylla小龙胆组〕
 


四川省甘孜蔵族自治州雅江県alt.2800m付近 2010.5.24 (以下同じ)
サファイアオオルリシジミの小型リンドウへの産卵を、もう一か所紹介しておく。
 


四川省西部のチベット族の町・甘孜蔵族自治州南部の雅江は、東西を4500mを超える高山高原に挟まれて南北に流れる、長江の一大支流の雅砦江岸の急斜面に展開する。北緯30度。僕の中国の前のメイン・フィールドは屋久島である。中国に移ってからも屋久島のことはずっと気になり続けている。屋久島の緯度は、北緯30度13分~28分。と言う事は、街からほんの少し川を遡れば、屋久島南岸の緯度に達するわけだ。ちょうど、雅砦江が2つの川(本流と鮮水河)に分流する“両河口”という地点がそこに当たる。それで行ってみることにした。しかし、交通の便がない。歩くとしても“13分”の緯度分は、結構な距離である。徒歩とヒッチハイクを繰り返し、一日がかりで往復した。
 


途中、何か所も、巨大な橋げたの架橋工事が行われていた。成都とラサを結ぶ鉄道新幹線と高速道路である。この辺りの家並みは、全てチベット族様式。
 


両河口で合流する2つの川の色が異なっているのが分かる。
 


右の鮮水河沿いに一時間ほど上流に歩いて行った。
 


川岸の急斜面の新緑の温帯樹林で、サファイアオオルリシジミに出会った。
 


飛び交う雄の写真を撮影しようと、小一時間粘ったのだが、なかなか止まってくれない。
 


ふと足元を見ると、小型リンドウの花が咲いていた。
 


萼片や茎葉が反り返る、日本のコケリンドウに似た種(プライベートネーム「シセンサファイアリンドウ」)。
 


やがて、サファイアオオルリシジミの雌がやってきた。
 


始めは吸蜜していたのだが、おもむろに腹部を差し込んで、産卵を始めた。
 


三卵が産み付けられていた。





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中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-35

2021-03-13 16:09:31 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花



読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

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*毎回(リンドウの項目奇数回)のブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けることにします。

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昨日の(奇数回)第33回のラストで、「熟果」「乾果」という語について書いたのですけれど、(この語でも間違ってはいないと思いますが、野生植物に対する用語としては)、正しくは「液果」「朔(要・草冠)果←パソコンの文字こっちこそ完全に出てこない」というべきでしょうね。

第34回のラストに記した「サクラソウリンドウ(Gentiana primuliflor报春花龙胆)」、これも訂正というか、幾つかの訳注が必要です。

「ベニバナリンドウ(紅花竜胆Gentiana rodantha)と同じsectionに含められることは有り得ない」
「ミドリヒメリンドウ(プライベート・ネーム)との間に(花の形質の)共通点は見出し得ない」
従って、サクラソウリンドウはベニバナリンドウと同一sectionに入る可能性ほぼ無く、ミドリヒメリンドウは(僅かだとしても)その可能性が残されている、旨を記しました。 
しかし、両方共に間違っている(というか必ずしもそうとは限らない)のかも知れません。

「ミドリヒメリンドウ」の写真を見て戴ければ分かると思いますが、大半の個体で雌蕊が片側に寄っているように思います。そして「中国植物図像庫」に示されている「サクラソウリンドウ」も、(確認できる限りの個体に置いて)雌蕊が片側に寄っている。これは「狭芯組Stenogyne」を特徴付ける指標形質ではないでしょうか。(「小型リンドウ」を終えたあと紹介する予定の)大型種のベニバナリンドウやアオバナリンドウ(Gentiana pterocalyx 翼萼竜胆)も、その特徴を有しています。

ということは、その形質に注目するならば、「サクラソウリンドウ」「ミドリヒメリンドウ」ともに「ベニバナリンドウ」と同一sectionの狭芯組に含めることも成り立つわけです。あくまで「可能性」としてですが。

因みに、「中国植物志」の解説や検索表には(中国語版・英語版とも)、この「雌蕊の片寄り」については記されていず、代わりに「雄蕊の先が曲がっている」ことが記されています。確かにベニバナリンドウやアオバナリンドウにはその傾向が見られますが、組sectionを分けるほどの重要形質なのでしょうか?

