先行特別試写会「少女ファニーと運命の旅」
あまり「当たった」・「受かった」・「通った」、「入った」という事が、昔より有りませんでしたが、今回は「ご当選」という朗報?……が、ありました。当選枠270名、2次募集の締切最終日近くに申し込みましたので、人気が今一つの「映画かな?」という感触でした。
契約しているCATV局より、「先行特別試写会案内」としてメールがあり、気まぐれで応募して、当選してしまいました。ゴルフトーナメント観戦招待などで、興味のある大会には、時折、応募していましたが「当たった」ことは、ありません。
平成29年7月30日(日)、会場の「SKIPシティ映像ホール」は、川口駅前の繁華街より、少し離れた住宅地にあり、゛駅よりバス13分 ゛は、人によれば「わざわざ……」という、場所かもしれません。
「試写会」という、かつて行ったことが無い ゛もの珍しさ ゛と、Webでの申込みという ゛手軽さ ゛、そして、何よりの ゛無料御招待 ゛で応募しましたので、会場も映画内容も、さほど気にかけていませんでした。
自宅からは、電車・バスを乗り継いで1時間半、片道700円ほどかかりました。頼み込んで、連れて来たKからは、「あなたは余り考えないで…、するけれど、ただより高いものはないのよ!」と、電車の中で言われ放題でした。彼女は、どちらかというと、映画やドラマを好んで見ない方です。
映画のサブタイトルには、……第二次世界大戦中、フランスの秘密の児童施設に匿われていた13歳のユダヤ人少女ファニーが、幼い二人の妹を含む子供たちと、スイス国境を目指して、ナチスや官憲の取締をかいくぐり、大人の引率者ともはぐれて、最後は子供たち9人のリーダーとして、逃避行をやり遂げたという ゛実話から生まれた ゛感動の映画……と、説明してあります。
やはり、実話に基ずいた話として、トラップ家がアルプスの山々を越えて逃避行するミュージカル映画、「サウンド オブ ミュージック」がありました。私達の年代では、忘れえぬ話題作として、必ず名前が上がる映画の一つです。数々の楽曲が、あらゆる状況の場面に登場し、「ドレミの歌」が、とりわけ有名になりました。
「少女ファニーと……」は、5、6歳~14、5歳の子供の目線で、逃避行するその時の恐怖・驚嘆などの感情を細かく表現し、見る者へ深く訴えています。
置かれた場所と状況により、人は、まだまだ強く生き抜ける可能性を持っている……とも、思わせる内容に、単純に、驚かされ、元気と感動をもらった映画でした。
劇中、レジスタンスに憧れ、引率者の立場で、一時逃亡して捕らえられた若者より「1通の手紙」をファニーが、託されます。この「手紙」の意味する伏線は、その時点では、余り表現されていませんでした。しかし、ファニーは「手紙」に、3回助けられていたように、思います。
1回目は、「託された」ことによる強い使命感が、子供心に芽生え、その後の様々な困難に立ち向かう強い意志を、育んだことです。
2回目は、国境直近の村にドイツ軍が進駐し、投降か?、越境仲介人を頼んでの山中突破か?、極限の判断を求められた時、「手紙」を手に、8人の前で、その「手紙」の意図する内容を、今は気持ちの通じ合った仲間達へ、力強く説くように話し掛け、挫けそうな皆の気持ちを、一つに纏めあげた時です。
そして、3回目は、越境仲介人より注意された、一番危険とされる国境直前の戦車壕の広がる野原を横切る時でした。遮るもののない野原で、ただ独り転倒して助けを求める仲間の幼子に、敢然として引き返し、背負って必死に走るファニーに、迫るドイツ兵からの1発の銃声が鳴り響きました。その時、ファニーの懐よりこぼれ落ち、金網のフェンスに引っかかった「手紙」が、逃げるファニー達の方へ、ヒラヒラと舞い上がりました。倒れ込んだファニーを8人が、恐々のぞき込みます。しばしの静寂の後、ファニーの眼が、ゆっくりと開きました。
「手紙」が、ファニーを狙う兵士の気を逸らせたのかもしれません?
戦争中の物語ですが、映画の中では、殺戮や銃撃の様子が一切ありません。敵対し取締る側のドイツ兵やフランス官憲による暴力や拷問などの表現もなく、彼等は時代背景をリアルに表現するために、登場していました。また、逃避行を支援し、手助けする側の登場人物もすべて好人物として、描かれていました。映画は、「勇気と機知で生き抜く術を示してくれる……」(写真の紹介パンフレットより)、子供たちの様子だけを、表現したかったのではないでしょうか?
上映中、瞬きもせず、見入っていたKは、帰りの電車の中で言いました。
「感動する、いい映画ね!」
「手紙」には、何が書かれていたのでしょうか? 実に、気になるところです。
知りたい方は、是非、劇場へお運びください。