青山潤三の世界・あや子版

あや子が紹介する、青山潤三氏の世界です。ジオログ「青山潤三ネイチャークラブ」もよろしく

中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-24

2021-03-04 13:43:05 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花



多枝組Section Kudoa(中国産ヤクシマリンドウ節)のまとめ
 


典型ナナツバリンドウ。雲南省白馬雪山3900m付近。花筒は膨らみ、花冠外内側に濃藍色条線、花被裂片の先に糸状突起。 箆状の輪生葉6-8枚。
 


典型ナナツバリンドウ。雲南省白馬雪山4000m付近。花冠内面の条線は太く濃くはならない。糸状部未発達。箆状輪生葉。
 


典型ナナツバリンドウ。雲南省白馬雪山4000m付近。花冠内面の条線は太く濃くはならない。糸状部未発達。箆状輪生葉。
 


典型ナナツバリンドウ。雲南省白馬雪山4100m付近。糸状部が顕著に発達する。針状の輪生葉。
 


典型ナナツバリンドウ。雲南四川省境山地4300m付近。糸状部が顕著に発達。針状輪生葉。
 


典型ナナツバリンドウ。雲南四川省境山地4300m付近。花冠内部の条線は濃くならない。針状輪生葉。
*以上、原則として株の中央付近に、極小ロゼット・クラスターを備える。
 


広義のナナツバリンドウ。雲南四川省境山地4300m付近。花色はやや濃い。糸状部はあるが目立たない。花筒は膨らむ。淡く黄緑色を帯びる。副萼片を欠く。箆状輪生葉。
 


広義のナナツバリンドウ。雲南四川省境山地4300m付近。花色はやや濃く、糸状部は目立たず、花筒はスリムで淡く黄緑色を帯びる。肉質針状輪生葉。
 


広義のナナツバリンドウ。雲南四川省境山地4300m付近。花色が濃く、花冠裂片の糸状部は目立たず、花筒中央はスリムでやや黄緑色。針状輪生葉。
 


広義のナナツバリンドウ。雲南省香格里拉近郊3400m付近。花色が濃く、糸状部を欠き、花筒はスリム。箆状輪生葉(photo by Monica Lee)。
 


広義のナナツバリンドウ。四川省四姑娘山(巴朗山峠)4600m付近。花色はやや濃い。糸状部あり。花筒はややふっくらしている。肉質針状輪生葉。
 


広義のナナツバリンドウ。四川省四姑娘山(巴朗山峠)4600m付近。花色はやや淡い。糸状部あり。花筒は短く膨らみ花冠が漏斗状に開く。肉質針状輪生葉。
 


広義のナナツバリンドウ。四川省四姑娘山(巴朗山峠)4600m付近。花色はやや淡い。糸状部あり。花筒は短く膨らみ花冠が漏斗状に開く。箆状輪生葉。
 


広義のナナツバリンドウ。四川省四姑娘山(巴朗山峠)4600m付近。花色は濃い。糸状部なし。花筒はスリムだがフタツバリンドウほど長くはない。箆状輪生葉。
*以上、ロゼット・クラスターの存在は不明。
 


フタツバリンドウ。四川省四姑娘山(長坪溝)3500m付近。花色は濃い。糸状部なし。花筒はスリムで長く、やや黄緑色を帯びる。葉はやや長い箆状で対生する。長い葉の大型のロゼットを伴う。
 


フタツバリンドウ。四川省四姑娘山(長坪溝)3500m付近。花色は濃い。糸状部なし。花筒はスリムで長く、やや黄緑色を帯びる。葉はやや長い箆状で対生する。長い葉の大型のロゼットを伴う。



フタツバリンドウ。四川省四姑娘山(長坪溝)3500m付近。花色は濃い。糸状部なし。花筒はスリムで長く、やや黄緑色を帯びる。葉はやや長い箆状で対生する。長い葉の大型のロゼットを伴う。
 


フタツバリンドウ。四川省四姑娘山(長坪溝)3500m付近。花色は濃い。糸状部なし。花筒はスリムで長く、やや黄緑色を帯びる。葉はやや長い箆状で対生する。長い葉の大型のロゼットを伴う。
 


ナナツバリンドウ(ヨツバリンドウ)。四川省雪宝頂4300m付近。典型ナナツバリンドウに似て、花色が明るく、花筒は中央部が膨れるがより長い。肉質針状輪生葉。極小ロゼットのクラスターを備える。
 


【参考】ヤクシマリンドウ。屋久島永田岳1700m付近。花冠は漏斗状に開き垂下する。花冠副片に糸状部を備える。肉質披針形輪生葉。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
以上、各写真に記した「細部」の記述は、「区別」することが目的ではない(大雑把な印象を記しただけなので余り参考にはならない)。実体を知るためには、細かい部分を見ることと、全体を見ることを、同時に行わねばならない。






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中国の野生植物 Wild Plants of China リンドウ科Gentianoceae-23

2021-03-04 09:00:13 | コロナ 差別問題と民主化運動 中国の花




読者の方々に質問です(僕は頭が悪いので、教えて頂ければ幸いです)。

【Ⅰ】
マスクは、なぜ必要なのですか?

