3回目以降の難民申請者は申請中でも強制送還を可能にする、という入管法の「改正」案が4月28日に衆院法務委員会で可決された。
日本は元々極端に難民認定率の低い国で、入管収容所の被収容者はまともな医療も受けられずに虐待されている。在留資格がなければ働くことすら許されない。難民申請者の扱いは今でも十分ひどいのに、更にひどい状態に追いやろうとしている。
入管職員や入管庁の関係者たちもひどいけど、そういった環境に慣らされて麻痺しているだろうからまだわかる。もっと恐ろしいのはそれを支持する一般の人たち。たまたま自分にとって安全な国に生まれた「普通の日本人」たちが、国に帰れば命の危険がある人達を誹謗中傷している。強制送還しろ、と平気で言う。そういう連中の支持があるからこそ入管も好き放題できるし、入管法「改正」案も通ってしまう。
もちろん、無関心な圧倒的多数の日本人にも大いに責任がある。そして無関心ということに対しては、私は人のことをどうこう言える立場ではない。今まで十分な意識を持ってこの問題に向き合ってきたか、自分に出来る限りのことをしたかと考えると、決してそうではない。ほぼ何もしてこなかったので。少なくとも入管を支持する連中や自民や維新に投票した連中よりは幾分かマシとは言えると思うけど。
国民国家という概念は比較的最近出来たらしいけど、それで人類は進歩したんだろうか。国家という枠組みにとらわれた強固な縄張り意識を持った人が大勢いて、恣意的に作られた国境で移動の自由が制限されて。概念に過ぎない「国家」なんてものの存続が人権や人の命より優先されたりして。そりゃあ、国民国家ができる以前から戦争も移動の制限もあっただろうが。
入管を支持し、外国人叩きをする「普通の日本人」たちも白人のことは好きなんだよな。白人が日本に来るのは歓迎するけど、非白人だったら駄目。都合のいい安い労働力としては非白人の外国人も来て欲しがるけど、定住は許さない。そういう日本の空気が本当に嫌だ。
だからヌートバーの人気ぶりにも複雑な気分にさせられた。別にヌートバーが悪いわけじゃないんだけど、見た目が白人じゃなかったらこんな歓迎されなかっただろうな、とか、難民には冷たいくせに、とどうしても思ってしまって。
ただ、もちろんそんな人ばかりではないのもわかっている。私は行けなかったが、今日はこの雨の中でも阿佐ヶ谷や高円寺などで入管法改悪反対のデモが行われていて、たくさんの人が参加していた。無関心な人や入管支持派も実際多いが、こうやって声を上げている人も少なくない。自民党はそれを無視しないでほしい。
最後に。入管法の改悪に反対でも「こんなんじゃ日本は先進国とは言えない」みたいな表現は避けたほうがいいと思う。先進国という言葉には金持ち国という以上の意味は無い。先進国=道徳的にも成熟した国のように捉える感覚は反差別とは相容れない植民地主義的な感覚だ。難民になる人のほとんどは所謂「先進国」の人ではないわけで、その人たちの生まれた場所のことを見下し、馬鹿にしているのと同義なのだが、それに気付いているだろうか。