巷での評価がものすごく高くて、「泣きゲー」と評されることの多いこのゲーム。
実際すごくよく出来てるし、面白いゲームなんだよ。一枚絵は少ないけどキャラクターの立ち絵は豊富だし、シナリオの分岐もボリュームも多いし、フラグ管理もバッチリだし。
本当になんでもなさそうな選択肢が、ずっと後の展開に影響を与えることもあって驚かされる。前に選んだ選択肢とその後の展開に矛盾がないような配慮が徹底してなされていて、その作り込みには感動する。
ただね。冷静にストーリーだけを振り返ってみると、ちょっと納得いかない部分も多かったんだよね。特にアフターストーリー。
主人公・朋也のことがあまり好きになれなかったのが一番痛かったかも。作中では結構モテていたけど、こんなに無気力な人が複数の女の子から好意を寄せられるなんてことがあるかなあ。無気力なのには本人なりの事情があるのもわかるけど。
たいして取り柄のない主人公がモテモテっていうのはギャルゲ・ラノベのお約束らしいから、まあ仕方ないのかな。
アフターストーリーでの朋也は評判がいいようだけど、私にはちょっと受け入れ難かった。
渚を快適な両親のもとから引き離して安アパートで二人暮らしを始めるんだけど、そのときの朋也のモノローグにイラっときた。
これで自分ひとりの手で渚を守れるようになる、だっけ? そんな感じのことを言っていたように記憶しているんだけど。そんなの、ただの自己満足じゃない。
結局、渚を守ってたのって早苗さんだと思う。朋也は苦労させただけ。
「男は女を守るべき」とは全然思っていないし、むしろそういう考えには反対だ。でも、出来もしないくせに「守る」とか言って自分に酔ってる奴は嫌い。イタい。
ゲームだから仕方ないけど、主人公に都合良く話が進みすぎるんだよな。芳野さんの悩みとか、早苗さんの塾の問題とか、若造がちょろっと動いたくらいで簡単に解決しないって。
あと、早苗さんもアッキーも主人公に甘すぎる。育児放棄するような奴なんて、もっとガツンと言ってやればいいのに。
朋也の育児放棄って本当に最低だと思うし、あれだけ放置していた子供があんなに簡単に父親になつくっていう展開にも違和感しかなかった。
渚を失ったショックがそれだけ大きかったっていうのはわかるよ。でもこれ、父親だから許されているような気もする。
もし育児放棄したのが母親だったら、プレイヤーの反応は違っていたと思う。激しく非難されていたんじゃないかな。