【Ⅱ】
「沖縄に対する日本」
「台湾・チベット・ウイグルに対する中国」
の違いを教えて下さい。

*毎回(リンドウの項目奇数回)のブログ記事の冒頭に、この質問を繰り返し続けることにします。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ヤクシマリンドウ組、やっと終えました(次の回で最後に総まとめをしておきます)。

この後、リンドウ属のつづき。
ユンナンリンドウ組(1種)、
小型リンドウ類(主にハルリンドウ組に含まれる数10種)、
ガクバナリンドウ組(2種)、
を経て、
ツルリンドウ属(2~3種)、
オオツルリンドウ属(2~3種)、
シロウマリンドウ属(5種前後)、
ハナイカリ属(1~数種)、
サンプクリンドウ属(1~数種)、
ヒメセンブリ属(10種前後)、
センブリ属(10種前後)、
最後にセンブリ属のヘツカリンドウ類(その中国大陸産対応種に対しての見解)で終える予定です。

で、気が付いたのだけれど、「リンドウ」そのものがありません。種としてだけではなく「リンドウ組」もない。

思うに、「リンドウ」という植物自体が、かなり曖昧な存在、と言えるのかも知れません。

リンドウは、Gentiana scabra var.buergeri。Gentiana scabraの、日本産変種で、日本の本州、四国、九州、屋久島、奄美大島に分布しています。

Gentiana scabraの原変種(基準変種)*は、日本海の対岸地域、朝鮮半島(日本の対馬も含む)、ロシア沿海地方、中国大陸東北部などに分布しているらしい。

*前にも書いたけれど、「原」「基準」というのは植物自体の属性ではなくて、人間の事務的(“科学的”も含まれる?)手続きに対しての言葉です。Gentiana scabra var.scabraは「原名(種名と同じ名を当てた)変種」「最初に記載された変種(したがって別の変種が発表されない限り使用されない)」であり、決してそれが種としての「基準集団」「母集団」に相当するわけではありません。言い換えれば、var.scabraもvar.buergeriも、等しく種Gentiana scabraの「一変種」なのです。

他に、種「Gentiana scabra」は台湾からも(別変種?)の記録がありますが、台湾や東北部を除く中国大陸での分布の実態(変種の区分など)の詳細は、よく分かっていないようです。「中国植物志」による分布域は、北部(北京、河北など)、中部(湖北ほか)、東部(浙江ほか)、南部(広東、広西などを含む)で、西南部(四川、雲南)における分布は示されていません。

ちなみに、リンドウが含まれるリンドウ節(竜胆草組)の種は、「週刊朝日百科世界の植物」でも「中国植物志(中国語・英語版)」でも、ともに38種となっていて、前者では「東アジアが分布の中心」、後者では「北米大陸に多い」、とされています。日本産の種とは3種(リンドウ、エゾリンドウ、アサマリンドウ)、中国産も3種(リンドウ、エゾリンドウ、チョウセンリンドウ)です。他の35種前後は「東アジア」のどこに分布しているのか? 前者の見解だと、ちょっと辻褄が合いません。

いずれにしろ、リンドウ(の別変種)も、近縁のエゾリンドウ(その別変種オヤマリンドウ他を含む)も、中国大陸の西南部には分布を欠いています。この地域には「リンドウ組」の種は分布していない、ということになります。

大雑把に見渡せば、中国西南部の「リンドウ組」空白地帯を、「ヤクシマリンドウ組」が埋めていることになります。前者が日本海周縁および(最上流部を除く)長江流域地域。後者は「中国大陸西南部高地帯」。

屋久島には、山頂部にヤクシマリンドウが、山麓にリンドウが分布しています(小型種に関しては山上部にヤクシマコケリンドウ、海岸部にリュウキュウコケリンドウが分布し、両者の関係~それぞれ別経路で中国産の種に繋がる~が興味深いのですが、それについては別の機会に)。

この屋久島の「リンドウ」はかなり希少な存在で、僕も一株しか撮影していません(手元にポジフィルムしかなくて紹介出来ないのが残念です)。イメージは、他の地域のリンドウとはずいぶん異なり、むしろアサマリンドウに似ています(ただし基本形態的には確かにリンドウ)。

ちなみに、アサマリンドウGentiana sikokianaも、かなり不思議な植物ですね。“アサマ”と名が付くことから、本州中部の山岳地帯に産する植物をイメージしますが、この「アサマ」は、浅間山ではなく、三重県志摩半島の「朝熊山」から来ています。紀伊半島から九州中部にかけて分布する、いわゆる「襲隼紀要素」の分布様式です。

それはともかく、屋久島の「リンドウ」は、きちんと調べてみると、面白い存在だと思います。「島嶼に隔離された分布南限集団」、、、、と言いたいところなんですが、、、、なんと、奄美大島にも分布している!

奄美大島が分布南限となる、日本列島固有分類群。非常に興味深い例なのに、40年ほど前の最初の報告以降、これといったデータが見当たりません(堀田満先生がご健在なら様々な取り組みを成されたことと思いますが)。

リンドウは、ある意味、謎の種なのです。

**僕が写真撮影を始めた当時(40~50年ほど前)、東京の西郊や関西の野山で、秋になるとリンドウの花を写しまくっていました(主役は花ではなく、訪れたチョウやハチやアブ)。でも全部ポジフィルムなので、このブログでの紹介は叶いません。あや子さんは「リンドウ」の写真を持っておられるのではないかと、、、、。特別に参加協力して頂けないでしょうか?





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする