浄心庵・長尾弘先生「垂訓」

八正道と作善止悪

「講演集」より。

2014-06-13 00:14:29 | 浄心庵 長尾弘先生垂訓

     ~ 恩師の御著書「愚か者の独り言」より ~


              講演集 一


      「幸せを売るのが商売のコツ」


商売も同様、自分が儲けようとばかり集中して思ってはいけません。
相手に儲けてもらおう、相手に良かれと思うとよく儲かります。
おもしろいもので、例えばこれを一個売れば十万円儲かると思うと、
その儲かるという思いに捉われた場合、いくら値打ちのあるものでも
なかなか売れない。しかし儲けを度外視してその相手の方の
為に心から勧めた場合、これによって相手の方に喜びを与えるという
行き方をすると、案外すっと売れるものです。

同じ十万円の儲けでも、こちらが儲けようと思うと、
相手に警戒心が出るし、相手の幸せの為にという心をもって勧めると、
素直に受け入れてもらえます。幸せを売らせていただく、
幸せを買っていただくという心掛けで勧めると自信が持てます。
これが商売のコツですね。
形だけではだめで、心の底からの愛の売買です。
私が商売をしていました時は、自分から値をつけたことは一度もなかったのです。

私は毛布の製造販売業をしていましたが、お得意さんに毛布を持って行って、
これなら幾らぐらいで買ってもらえますか、と言って向こうに値を決めてもらうのです。
千円のものを仮に向こうが八百円と言えば、それは少ししんどいですなあ、
経費がこれだけかかっていますし、私の生活費をこれだけ下さいと言って示しますし、
千円のものを向こうが千円ぐらいと言われれば、それで結構ですと言って、
決して無理な値をつけないようにして、
自分が儲けるよりも相手に儲けてもらうようにしました。
私は恵まれていまして、二十年来東京の大商社と取引がありましたが、
そこは現金で下さるのです。

そこの仕入部長さんに初めて会った時、私の感謝の気持ちとして、
全仕入れ金額の二パーセントを還元させていただきますと約束しました。
仮に年に一億あればその人の小遣いとして二百万円入ることになりますね。
盆と正月にずっと送っていました。
そこは現金でくれるというので、他所の大きいメーカーからも売り込みに行くのですが、
その部長さんはずっと私のほうと取引して、
更に注文をふやしてくれました。
お陰で大変儲けさせてもらいました。
ただの一度も不渡手形を手にすることもなく、
私は三十年近くこの商売をさせてもらってその間一回もその経験がありません。

自分だけが儲けようと思ったら儲けることはできないのですね。
これは商売だけでなく、全てにおいて同じことです。
相手の為に良かれと思ってすることが、自分の為に返って来るのです。
ぜひ皆さんもうまく活用して下さい。
正しい法、正法は商法に通じます。また対人関係にも、
社会の中すべてに通じます。みな心から始まっていますから、
同じことです。

自分本位の自分さえ良かったという商売をする人は一時は栄えても、
やがて駄目になります。運だけではなく、
心掛けによって守られたり被害を受けたりいたします。
商売をされる方は、一つの商品を通して相手に良かれと思い、
それが喜びであるという気持ちになって商売して下さい。
販売元になる方から、縁ある末端の方に至るまで、
皆が幸せであるようにと思い合って商売をする商法を
学んでほしいと思います。


           ~ 感謝・合掌 ~




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