「先生よぉ、俺は長くないんだべ?」
私は動揺を隠しきれず黙り込むしかなかった
27年前の春
研修医になったばかりの私にはOさんに
本当の病名を伝える権利も勇気もなかった
うなだれる私を見て
Oさんの疑惑は確信に変わったに違いない
同時に嘘がつけない研修医を哀れんでくれたのかもしれない
いつも強面でぶっきらぼうなOさんが言った
「先生と病院内を散歩すってぇなぁ(したいなあ)」
もう就寝時間は過ぎている
病棟にいる医師は私だけ
研修医の私が病状の思わしくないOさんを連れ出していいのだろうか
恐る恐る当直の先輩医師に内線電話で相談した
「10分くらいなら」
との言葉に後押しされOさんを車椅子に乗せてエレベーターを降りた
消灯後の院内は暗い
月の光に照らされた中庭を見ながら
Oさんが静かに語り始めた
1人娘がいること
男親1人で娘に苦労をかけたこと
娘が看護学校に通っていること
情報として知っていたが・・・
なぜか泣けてきた
「先生みてぇに患者さんに寄り添える看護師になってけだらなぁ」
滝のように流れる涙って本当にあるんだ
涙は口に流れ込み
教科書通り生理食塩水の味がした
山形市 西田稚子さん(51歳)の朝晴れエッセー
「あの日の涙の味」でした
貰い泣きしそうなエッセーに最後の1行が
笑に変えてくれました
東近江市 段々畑の法面に咲いている「セツブンソウ」☝
エッセーを読んで・・・
今から30年前の入院生活を想い出しました
私の主治医は研修医でした
元気な患者だった私はいつも先生を笑わせていました
入院も手術も初体験
結構、深刻な病名でした
手術前夜は精神安定剤(眠剤)が処方されるのです
翌朝の目覚めは今まで味わったことのない爽快な気分でした
翌朝、主治医が部屋に来て「気分はどうか?」と訊きます
「先生、絶好調だわ!」と言うと爆笑されました
看護師は「手術前に絶好調という患者さん、初めてやわ」と
本当に今まで眠剤というものを服用したことが無かったので
頭は冴え、力はみなぎり、何だって出来そうな感覚でした
あれ以来、快調な気分を経験したことがありません!
術後、Tシャツの前身ごろにハサミを入れ
ほつれないように縫っているところへ主治医が
「何してるの」と病室へ
ガーゼ交換の時、便利な様に前開きTシャツ、作ってる
と言うと
「エッ⁉ Tシャツ勿体ない」
「そのTシャツ、僕も持ってる!堺シティーマラソンのTシャツやろ?」
「僕も走ったよ」
そんな具合で先生とはよく気が合いました
退院後は放射線治療に1ヶ月、毎日通院することになり
バッタリ、廊下などで先生に会えないかな?・・・と
微かな期待もありました、が・・・
それっきり会うことは叶いませんでした💦
何度めの初恋だったのでしょう😅
令和7年3月8日 東近江市は段々畑のスケッチより
hanatyanさんの、屈託のない、明るさが。。。
研修医で、まだ不慣れだった先生の心を和ませ、お互いに、気持ちの良い病院生活を、もたらしたのでしょうね。
患者さんの方から、リラックスできる環境を作れると、先生も安心するのでしょう。
わたしは。。 痛がりで、怖がりで、すぐにパニックをおこしてしまいますが。。。 (^-^;)
hanatyanさんは、たくさんの初恋の想い出があって、いいなぁ!笑
くぁんみぃ♡
最初のエッセイ、最後の言葉でホッとしました。
確かに食塩水の味がしますね😅
30年前、大変だったんですね💦
今はお元気になられて良かったです👐
研修医の先生もhanatyanさんの明るさに救われたでしょうね🤗
先生にしても、初めての事が多く、緊張されてたのでは?
淡い初恋❤︎
素敵な思い出(*´-`)
今は立派なお医者さんになられてる事でしょうね👍
セツブンソウ、可愛い〜💕
綺麗お写真、ありがとうございました👐
ゆっくりな午後をお過ごしくださいね☺️🍀🍀
( chami)