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『ねじれた絆―赤ちゃん取り違え事件の十七年:新潮社、文春文庫刊』を書いた、ノンフェクション作家でジャーナリストの奥野修司さんがご自身の例を踏まえ、ある取り違え事件を解説しているものがあった。
第2次ベビーブームと呼ばれた当たりに実は、赤ちゃんの取り違えが多く発生しているらしい。
現在40歳代の人々だ。
この例はそれより早い時代のもののようだ。
60歳になる男性Aさんは、東京都墨田区の賛育会病院で起きた新生児取り違え事件にあった。
東京地裁はこれを認め、病院に3千800万の支払いを命じた。
この男性は産まれた家は庭に池もある大豪邸で4人兄弟の長男として産まれていたはずだった。
この人生を歩んだのは取り違えられたもう1人の男性だ。
取り違えられた男性Bさんはは大学まで出て不動産会社を経営することになる。
しかし、Aさんは本来Bさんの育つはずだった家で育ち、2歳で父を亡くし、母は生活保護を受け、中卒で就職し定時制高校を卒業し、現在も独身だ。
そして、血の繋がらない兄をトラックの運転手をしながら介護しているという。
見事なまでに真逆の人生をこの両人は歩んだわけだ。
事情は判らないが、探偵がAさんを探しているということから全てが発覚した。
奥野さんによると、ベビーブームで出産が多く、それぞれ、赤ちゃんを1人の助産師さんが1人の赤ちゃんの世話をするのではなく、抱きあげて運ぶ助産師さん、沐浴専門の助産師さんとそれぞれが赤ちゃんをオートメーション化して世話をしていた為、起きた過ちだった可能性があるという。
57~71年の間に32件の取り違えが起きていると73年の日本法医学学会の学会誌には調査が載せられているという。
しかしあくまでこれは、判っているものを差しているので、実は500件(子ども数にすると1000人の子ども)の取り違えが遭った可能性があるという。
もしかすると、気付いてないだけで、この数を有に越えている可能性もある。
奥野さんの本は何度かのドラマ化、映画化されているが昨年の映画「そして父になる」の参考文献にもなった。
人のすることに誤りはある。
しかし、あってもどうにかなる誤りとどうにもならない誤りというのはある。
今更誰も責めることもできない。時代が産んだ悲劇と思うことしかないのだろうか。
…当人は思えないだろう…。