あと「ミドリヒメリンドウ」の花の拡大写真、子房が2つあるように見えませんか?(後方に立っているのは2本の雄蕊の花糸が接して太く見えているだけ?) 一応、解説書には、「リンドウ科の子房は基本一室だが稀に二室のこともある」となっているので、気になります。

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今回は、イジメ、差別についての話題を(自分の体験を基に)書くつもりでいました。次の「サファイアリンドウ2種/サファイアルリシジミ」の関連として。

イジメや差別は、当事者は気が付かないのですね(加害者側はむろん、時には被害者側も)。僕も、読者の方々も、気付かぬうちに誰かをいじめたり、差別していたりする可能性があるわけです。

虐められたり、差別されたりするのは、される側に何らかの理由があります。それは良し悪しとは関係なく、存在するものです。「女だから」「人種が違うから」「考え方が違うから」「バカでノロマだから」云々。それは現実なわけで、それ自体は素直に受け入れたとしても何ら問題がないわけです。しかしそこに「力関係」とか「空気」とかが関わってくると、イジメや差別に至ります。

上に「被害者側も」と書いたのは、そういうことです。なぜ差別やいじめを受けているのか、(客観的に見て)自分がどのような状況に置かれているのかを、改めて俯瞰的に考えても良いのだと思います。

たまたまちょうどいま、ドイツにおける日本への差別表現「寿司の国」というのが話題になっている、というネットニュースを目にしました(発言したドイツ人が解雇された由)。差別されている側の日本人にとっては、「何でこれが差別なの?」と思うわけですが、このこと一つをとっても、「差別」や「イジメ」の問題はデリケートで、ある時は(「加害者側」も「被害者側」も気付かぬまま)全く無関心に事が進み、ある場合は関係者(むろん主に被害者側、稀に加害者側)の自死に至るなど、とてつもなく大きな問題になり得るのです。

差別やいじめの問題は、皆が思っているよりも、はるかに巨大で、複雑で、取り組みが限りなく困難な対象です。

一般論に戻りますが、イジメは、暴力とか嫌がらせとかの、目に見える現象だけではありません。むしろ、それらはごく一部でしかない。

イジメの本質は、「無視」ひいては「排除」にあります。個人による排除や無視は、どうってことありません。我慢しときゃ良いのです。「空気」を媒体として、社会全体が関わってきたとき、それは巨大な手が付けることの出来ないほどの 絶対的な力となって、襲い掛かってきます。個人では、(被害者側は無論、加害者側も)コントロールしようがないのです。

僕の言う、教育(合法的な洗脳)で形作られた「空気」。

僕が虐められだしたのは、中学に入ってから。でも、リアルタイムではイジメられているとは思わなかった。漠然と「弄られキャラ」と思っていたのでしょう。

中学2年で不登校児になり、20歳を過ぎてからは(今に至るまで)、それはもう悲惨なものです。まあ、社会から背を向けてしまった僕自身が悪い(という部分もある)のですが。

僕が50年間携わってきたのは、一応、「自然科学」なのですね。「学」が付きます。でも僕は結果として「学」を否定しているわけです。「学」の世界にある側からすれば、「排除」「無視」せねばならぬ存在です。

その金太郎飴的な排除のされ方、徹底無視され続けてきた例は、このブログにも、もう何度も書いてきました。

或る研究者の論文中に、「この事実を最初に発表したのは青山潤三氏である、しかし彼は正規の研究者でないので(正しい手続きを経ていないので)、無視をしてよい、最初の発表者は私である」とか、記されていたりします。ここまで明確に言われると、少しはスッキリしますね。まあ、このような(大したことのない)人達は、こちらから無視しときゃ良いのです。分かってくれている人たちがいるだけで良い。

もっとも、現実には「分かってくれる人たち」の大半は僕よりずっと年長で皆鬼籍に入っているし、「大したことない人たち」が大量に存在しているわけで、、、、、。

次回(第36回)は、小型リンドウに産卵する「Caerulea coeligenaサファイアルリシジミ」の話題です。1989年4月、陝西省太白山の渓谷で最初に出会って(その後、スパイ容疑で逮捕されてひと月近く軟禁)以来、幾つもの地で観察してきました。

