場末の雑文置き場

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普通の白人と普通の日本人

2019年03月22日 | 政治・社会

ニュージランドで起こったテロの犯人が「普通の白人」を自称していたようだけど、差別主義者はどの国でも同じなんだね。本邦でも「普通の日本人」を自称してヘイト発言を繰り返す人間が恐ろしいほどたくさんいるもんな。

普段目立つのは韓国や中国へのヘイトだけど、イスラム教徒へのヘイトだって実はこの国でも結構ひどい。
今回の事件についてちょっとTwitterで検索しただけで醜悪な意見がいくつも出てきた。特にひどかったのは、テロでたくさん人が死んだことに対して「心が痛まない」と言い切り、イスラモフォビアに持っていく意見。Twitter社に報告しておいたけどまたいつものように無視されるんだろう。今回起こったのは白人のテロなのにイスラム教徒のテロリストの話をしだす奴らや、今回の事件の話はそこそこに「報復テロ」が起こることだけを心配していたりしたのは何人も見た。こういう奴らとあの犯人は同類だと思う。

そしてこういうのはネットに限った話ではない。
ニュース番組でコメンテーターがイスラム教徒をナチュラルに犯罪者予備軍みたいに言っていて、周りの誰もそれを咎めないという恐ろしい光景を見たことがあるし、韓国に関しては毎日のようにヘイト報道をしている。入管は収容者を同じ人間と思っていないような扱いをしていて、そんな人権侵害がほとんど報道もされない。入管の所業を知っていても「法律を破ったほうが悪い」と当然視する「普通の日本人」もたくさんいる。

ネットのことに話を戻すとTwitter上では排外主義者たちが猛威を振るっているし、フェミニストという本来差別に反対する思想のはずの人たちがひどいトランスフォビアを撒き散らしていたりもする。そしてトランス排除派フェミニストたちの中には、かなり深刻なイスラモフォビアも同時に抱えた人たちが相当数いる。

こういった人たちの大多数はこの先も犯罪者になることなく平穏に過ごすのだろうが、かれらはしっかりとヘイトクライムの種を撒いている。
だからあの犯人が「普通の人」っていうのはある意味正しいのかもしれない。あの犯人だけが特別に異常な人間で事件を起こさなかった大多数の人はまともなのかと言ったら、それは違うと言わざるを得ない。関東大震災時の朝鮮人虐殺だって「普通の人たち」がやったことだしね。だからこそ怖いんだ。

あと、「この事件はテロじゃなくてヘイトクライム」という意見をいくつも目にしたが、それは違うだろ。ヘイトクライムだったらテロじゃなくなるわけじゃないから。二者択一の概念じゃないから。あれはまぎれもなくテロだ。そしてもちろんヘイトクライムでもある。

あの事件をテロと呼ぶことには大きな意味がある。今まで白人はテロ事件を起こしてもテロリストと呼ばれることがとても少なかった。有色人種が同じことをしたら即テロリストになるのに。アメリカで白人による銃乱射事件が起こったとき、ニュース番組で「犯人は白人だからこれはテロではないようだ」と意味不明のコメントが普通に流れたのを覚えている。

テロリスト=イスラム教徒みたいなイメージが世間一般にあるのはなぜかと言ったら、ニュース等でずっとそうやって印象操作されてきたからだ。実際には白人によるテロはこれまでも結構起きているのに、それらはテロとして扱われない。イスラエルがガザに爆弾を落としてもテロではないが、パレスチナ人がイスラエル人に石を投げたらテロになる。こういう非対称がずっとある。
だからニュージランド首相があの犯人をテロリストと言い切ったことは画期的なことだ。その程度のことが「画期的」になってしまうのは悲しいことだけど。

そう言えば日本で日本人が起こしたテロもテロ扱いされないよな。やまゆり園の事件も報道で「テロ」とは呼ばれていなかった記憶がある。日本ではテロ事件が起こっていないという認識の人もいるようだけどとんでもない話だ。日本に銃規制がなかったらもっと大きな被害が出ていたかもしれない。ニュージランドの事件は決して対岸の火事じゃない。


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