大阪水曜ほっと集談会 一世(いっせい)です。
私が、森田関連の著書の中で最も愛読したのは、自覚と悟りへの道(白揚社)です。
初めて読んだのは、17歳の高校生の時でしたね。
明け方までかかって一気に読んだ時の感動が蘇ります。
私がなぜこの著書にそれほどまでに魅かれたのか?
ひとつは、この書は、水谷 啓二先生の体験記、前書き、後書き以外は、森田先生と当時の門下生の
集まりである「形外会」での座談の記録のみで構成されている事です。
当時の同世代の若者の肉声が聴こえてきそうです。
神経質に悩む人のためにという副題が添えられているように、
万人受けするようには、編集されていない印象です。
それでいて、時代を超えた普遍性がある。
もう一つは、当時これから、世の中に出ていこうとする若者が多く登場し、
若さ特有の魂の発露とでもいうべき真摯な言葉が、随所に散りばめられている事ですね。
時には先生に反発し時には、先生に直球で疑問を投げかける。
それに対して森田先生は事実を見つめよと智し、権威で否定しない。
そしてその若者への厳しさと慈愛に満ちた森田先生のコメントが圧巻であり感動に満ちています。
さらにこの書の魅力は、対象が、宗教と科学や死の問題など重い内容から家庭円満、仕事の適正、
怒りの感情への対応(現在のアンガーマネージメント)、アルコールを辞める方法まで多岐な点です。
森田先生の好奇心の旺盛さと素養の深さについては、水谷先生が前書きでのべられている通りです。
最後に、神経質症の経験のない方に、この書を読んでいただいたのですが。
後日「何が面白いのか?わからない」と真面目に言われました。(笑)
これもまたこの書の特徴のようです。
2020年5月22日 by 一世