1998年に刊行した「中国のチョウ」に於いても、かなりのページを割いて、この蝶の紹介をしています。(雄交尾器を図示し)この種が、間違いなくGlaucopsyche-sectionカバイロシジミ節に入る事(すでにエリオットが指摘)や、ゴマシジミやオオルリシジミなどとは属を一括しても良いほど近縁な関係にあること(ただし雄交尾器の一か所に、より祖先的形質が残されていること)、雄の卍巴乱舞や、雌の小型リンドウへの産卵等々、成虫の行動を詳しく記述しました。

また、2000年代になってからは(今回紹介した写真などを含めて)「青山潤三の世界・あや子版」に繰り返し発表し続けて来ました。しかし、一切無視されていますね(笑)。

むろん日本語であることが一要因ではありますが、マニアックな世界で発表された場合は、日本語であろうがなかろうが、ちゃんと世界に伝わります。しかし、アカデミックな世界にもマニアックな世界にも背を向けている僕の場合は、どうにもしようがないわけです。

比較的最近、このGlaucopsyche-sectionの総説が、インターネット上にも挙げられています(確か欧米人の研究者たちによる)。DNAの解析に基づく系統論と、それぞれの種の食草との対応関係の考察です。

「サファイアルリシジミ」については「不詳」のまま。

(せめて写真ぐらいはチェックしておいてほしかったな、と)ガッカリもします。 



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中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-34

2021-03-13 08:18:56 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花


★3月12日の記事に、いいね!その他ありがとうございます。

Gentiana sp. 小型リンドウの一種⑩ (甘粛省天水市) 〔Sect. Chondrophylla小龙胆组〕



甘粛省天水市麦積山alt.800m付近 2010.4.21 

これは、フデリンドウ Gentiana zollingeri筆竜胆で、ほぼ間違いないだろう。「中国植物志」におけるフデリンドウの中国での分布は、東北地方から華中地方を経て、東部の浙江省に至ると記されていて、甘粛省は含まれていない。しかし、撮影地は、(分布が示されている)陝西省との境の秦嶺山地の一角なので、分布域的に見ても当て嵌まると考えて良いだろう(注:英語版のほうは“Gansu”で載っている)。

秦嶺山脈は、陝西省の太白山を最高峰とし、長江中流域と黄河中流域に挟まれて、東は河南省、西は甘粛省に至りチベット高原北部に収斂する。西安の南の秦嶺中心部には、日本のギフチョウ近縁種や次項に紹介するサファイアルリシジミの探索に、1980年代末から2000年代はじめにかけ、春に何度も訪れた。ハルリンドウやフデリンドウの仲間も多数撮影している。しかし、手元に写真が残っていない。ここで紹介するのは、秦嶺西端付近の、甘粛省天水市麦積山付近での撮影個体。峠道に至る渓流に沿った、典型的な早春の天然雑木林の林縁草地の落ち葉の中から、数種のスミレ類やアズマイチゲなどと共に、可憐な草花が咲き始めていた。



同上

Gentiana sp. 小型リンドウの一種⑪ (広西壮族自治区龍勝県) 〔Sect. Chondrophylla小龙胆组〕


広西壮族自治区龍勝県芙蓉村alt.500m付近 2009.5.20

長江の北、黄河との間に東西に連なる「秦嶺」と対になるのが、長江の南、珠江との間に東西に延びる (標高やや低く明瞭な山脈にはならないけれど)「南嶺」だ。北の秦嶺ともども、西の端は「世界の屋根」に収斂し、東は日本列島に続いて行く、「東アジアの回廊」的な地域である。

その中央付近に位置する桂林は、僕の第二の故郷とも言ってよい町である。20年近くに亘り、累計数年間滞在している計算になるが、この地に来る観光客のほぼ100%が訪れる陽朔には、行ったことがない(通り過ぎたことは何度もあるけれど)。僕のフィールドは、陽朔とは反対方向の、湖南省との境にある山岳地帯。観光的には、全く無名の地である(ちなみに湖南省には“芙蓉鎮”という有名な映画上の架空の村がある)。やはり手元に、一つだけリンドウの写真があった。今のところ種を特定できないでいるが、色以外はフデリンドウに良く似ている。プライベート・ネームは「ウスシロリンドウ」。








白い小さな花は、サクラソウ科(トチナイソウ属の一種?)。




Gentiana sp. 小型リンドウの一種⑫ (雲南省麗江) 〔Sect. Chondrophylla小龙胆组〕


雲南省玉龍雪山alt.3100m付近 2008.7.23 

この10~15年間は、雲南での目的地は、香格里拉から北の地域である。それ以前には、大理や麗江、それとミャンマー国境近くの町・謄沖が中心だった。麗江は玉龍雪山の麓の草原。そこでの撮影写真の大半は、中国に置いてきたDVDや段ボール箱のポジフィルムなので紹介が叶わないのだが、なぜか手元に一枚だけ、花だけをトリミング した写真が残っていた。最も一般的な小型リンドウのように思うが、この写真だけでは種の特定はできない。

Gentiana sp. 小型リンドウの一種⑬ (雲南省香格里拉) 〔Sect. Chondrophylla小龙胆组〕


雲南省香格里拉(中甸~碧塔海) alt.3600m付近 2005.6.19

Gentiana linoides亜麻状竜胆と同定して良いだろう(プライベート・ネーム「アオムラサキリンドウ」)。セセラギリンドウ(大理竜胆Gentiana taliensis)と共に、フデリンドウと同じ箒枝系Fastigiataeに含められている。フデリンドウに似るが、萼片がより大きく、花筒を深く包み込む。フデリンドウは、中国西南部(四川・雲南)では分布を欠くことになっているので、その代置的存在と見做して良いのかも知れない。諸形質から見てフデリンドウよりもハルリンドウに近いと思われる「ハルカゼリンドウ(Gentiana chungtiensis中旬竜胆)」同様に、香格里拉郊外の湿性草地に見られるが、(偶然だとは思うけれど)ここで示した2個体とも、ハルカゼリンドウ撮影地とは異なる、香格里拉の町と碧塔海の中間地点辺りで撮影している。生育環境がやや異なるのかも知れない(本種のほうがやや湿地性?)。



雲南省香格里拉(中甸~碧塔海) alt.3600m付近 2015.7.29 (以下同じ)










右は「ミドリヒメリンドウ」



香格里拉西郊外の碧塔海との間の湿性草原に隣接した小さな丘に「大小」の小型リンドウ2種が咲いていた。





アオムラサキリンドウの花径(12㎜前後)は、ミドリヒメリンドウ(6㎜前後)の倍ぐらい。

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Gentiana sp. 小型リンドウの一種⑭ (雲南省香格里拉) 〔Sect. Chondrophylla小龙胆组???〕


雲南省香格里拉(中甸~碧塔海) alt.3600m付近 2015.7.29 (以下同じ)
















今回、丸一日アップを停滞してしまったのは、前回述べたような幾つかの理由もあるのだが、最も大きな原因は、この「大小2種」の小型リンドウの、白く小さなほうの種の帰属分類群の特定に手間取っていたことに因る。結局特定することは出来ずに、とりあえずギブアップである(分かり次第付け加える予定)。

最初は、別seriesの狭芯組Stenogyneに所属する、Gentiana primuliflora报春花龙胆(サクラソウリンドウ)だと思っていた。茎や葉の姿は「中国植物図像庫」に図示された各個体に似ているし、解説文の記述とも、さほど相違はない(種子などの内部構造は写真では調べようがない)。   

しかし、雰囲気は相当に異なる(印象的には「サクラソウ」というよりも「ハコベ」を思い浮かべる)。

何度も繰り返し言うけれど、僕はリンドウについては(ヘツカリンドウは別として)何の知識もないわけで、殊に膨大な種数からなる「小型リンドウ(概ね小竜胆組)」各種については手が付けようがなく、最初から「ギブアップ」を宣言していた。でも、結局はいちいち調べる羽目になって、その結果途方に暮れているのである。

