恩師のご著書「講演集」より
講演集、 三
癌を克服し、悟って死を迎えた方の話
先の続き・・・
私が高橋信次先生に御縁を頂きまして約半年ぐらい経った昭和五十年のことです。
その頃、この忠岡にSちゃんという方がおられました。
私はもともと織屋をしていまして、機械を置いてガチャガチャと毛布を織って、
問屋に卸していたのです。
過去の私は、何とか儲けて少しでも人より儲けを上げようと銭の亡者となって
走り回っておりました。
その愚かさに対して、信次先生から「あなたは足ることを知りなさい」という
言葉を頂いてから、足ることを知らないが為に、
こんなに苦しまなくてはいけないということ知りました。
決心すれば早いです。
すぐ実践に移し、事業のほうを十分の九ほど縮小しまして、外注をやめ自分の
所だけでするようにしました。
すると、十分の一以下になるのですね。
過去の仕入れで約一年間は原料を仕入れなくてすむのです。
そして、今まで十倍の製造をしておりました製品がありますから、
その製品を売れば、お金はどんどん入ってきます。
仕入れなくても売れるから、お金は余ってしようがないという状態でした。
「はあ、足ることを知るとはこんなことか」と思いまして、
もう過去のことですから白状しますけど、たくさん儲けさせてもらいました。
他の織屋さんは「ああ、あかん、あかん」と難儀していられる時に、私だけは
どんどん儲けさせてもらいました。
「私は頭がいいのだなあ、腕がいいのかなあ」と思っておりましたら、
何のことはない、ほんとうは天上界から今日の日に動けるようにちゃんと天の蓄えを
与えていただていたのです。
それは、すべて目に見えない世界からの導きであったことが、
あとから分かりました。
~ 感謝・合掌 ~