まあ、一から勉強しながら、と思えば良いので、無駄な作業というわけでもないだろう。僕の写真の該当種が、「小竜胆組」に入るのかどうか、日本産のどの種に対応しているのか、等々、少しづつ分かってきたような気もする。

同定は、“例えば「中国植物志」に従えば”、ということでの暫定処置であって、種を特定するつもりは最初からない。

「中国植物志」自体、どこまで信用できるのだろうか? 混乱の原因は、必ずしも僕が無知だからだけではない。参考にすべき「中国植物志」の出鱈目さにも、大いに責任がある。

例えば、「小竜胆」という種speciesがある。「小竜胆系」というseriesがある。しかし、「小竜胆」は「小竜胆組」に入らない。“手続き”にばかり注意を向けて、本来の目的が置き去りにされてしまっている。

「中国植物志」が凄いスケールの素晴らしい仕事(国家事業)であることは認める。僕なんかが太刀打ちできる存在ではない。

しかし、どこか“マ”が抜けているのである。

ついこの間のことだが、ニュージーランドに住む(僕の二番弟子)ルイスから久しぶりにメールが来た。彼の中国人友人の若い研究者が、中国の蛾の新種記載をする、しかし論文が受け入れられない、どこにその原因があるのかをチェックしてくれないか、というのである。

論文を読むに、彼が凄い能力を持った、凄い努力家であることが分かる。

で、交尾器に関わる記述や図を子細にチェックしてみた。(具体的な説明は省くが)どうやら、一番肝心な、最もベーシックな部分に対する考察が、最初から抜け落ちている。これでは、いくら力を注いで細部の考察を重ねても、砂上の楼閣である。いかにも「中国人」なのである(必ずしも貶しているのではない)。

それはともかく、この「小さいほうの小型竜胆」に相当する可能性がある「Gentiana primuliflor报春花龙胆(サクラソウリンドウ)」を、改めて「中国植物志」と(それに付随されている)「中国植物図像庫」でチェックしてみた。

「昆明」産の、数個体(20数カット)が掲載されている。それを見るに、どの個体も、花冠裂片の基部に、顕著な蜜腺が認められる。あれれ、リンドウ属の特徴は、子房の基部に密線があることではなかったっけ? 花被弁内側に蜜腺を持つのは、センブリ属の種だと思う。

もっとも、(seriesを分けるぐらいだから)リンドウ属の中でも特殊な存在なのかも知れない、と思って本文記述を読んだのだけれど、(中国語版にも英語版にも)何処にもそのような指摘は為されていない。種の解説でも、系の解説でも、検索表でも、同様である。

因みに、「サクラソウリンドウ」が所属するとされる「狭芯組Stenogyne」には、後に紹介予定をしている大型のリンドウ属の種「Gentiana rodantha 紅花竜胆(ベニバナリンドウ)」や「Gentiana pterocalyx 翼萼竜胆(アオバナリンドウ)」も含まれている。どう考えても、写真の「サクラソウリンドウ」との共通要素は見出し得ないように思われる。

それで、とりあえず現時点で分かったのは、この、アオムラサキリンドウ(Gentiana linoides亜麻状竜胆)と共に生える、白く小さいほうの小型竜胆(以降「ミドリヒメリンドウ」のプライベート・ネームで呼ぶ)は、(少なくとも「中国植物図像庫」ではその名で紹介されている)「サクラソウリンドウ」とは、全く異なる存在で(むろん花冠裂片には蜜腺を持たない)、従って、「中国植物図像庫」に紹介されている対象が、真の「サクラソウリンドウ」であるとすれば、(このミドリヒメリンドウは)「サクラソウリンドウ」ではない、ということである。

と共に、「中国植物図像庫」の個体が真のサクラソウリンドウではない、とするならば、「ミドリヒメリンドウ」が真の「サクラソウリンドウ」に相当する可能性も残されていることになる(しかし、特徴的な緑の蕾の事にも触れられていないので、その可能性は極めて低いものと思われる)。

ということで、「ミドリヒメリンドウ」の所属分類群の特定については、保留しておかざるを得ないわけである。









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